この記事では、2025年に行われた職業訓練の応募状況から、人気の講座をランキング形式にしました。もとのデータは東京都民間委託訓練302講座です。
結果から言えば、2025年は「CAD・宅建不動産」が応募倍率1.18倍で最も人気が高く、「簿記会計・社会保険総務」が1.14倍で続きます。一方、「介護初任者研修」は0.56倍と大幅な定員割れが続いています。
全体の平均倍率は0.97倍。以前のような「狭き門」状態から変化し、比較的受講しやすい環境になっています。この記事では、応募倍率・コース数・応募者数を11分野に分類して比較し、コース選びの参考になればと思います。
訓練種類:東京都民間委託訓練
コース数:302講座
総定員数:7,482名
総応募者数:7,254名
合格者数:5,998名
平均応募倍率:0.97倍
※倍率は「応募者数 ÷ 定員」(小数第2位を四捨五入)で算出しています。
データ出典:TOKYOはたらくネット
掲載講座のうち、分野に該当しない16講座と、4月開講の1年講座は集計対象から除外し、残り302講座を11種類の分野別に分類して集計しています。
■目次
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【2025年版】職業訓練コース別人気ランキング
調査内容:東京都民間委託訓練の応募倍率
調査期間:2025年1月開講~2025年12月開講分まで
調査方法:302科目を11種類の分野に分類して比較
※コース名の右側の数字は募集コース数
種類別のランキングは以下の通りです。※それぞれコース名をクリックすると詳細ページが表示されます。
| コース種類 | 定員 | 応募者 | 倍率 | |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | CAD・宅建不動産 (17) | 400 | 472 | 1.18 |
| 2位 | 簿記会計・社会保険総務 (48) | 1,241 | 1,409 | 1.14 |
| 3位 | 貿易・国際ビジネス (11) | 275 | 309 | 1.12 |
| 4位 | WEB制作 (57) | 1,519 | 1,621 | 1.07 |
| 5位 | 観光トラベル (10) | 292 | 307 | 1.05 |
| 6位 | フードビジネス、栄養士 (17) | 307 | 311 | 1.01 |
| 7位 | プログラミング (34) | 736 | 653 | 0.89 |
| 8位 | パソコン・オフィス (61) | 1,583 | 1,371 | 0.87 |
| 9位 | ネットワーク・セキュリティ (9) | 221 | 179 | 0.81 |
| 10位 | 医療事務 (26) | 640 | 471 | 0.74 |
| 11位 | 介護初任者研修 (12) | 268 | 151 | 0.56 |
| 合計 | 全302講座 | 7,482 | 7,254 | 0.97 |
ランキング上位の分析と2025年のトレンド
1位:CAD・宅建不動産(応募倍率 1.18倍)
2025年のランキングで最も応募倍率が高かったのは、「CAD・宅建不動産」分野でした。2022年時点では中位でしたが、今回トップに急浮上しています。
この分野が1位になった理由は、シンプルに「就職に直結しやすいから」だと思います。 宅建士なら不動産、CADなら建設・設計と、訓練後のゴールが明確なため、「せっかく訓練を受けたのに仕事がない」というリスクが低いのが特徴です。
また、宅建士は国家資格として履歴書に強く、40代・50代でも「人生経験が信頼感になる」ため、年齢がハンデになりにくいのも大きな魅力となります。 都市部での需要も安定しており、「確実に就職して長く働きたい」という層から今、最も選ばれています。
2位:簿記会計・社会保険総務(1.14倍)
2位は、簿記会計・社会保険総務です。倍率は1.14倍と、定員を上回る応募があり、安定した人気を維持しています。
この分野の最大の強みは、なんといっても「どんな会社でも必要とされる」ところでしょう。飲食や製造、ITなど業界を問わず、経理や総務の仕事は必ず存在します。 景気に左右されにくく、企業活動の根幹を支える職種である点が安定志向の方に選ばれている理由でしょう。
また、職業訓練で「簿記2級」レベルを取得しておけば、未経験でも明確なスキルの証明になり、採用のチャンスが広がります。 万が一すぐに就職へ繋がらなかったとしても、お金の知識は家計管理や副業など将来の選択肢を広げる武器になるため「学んで損がない」分野と言えます。
3位:貿易・国際ビジネス(1.12倍)
3位には、貿易・国際ビジネス分野が入りました。倍率は1.12倍と、こちらも安定した応募状況です。
この分野が人気の理由は、「英語や中国語を活かして働きたい」という明確な目的を持った人が多いからだと思います。
貿易事務や国際営業の仕事は、語学力だけでなく専門的な実務知識も求められますが、職業訓練ならその両方をセットで習得できます。 インバウンド需要の回復や国際物流の活発化により、グローバルな仕事のニーズは安定して伸びています。
他分野にはない「語学」という武器が明確な差別化になるため、キャリアチェンジを狙う人にとっても強力な選択肢です。 ニッチな分野ではありますが、「海外と関わる仕事がしたい」という人にとっては、魅力的な講座となるでしょう。
WEB制作は4位に後退(1.07倍)
2022年に応募倍率2.29倍で1位だったWEB制作は、2025年では4位(1.07倍)となりました。
未経験でも参入しやすかった時期が終わり、HTMLやCSSだけでなく、WordPress運用やマーケティング知識まで求められるようになり、訓練期間だけでプロレベルに到達するのは難しいと感じる人が増えました。
さらに決定的だったのが、生成AIの登場です。「コーディングやデザインはAIで自動化できる」という認識が広まり、未経験レベルのスキルでは仕事がなくなるのではないかという不安が直撃しました。
フード関連講座の増加と、介護分野の低倍率
2025年の特徴として、フードビジネス・栄養士関連の講座が新たに増えた点が挙げられます。応募倍率は1.01倍と高くはありませんが、一定の需要が確認できます。
一方で、介護関連講座は依然として倍率が低い状態が続いています。人材需要が高い分野であるにもかかわらず応募が伸びない点は、2022年から大きく変わっていません。
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職業訓練コース数ランキング
ここでは募集の多いコース(分野)をランキングしています。コース数が多い分野は、それだけ受講のチャンスが多いと言えます。
調査内容:東京都民間委託訓練の応募数比較
調査期間:2025年1月開講~2025年12月開講分まで
調査方法:302科目を11種類のコースに分類して比較
※コース名の右側の数字は応募人数
| コース種類 | 募集講座数 | 応募人数 | |
|---|---|---|---|
| 1位 | パソコン・オフィス | 61 | 1,371 |
| 2位 | WEB制作 | 57 | 1,621 |
| 3位 | 簿記会計・社会保険総務 | 48 | 1,409 |
| 4位 | プログラミング | 34 | 653 |
| 5位 | 医療事務 | 26 | 471 |
| 6位 | CAD・宅建不動産 | 17 | 472 |
| 7位 | フードビジネス、栄養士 | 17 | 311 |
| 8位 | 介護初任者研修 | 12 | 151 |
| 9位 | 貿易・国際ビジネス | 11 | 309 |
| 10位 | 観光トラベル | 10 | 307 |
| 11位 | ネットワーク・セキュリティ | 9 | 221 |
1番開催の多いコースは、やはりパソコン・オフィス関連です。事務職をはじめ、どのような仕事に就くにもパソコン操作は必須スキルとなっており、WordやExcel、PowerPointなどの基本から応用までを学ぶコースが毎月数多く開催されています。
2位のWEB制作も57コースと非常に多くの募集が行われています。応募人数で見ると「1,621人」と全分野の中で最も多く、依然として多くの求職者がWEBスキルに関心を持っていることがわかります。募集回数も多いため、学ぶチャンスが広い分野と言えます。
過去6年間で見る職業訓練の人気推移
ここでは、2019年・2022年・2025年の3つの年度データを比較し、職業訓練の人気がどのように変化してきたかを分析します。6年間という期間で見ることで、一時的なブームなのか、長期的なトレンドなのかが見えてきます。
応募倍率の推移(主要6分野)
調査内容:東京都民間委託訓練の応募倍率推移
調査年:2019年(2018/8~2019/7)、2022年(2021/9~2022/8)、2025年(2025/1~2025/12)
※分野名は2025年版の名称に統一しています
| コース種類 | 2019年 | 2022年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| WEB制作 | 2.03倍 | 2.29倍 | 1.07倍 |
| プログラミング | 1.45倍 | 1.70倍 | 0.89倍 |
| パソコン・オフィス | 1.33倍 | 1.14倍 | 0.87倍 |
| 簿記会計・社会保険総務 | 1.30倍 | 1.19倍 | 1.14倍 |
| 医療事務 | 0.94倍 | 0.81倍 | 0.74倍 |
| 介護 | 0.57倍 | 0.66倍 | 0.56倍 |
時代とともに変わる「人気コース」の条件
6年間のデータを振り返ると、職業訓練の人気は「その時代の社会情勢や働き方の変化」に大きく影響されることがわかります。
2019年~2022年は、コロナ禍の影響もあり「在宅で働ける」「手に職をつける」という理由でWEB制作やプログラミングが人気を集めました。しかし、2025年には現実的な就職需要を重視する傾向が強まり、簿記会計やCAD・宅建不動産といった「明確な職種につながるスキル」が選ばれるようになっています。
こうした変化を踏まえると、コース選びで最も重要なのは「倍率の高さ」ではなく、「自分が本当に就きたい職種に必要なスキルかどうか」です。過去のデータは参考にしつつ、自分自身のキャリアプランに合ったコースを選ぶことが、職業訓練を最大限に活かすポイントと言えるでしょう。
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コース選びで失敗しないための3つのポイント
職業訓練のコース選びで迷っている方向けに、失敗しないためのポイントを整理します。
1. 倍率だけで判断しない
倍率が高いコースが「良いコース」とは限りません。自分が本当に就きたい職種、学びたいスキルを基準に選ぶことが最も重要です。
倍率が低くても、就職需要が高い分野(医療事務、介護など)は十分に狙う価値があります。
2. 訓練期間と失業保険の受給期間を確認する
職業訓練の大きなメリットは、ハローワークから「受講指示」を受けて訓練を受講する場合、訓練期間中は失業保険が延長され、自己都合退職の給付制限も解除される点です。
ただし、延長を受けるためには、訓練開始日時点で失業保険の残日数が一定以上必要になる場合があります。自分の残日数と訓練期間を照らし合わせることが重要ですので、ハローワークで必ず相談しましょう。
3. 実際に訓練校の見学会に参加する
多くの訓練校では、事前の見学会や説明会を実施しています。カリキュラムの内容、講師の雰囲気、教室の設備などを実際に確認することで、ミスマッチを防げます。
パンフレットだけでは分からない情報が得られるため、積極的に参加することをおすすめします。最低でも3か月は通うところなので毎日通学できるかもシミュレーションしておきましょう。
まとめ
東京都で開催している「公共職業訓練(民間委託訓練)」の2025年(1年間)の応募状況をまとめました。
全体的な傾向として、平均応募倍率が0.97倍となっており、以前のような「狭き門(高倍率)」の状態から変化し、比較的受講しやすい環境になっています。定員割れしているコースも散見されるため、しっかりと対策をして臨めば合格の可能性は高いと言えます。
職業訓練は、受講料無料で専門スキルを身につけられる貴重な制度です。倍率が下がっている今は、希望するコースを受講するチャンスでもあります。
もうひとつ大事なことは、申し込み期間です。受けたい訓練講座があっても、多くの場合、開講の1ヶ月前には締め切られてしまいます。訓練に興味がある場合は、常に最新情報をチェックしておきましょう。
職業訓練に興味があれば、まずは最寄りのハローワークで相談し、パンフレットを集めたり、実際に訓練校の見学会に参加してみることを強くおすすめします。自分に合ったコースを見つけ、再就職への第一歩を踏み出しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 倍率1.0倍以下なら必ず合格できますか?
いいえ、必ず合格できるわけではありません。倍率1.0倍以下でも、選考は行われます。面接や筆記試験で「訓練を受ける意欲」「就職への本気度」が見られるため、しっかり準備することが重要です。
Q2. 人気コースでも合格のコツはありますか?
はい、あります。以下のポイントを押さえましょう。
- 志望動機を具体的に説明できるようにする
- 「なぜこのコースなのか」「修了後どう就職に活かすか」を明確にする
- ハローワークの職業相談で事前にアドバイスをもらう
特に、倍率が高いコースでは「本気で就職を目指している」ことをアピールすることが合格のカギです。
Q3. 定員割れのコースは就職に不利ですか?
いいえ、定員割れのコースだからといって就職に不利ということはありません。例えば、医療事務や介護は人材需要が高い分野です。倍率が低いのは「応募者が少ない」だけであり、就職先がないわけではありません。
Q4. 2026年で最もおすすめのコースは何ですか?
一概には言えませんが、「就職需要」と「倍率のバランス」を考えると、以下のコースがおすすめです。
- 簿記会計・社会保険総務:業種を問わず需要がある
- CAD・宅建不動産:専門性が高く、就職先が明確
- 医療事務:倍率が低く、需要が安定している
ただし、最も重要なのは「自分が本当にやりたい仕事」です。ハローワークで相談しながら決めることをおすすめします。
Q5. 職業訓練を受けながら失業保険をもらうことはできますか?
はい、できます。ハローワークから「受講指示」を受けて職業訓練を受講する場合、訓練期間中は失業保険の受給期間が延長されます。詳しくは、ハローワークの窓口で相談してください。
Q6. 複数のコースに応募することはできますか?
基本的には、1つのコースに絞って応募することが推奨されます。ただし、開講時期が異なる場合や、第一希望が不合格だった場合は、別のコースに再度応募することは可能です。詳しくはハローワークで確認しましょう。