「失業中に車の免許を取りたいけど、職業訓練で取れないかな?」そう考えている方は多いのではないでしょうか。残念ながら、職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)では普通自動車免許を取得するコースは原則ありません。
ただし、諦める必要はありません。実は教育訓練給付金(特定一般教育訓練)という制度を使えば、中型免許や大型免許、普通二種免許といった仕事に直結する免許を、受講費用の40%(上限20万円)の補助を受けて取得できます(※対象講座として指定されている場合)。
この記事では、職業訓練と運転免許の関係、そして失業中でも使える免許取得の支援制度について詳しく解説します。特にトラックドライバーやタクシー運転手への転職を考えている方には、知っておくと得する情報が満載です。
■目次
職業訓練で取得できる免許・できない免許
普通自動車免許は職業訓練の対象外
結論から言うと、職業訓練では普通自動車免許(AT・MT問わず)を取得するコースは設けられていません。普通免許の取得には総額30万円前後の費用がかかりますが、職業訓練の枠組みでこれをカバーすることはできないのが現状です。
なぜ普通免許が対象外なのか。それは職業訓練が「特定の職業に就くための専門的な技能」を身につけることを目的としているためです。普通免許は確かに就職に有利ですが、それだけでは特定の職種に直結しないという位置づけになっています。
職業訓練で取得できる免許とは
ただし、職業訓練では以下のような重機系の免許・資格を取得できるコースがあります。
取得可能な免許・資格の例:
- フォークリフト運転技能講習
- 玉掛け技能講習
- クレーン運転士(移動式・天井など)
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 高所作業車運転技能講習
- 車両系建設機械(ユンボなど)運転技能講習
これらは建設現場や工場、倉庫などで需要が高く、取得することで即戦力として評価されやすい資格です。また、自動車整備士養成のコースも職業訓練にはありますが、これは整備士資格取得のためのもので、運転免許とは別物です。

ハローワークで普通免許取得の支援はあるのか
「ハローワークで普通免許の取得支援はないの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。現状、ハローワークが全国共通の制度として普通免許取得費用を直接補助する仕組みは一般的にはありません。
ただし、地域や時期によっては、就職が内定している場合に限り、免許取得費用の一部を支援する制度が実施されることがあります。これは自治体独自の施策であることが多いため、まずは管轄のハローワークに確認してみる価値はあります。
特に、免許が必須条件となっている求人に応募する際には、相談員にその旨を伝えることで、何らかの情報提供や支援策を紹介してもらえる可能性があります(※実施の有無は地域差があります)。
教育訓練給付金で取得できる車の免許
教育訓練給付金とは
教育訓練給付金は、働く人の主体的な能力開発を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした国の制度です。職業訓練とは別の制度ですが、こちらなら仕事に直結する自動車免許の取得費用を補助してもらえます(※対象講座として指定されている場合)。
教育訓練給付金には「一般(20%)」「特定一般(40%)」「専門実践(最大70%)」の区分があります。この記事で扱うドライバー系の免許は「特定一般教育訓練」に指定されることが多く、その場合に給付率(40%)が適用されます。
教育訓練給付金についての詳しい内容は、教育訓練制度についてをご覧ください。
対象となる免許の種類(特定一般教育訓練の例)
2026年1月現在、教育訓練給付金(特定一般教育訓練)の対象となる主な自動車免許は以下の通りです。
準中型免許(第一種)
車両総重量3.5トン以上7.5トン未満のトラックが運転できます。宅配業や引っ越し業で需要が高い免許です。
中型免許(第一種)
車両総重量7.5トン以上11トン未満のトラックやマイクロバスが運転できます。運送業への転職を考えている方に人気です。
中型免許(第二種)
乗客を乗せる中型車両を営業運転できます。路線バスやコミュニティバスの運転手に必要です。
大型免許(第一種)
車両総重量11トン以上の大型トラックやダンプカーが運転できます。長距離ドライバーを目指す方に必須の免許です。
大型免許(第二種)
大型バス(観光バス、高速バスなど)を営業運転できます。バス会社への就職に直結する免許です。
普通二種免許
タクシーやハイヤー、介護タクシーなど、お客さんを乗せて運転するために必要な免許です。タクシー業界への転職希望者に人気があります。
給付金額と計算例
特定一般教育訓練の場合、受講費用の40%が支給されます。ただし上限は20万円です。
具体的な金額のイメージを持っていただくために、いくつか例を示します。
| 取得する免許 | 受講費用(例) | 給付額(40%) | 実質負担額 |
|---|---|---|---|
| 普通二種 タクシー等 |
250,000円 | 100,000円 | 150,000円 |
| 大型一種 トラック等 |
350,000円 | 140,000円 | 210,000円 |
| 大型二種 バス等 |
500,000円 | 200,000円 ※上限額適用 |
300,000円 |
※表は横にスクロールできます→
例1:普通二種免許を取得する場合
受講費用が25万円の場合
→ 25万円 × 40% = 10万円の給付
実質負担:15万円
例2:大型一種免許を取得する場合
受講費用が35万円の場合
→ 35万円 × 40% = 14万円の給付
実質負担:21万円
例3:大型二種免許を取得する場合
受講費用が50万円の場合
→ 50万円 × 40% = 20万円(上限額)の給付
実質負担:30万円
このように、受講費用の40%が戻ってくるため、自己負担を大幅に減らすことができます。特にトラックドライバーやタクシー運転手への転職を考えている方にとっては、かなり大きな支援です。
教育訓練給付金を利用する際の注意点
受給資格の確認が必須
教育訓練給付金を受けるには、雇用保険の被保険者期間などの受給資格を満たす必要があります。一般的には、離職前に雇用保険に加入していた期間が通算1年以上あることが条件です(初回利用の場合)。2回目以降の利用の場合は、前回の受給から3年以上経過していることが必要です。
詳しい受給資格については、ハローワークで確認してください。自分が対象かどうか事前に確認しておくことで、スムーズに手続きを進められます。
指定された教習所で受講する
教育訓練給付金が使えるのは、厚生労働大臣が指定した教育訓練施設(自動車教習所)のみです。すべての教習所が対象ではないため、受講を申し込む前に必ず確認しましょう。
指定教習所の検索は、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」から行えます(公式検索システム)。また、教習所に直接問い合わせて「教育訓練給付金の対象コースですか?」と確認するのも確実です。
支給のタイミング
教育訓練給付金は、訓練修了後にハローワークへ申請することで支給されます。先に全額を自己負担で支払い、後から給付金が振り込まれる形です。そのため、受講時には費用の全額を用意しておく必要があります。
また、申請には期限があり、原則として「修了日の翌日から1か月以内」に手続きします。振込までの期間はハローワークの処理状況で前後するため、「1〜2ヶ月程度」はあくまで目安として考えてください。
「後払い」という点を理解しておかないと、資金繰りで困ることがあるので注意してください。
普通免許を安く取得する方法
職業訓練でも教育訓練給付金でも、普通自動車免許は原則として対象外です。しかし、就職活動をする上で普通免許がどうしても必要という方もいるでしょう。そんな方のために、少しでも安く普通免許を取得する方法をご紹介します。
合宿免許を利用する
合宿免許は、通学型の教習所よりも5万円〜10万円ほど安く免許を取得できることが多いです。短期集中で取得できるため、失業中で時間に余裕がある方には特におすすめです。ただし、2週間程度はまとまった時間が必要になります。
自治体の貸付制度を利用する
一部の自治体では、低所得世帯や求職中の方を対象に、免許取得費用の貸付制度を設けている場合があります。無利子または低利子で借りられることが多いので、お住まいの自治体の社会福祉協議会に問い合わせてみる価値はあります。
まとめ
職業訓練では残念ながら普通自動車免許を取得するコースはありません。しかし、フォークリフトや玉掛け、クレーンなど、工事現場や倉庫で使われる重機系の免許・資格であれば、職業訓練で取得できるコースが用意されています。
一方で、会社を辞めてトラックドライバーやタクシー運転手(介護タクシー含む)への転職を考えている方には、教育訓練給付金(特定一般教育訓練)の活用をおすすめします。受講費用の40%(上限20万円)が給付されるため、普通に通うよりもかなりお得です(※対象講座として指定されている場合)。
特に準中型・中型・大型免許や普通二種免許は、取得するだけで転職市場での価値が大きく上がります。失業中の時間を有効活用して、次のキャリアにつながる免許取得を検討してみてはいかがでしょうか。
まずはハローワークで受給資格を確認し、指定教習所を探すことから始めましょう。新しい仕事への第一歩が、ここから始まります。
よくある質問
職業訓練で普通免許が取れないのはなぜですか?
職業訓練は特定の職業に直結する専門的な技能を身につけることを目的としているためです。普通免許は就職に有利ではありますが、それだけでは特定の職種に直結しないという位置づけのため、対象外となっています。
ハローワークで免許取得の費用は出してもらえますか?
一般的には、ハローワークが普通免許取得費用を直接補助する制度はありません。ただし、地域や時期によっては就職が内定している場合に限り、一部支援が受けられることがあります。まずは管轄のハローワークに相談してみることをおすすめします。
教育訓練給付金はいつもらえますか?
教育訓練給付金は、訓練修了後にハローワークへ申請することで支給されます。先に受講費用の全額を自己負担で支払い、後から給付金が振り込まれる形です。申請期限は原則「修了日の翌日から1か月以内」で、申請から振込まではハローワークの処理状況により前後します(目安として1〜2ヶ月程度)。
普通二種免許を取るには普通免許が必要ですか?
はい、原則として普通免許(第一種)取得後3年以上経過している必要があります。ただし、特別な教習(受験資格特例教習)を受けることで、19歳以上・経験1年から取得可能になる特例もあります。
教育訓練給付金はどこの教習所でも使えますか?
いいえ、教育訓練給付金が使えるのは厚生労働大臣が指定した教習所のみです。すべての教習所が対象ではないため、受講前に必ず指定教習所かどうかを確認してください。厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で検索できます。
失業保険をもらいながら教育訓練給付金も使えますか?
はい、失業保険(基本手当)を受給中でも、受給資格を満たしていれば教育訓練給付金を利用できます。ただし、訓練期間中の失業保険の扱いについては、ハローワークで事前に確認しておくことをおすすめします。
大型免許を取るには中型免許が必要ですか?
いいえ、必ずしも中型免許を取得する必要はありません。普通免許を持っていれば、直接大型免許に挑戦することも可能です。ただし、教習時間や費用、難易度が異なるため、教習所に相談して自分に合ったルートを選ぶとよいでしょう。