職業訓練を受けるべきか迷っている、どのコースを選べばいいかわからない——そんな不安を抱えていませんか。
職業訓練は無料で新しいスキルを学べる制度ですが、選び方を間違えると時間の無駄になってしまいます。安易に「就職しやすそうだから」という理由だけで選んでしまい、途中で挫折したり、結局就職できなかったりするケースも少なくありません。
この記事では、職業訓練を選ぶ際に絶対に押さえておくべき5つのポイントを解説します。30代以上の方が特に気をつけるべきこと、お金の問題、訓練校の選び方、資格取得のタイミングまで、実践的な情報を網羅しています。
職業訓練で本当に人生を変えたい方、失敗したくない方は、ぜひ最後まで読んでください。
■目次
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職業訓練を選ぶ前に知っておくべき基本
職業訓練は就職するためのものです。決してカルチャースクールではありません。無料で通えるものですが、選考試験もありますので誰でも通えるものでもありません。
迷ったら、まずは次の順番で整理すると「結局どうすればいい?」が消えます。
- 「訓練に通う目的(就きたい仕事)」を1つに絞る
- 求人で「必要な資格・スキル」を確認する
- 開講時期と生活費(最低限の資金)を確認する
- 見学会で「就職支援と設備」を確認する
- 最後に「資格試験の時期」が訓練期間内に入るか確認する
職業訓練とは何か
職業訓練とは、求職者が新しい職業スキルを身につけるために国や都道府県が提供する公的な教育制度です。主に以下の2種類があります。
- 公共職業訓練(離職者訓練):雇用保険を受給している方が対象。訓練期間中も失業給付を受け取りながら通える
- 求職者支援訓練:雇用保険を受給できない方が対象。一定の要件を満たせば月10万円の給付金を受けながら通える
訓練期間は3ヶ月から2年まで、コースによって様々です。ほとんどのコースは受講料無料ですが、テキスト代などの実費は自己負担です(長期コースも原則受講料は無料ですが、教材費等はかかります)。
「職業訓練に行かない方が良い」ケースとは
職業訓練は万能ではありません。以下のような場合は、訓練を受けずに就職活動をした方が良いこともあります。
- すぐに就職できる見込みがある場合(訓練に通う期間が「就職活動の中断」になりやすい)
- 生活費の蓄えが全くない場合(給付金だけでは生活できないケースも多い)
- 明確な目標がなく「とりあえず」で受講しようとしている場合
- 訓練期間中の学習時間を確保できない場合
職業訓練に通う期間は、履歴上「空白期間」になり得ます。訓練を受けたからといって、必ず就職できるわけではないことを理解しておきましょう。だからこそ「訓練で何を身につけ、どの求人に応募するか」まで、受講前に決めておくのが大切です。
① 自分と向き合う:今後の方向性と可能性を見極める
職業訓練を検討しているということは、自分自身の価値観や職業観を認識し、生涯のキャリアプランを立てるのに良い機会でもあります。
20代と30代以降では戦略が全く違う
それでもまだ20代であれば就職の可能性は高いでしょう。その人のポテンシャルを見てもらえます。ですが30代以降の方は慎重に判断しなければなりません。
30代を過ぎてくると、自分が好きなこと、やりたいことだけでは希望の仕事に就くことは難しい。30代、40代と言えば社会人としても脂が乗り切った時期。それだけ企業から求められるものも多いのが現実です。
自分がやりたいこと以上に、「企業に何が貢献できるのか」が大事です。同じ未経験者を採用するにしても当然若い方が有利です。将来性もありますし、賃金も安くで済みます。
プラスアルファの武器を作る訓練選び
若い人に負けない、何かしらのプラスアルファの部分を提供できるかどうかがポイントです。
例えば、今まで営業をしていた人が不動産ビジネスの訓練コースを学べば「営業経験+不動産スキル」という相乗効果が生まれます。これがプラスアルファです。全くのゼロからスタートするよりは、今までの経験を少しでも活かせるような訓練選びが必要です。
世の中には数えきれないくらいの仕事があります。全て経験できれば本当に自分に合う仕事が見つけられるかもしれません。しかしそれは不可能です。
職業訓練を考えている人というのは、新しい仕事にチャレンジする方が大多数。自分に足りない能力を身に付け、知識を深め、そして新たな技術を磨いて次の仕事に挑戦していきます。
「就職しやすそう」だけで選んではいけない

よくあるパターンが、就職しやすそうだからと安易に訓練コースを決めてしまうことです。
例えば介護。介護職は比較的就きやすい仕事でもあります。特に女性の場合はその傾向は高く50代でも仕事はあります。介護職は訓練で学ぶことによって介護職員初任者研修の資格取得が可能です。
ですが、いざ資格を取って介護の仕事に就いたとしても、そのあまりの大変さと、それに対する給与の低さから辞めていく人も少なくありません。また介護施設の場合は夜勤もあるため働き方も考えなければなりません。
仕事に就きやすい職業(離職者が多い職業)というのは、それなりに理由があるからです。「就職しやすさ」だけで判断せず、仕事内容・働き方・給与水準までセットで確認してから選びましょう。
今までの経験を棚卸して適性を見つけ、そして決めたからにはがむしゃらに突き進むしかありません。自分の適性がわからなければ、家族や知人、友人に聞いてみるのも良いでしょう。意外な気づきがあるかもしれません。
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② お金の問題:生活費の確保ができるか
職業訓練のほとんどは無料で通うことができます(テキスト代等は自己負担)。ですが心配なのはその間の生活費です。
訓練期間中の生活費をどう確保するか
職業訓練に通う場合は短くても3ヶ月はあります。訓練終了後もすぐに就職が決まるわけではないため、ある程度の生活費は確保しておかなければなりません。
もちろん職業訓練期間中にパートやアルバイトをすることは可能ですが、訓練は平日毎日あります。訓練期間中は予習や復習、資格試験の勉強、そして大切な就職活動があるため、仕事ができる時間は限られてしまいます。
生活が苦しくなり、途中で中途退校となるケース(妥協して仕事をしなければならない)も少なくありません。受講前に「家計の見込み(給付・アルバイト・貯金)」を具体的に計算しておく必要があります。
失業給付と職業訓練受講給付金
ハローワークから「受講指示」を受けて通える方は、訓練終了まで失業給付を受け取りながら通うことができます。また失業給付がない方も、一定の要件を満たすことで「職業訓練受講給付金(月10万円と交通費)」を受けながら通うこともできます。
それらが受けられるかどうかは、ハローワークの窓口で確認することができます。以下のページで詳細を確認してください。
最低でも3〜6ヶ月分の生活費は必要
訓練期間が3ヶ月だとしても、就職活動や内定後の入社までの期間を考えると、生活費の目安は「最低3ヶ月〜できれば6ヶ月分」です。給付金だけでは足りない部分を補えるだけの貯金があるかどうか、受講前に必ず確認してください。
③ 開講スケジュールの確認:退職のタイミングを間違えない
よくあるミスとして、今募集中の訓練コースから選んでしまうことです。本当に自分の希望しているコースなら良いのですが、「とりあえず訓練を受講したいから」という理由で選んでしまっては後に後悔してしまいます。
受けたいコースの開講時期を事前に把握する
まずは自分の就きたい仕事が何なのかを考える。そしてそれにプラスになるような職業訓練があれば、初めてそこで選択肢の一つとして考えるところから始めましょう。また過去に行われた訓練内容も含めて検討するべきです。
職業訓練は各都道府県ごとに様々なコース、場所で開講しています。毎月開催している訓練もありますし、1年に1度しか開講しない訓練もあります。2年コースである保育士や介護福祉士は、4月開講のみです。
在職中なら退職タイミングを訓練開講に合わせる
既に会社を辞めて無職の場合は、応募する選択肢は限られています。先まで待つ余裕はありませんので、直近の応募先から職業訓練コースを選ぶ必要があります。
まだ在職している場合は、職業訓練の開講に合わせて退職すべきです。そのためには、事前に開講スケジュールを把握することが大切。一番簡単に把握できるのが、近くのハローワークに相談に行くことです。職業訓練の相談窓口に行けば、今募集中のものや開催予定のもの等、ある程度把握することは可能です。また各労働局のホームページで確認することもできます。
なお、退職のタイミングは「訓練の開講日」だけでなく、失業給付の手続きや給付制限なども絡むことがあります。具体的なスケジュールは、早めにハローワークで確認しておくと安心です。
募集スケジュールの基本
多くの訓練コースは開講の2ヶ月から3ヶ月前に募集を行い、開講の1ヶ月前には募集を締め切ります。せっかく受講したいコースがあっても、タイミングよく開講されなければ意味がありません。
受けたいコースが過去にあったなら、次はいつ頃開講されるのか直接訓練校に確認しても良いでしょう。そのタイミングで離職を決めても良いわけです。開講スケジュールを事前に確認しながら訓練受講の計画を立てていきましょう。
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④ 訓練校選び:ハズレを引かないための施設見学
訓練校は大きく2種類あります。都道府県やポリテクセンターが運営を行う「公的な訓練施設」と、訓練を委託された「民間の企業が行う訓練校」です。前者は主に機械設備等が必要なものが中心です。
施設見学会には必ず参加する

多くの訓練校では施設見学会を実施しています。実際に訓練施設内にて訓練設備や使用する教材等、訓練内容を紹介するものです。
単にインターネットやカタログ・パンフレットで確認するよりも、実際に施設見学に行くことで肌で雰囲気を感じ取ることができます。質疑応答も含まれるため、施設見学会には積極的に参加するようにしましょう。
施設見学でチェックすべきポイント
施設見学に行ったら、以下の点を必ず確認しておきましょう。
- 担当者、講師陣の雰囲気と対応
- 建物、教室の状態(冷暖房の効きなども含む)
- 使用設備、使用パソコン、使用ソフト(特にバージョンなど)
- 通学のアクセス(交通機関、バスの本数、所要時間)
- 就職支援の充実度(求人紹介、履歴書添削、面接練習など)
場所の確認も必要です。車や交通機関でどれくらいかかるのか、バスは1時間にどれくらい走っているのかどうか等も調べる必要があります。目指したい訓練コースがある場合は、多少無理してでも通う覚悟が必要です。
就職支援の充実度は重要
訓練校によって就職先を紹介してくれるところもあります。就職するための職業訓練校ですから、実際に就職支援が充実しているかも選ぶ大切なポイントの一つです。
求人紹介だけでなく、履歴書の添削、模擬面接、ビジネスマナー研修なども行っているかどうかを確認しましょう。訓練修了後も就職が決まるまでサポートしてくれる訓練校もあります。
⑤ 取得できる資格の内容と取得時期
職業訓練選びとして忘れてはならないのが資格です。職業訓練に通うからには資格取得を目指しましょう。職業訓練は学歴にも実務経験にもなりません。特に未経験の分野に就職を希望する場合は資格取得は必須です。
どのレベルの資格を目指すコースか
訓練校によってどのような資格が取得可能か確認が必要です。訓練コースによってはレベルが異なります。
例えば簿記のコースであれば「日商簿記2級」を目指すのか、「日商簿記3級」を目指すのかではコース選びが違ってきます。どの資格を取れば就職に有利なのか、逆にどの資格を持っていなければ応募要件を満たさないのか、求人等で事前に確認する必要があります。
資格試験のタイミングが重要
また、資格試験日の把握も必要です。日商簿記(統一試験)の場合は、2月、6月、11月と年3回実施しています(現在は随時受験可能なネット試験もあります)。宅地建物取引士の資格試験は年1回10月に行われます。
避けたいケースとして、訓練終了後、期間が空いてから試験がある場合です。合格発表はさらにその後になるため、実際に資格が取れるのはかなり後になります。そうなると資格がない状況で就職活動を余儀なくされます。それでは訓練を受けた意味が薄れてしまうでしょう。
理想は訓練の終了間際に受験することです。職業訓練で学んだことを忘れないうちに試験を受けるのが一番。特に年1回の場合はそのスケジュールを考えて訓練を選びましょう。
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職業訓練のおすすめコースと選び方の基準
具体的にどのようなコースがあり、どう選べば良いのでしょうか。
年齢別のおすすめコース
20代におすすめ
- IT・プログラミング系(Web制作、アプリ開発など)
- CAD・設計系(機械CAD、建築CADなど)
- 経理・簿記系(日商簿記2級取得コース)
30代以降におすすめ
- これまでの職歴を活かせるコース(営業経験者→宅建コースなど)
- 医療事務、介護(ただし給与水準や労働環境を十分確認すること)
- 経理・簿記(実務経験があれば年齢に関わらず需要あり)
訓練期間の長さで選ぶ
訓練期間は3ヶ月から2年まで様々です。一般的な傾向として以下のようになります。
- 3ヶ月コース:基礎的なスキルと資格取得(簿記3級、医療事務など)
- 6ヶ月コース:実践的なスキルと上位資格(簿記2級、ITスキルなど)
- 1年以上のコース:専門性の高い国家資格(保育士、介護福祉士など)※受講料は無料だが教材費等は自己負担
長ければ良いというわけではありません。生活費の問題や、訓練期間が長すぎると職歴のブランクになるデメリットもあります。自分の目標に必要な期間を選びましょう。
よくある失敗パターンと対策
失敗パターン①:目的なく「とりあえず」受講
失業給付の延長目的だけで職業訓練を選ぶと、モチベーションが続かず途中で辞めてしまったり、資格が取れなかったりします。明確な目標を持って臨むことが重要です。
失敗パターン②:難易度を考えずにコース選択
IT系や簿記2級など、難易度の高いコースは訓練期間中の自宅学習が不可欠です。時間が取れない方や基礎知識がない方は挫折しやすいです。
失敗パターン③:就職市場を調べずに受講
資格を取っても求人が少ない、給与が低すぎるといったケースもあります。訓練を選ぶ前に、実際の求人情報を必ず確認しましょう。
まとめ:職業訓練は人生を変えるチャンス
職業訓練を選ぶ5つのポイントについて解説してきました。どれも大切な項目になるため、1つ1つ確認しながら職業訓練を選びましょう。
繰り返しになりますが、重要なポイントは以下の通りです。
- 自分の適性と今後のキャリアを見極める(特に30代以降はプラスアルファが必要)
- 訓練期間中と修了後の生活費を確保する
- 受けたいコースの開講スケジュールを事前に把握する
- 施設見学会に必ず参加して訓練校を比較検討する
- 取得できる資格のレベルと試験時期を確認する
ですが、最後はやはり自分を信じてチャレンジしたいかどうかです。
職業訓練で勉強するということは、1からの挑戦です。ただ何となく受けたいという理由だけでは自分の身にはなりません。ある程度の覚悟をもって取り組むことで、はじめて自分を成長させることができます。
職業訓練の良いところは仲間がいることです。自分とは異なる人生を過ごしてきた仲間と切磋琢磨することで新たな自分を発見することもできます。こんなチャンスは人生の中でも滅多にあることではありません。
今後の人生にとって「何が自分のためになるのか」、そこをじっくりと考えて、後悔のない選択をしてください。
よくある質問
職業訓練は何歳まで受けられますか?
職業訓練に年齢制限は基本的にありません。ただし、訓練校によっては「おおむね55歳未満」などの制限を設けている場合もあります。また、年齢が高くなるほど就職が難しくなる現実もあるため、30代以降の方は特に慎重にコースを選ぶ必要があります。
職業訓練は何回でも受けられますか?
回数制限はありません。ただし、雇用保険の受給資格がある方の場合、前回の訓練受講から一定期間が経過していないと「受講指示」が出ない場合があります。また、過去に訓練を途中退校した経歴がある場合は、選考で不利になる可能性があります。
職業訓練中にアルバイトはできますか?
可能です。ただし、失業給付を受給している方は、アルバイトの収入や時間によって給付額が減額されたり、給付日数が後ろ倒しになったりします。また、訓練は平日毎日あるため、アルバイトできる時間は限られます。詳しくはハローワークで確認してください。
職業訓練の選考試験はどんな内容ですか?
訓練校やコースによって異なりますが、一般的には筆記試験(国語・数学の基礎レベル)と面接があります。定員を超える応募があった場合は、就職意欲、訓練の必要性、適性などを総合的に判断して選考されます。人気コースは倍率が2〜3倍になることもあります。
訓練修了後、必ず就職しなければいけませんか?
法的な義務はありませんが、職業訓練は就職を前提とした制度です。訓練校は就職率で評価されるため、就職活動の状況報告を求められます。失業給付を受けながら訓練を受けた方は、訓練修了後も就職活動を継続するのが基本です。もし「就職する意思がないのに、給付の要件を満たすように装う」などがあると問題になる可能性があります。
公共職業訓練と求職者支援訓練、どちらが良いですか?
どちらが良いかは個人の状況によります。雇用保険を受給できる方は公共職業訓練、受給資格がない方は求職者支援訓練を選ぶことになります。訓練内容の質に大きな差はありませんが、公共職業訓練の方がコースの選択肢が多い傾向があります。
施設見学会に参加しないと選考で不利になりますか?
必須ではありませんが、参加した方が有利です。施設見学会に参加することで志望動機が明確になり、面接でも具体的に答えられます。また、訓練校側も参加者の熱意を評価する傾向があります。できる限り参加することをおすすめします。