職業訓練コース一覧

職業訓練で保育士資格を取得|試験免除の2年コース・無料の3ヶ月コース・合格率まで

「保育士になりたい。でも、専門学校に通い直すお金も時間もない」

そう感じて、保育の道をあきらめかけている方はいませんか。子どもと関わる仕事がしたいという気持ちはあるのに、資格取得までのハードルが高すぎて動き出せない。そんな状況は、実はとてももったいないことです。

職業訓練(ハロートレーニング)を利用すれば、保育士の国家資格を取得できる2年コースと、保育補助として働くための知識を3ヶ月で学べる無料コースがあります。どちらも、独学では得られない実践的なカリキュラムが組まれています。

この記事では、職業訓練で保育士・保育補助を目指す方法について、2つのコースの違い、カリキュラムの中身、保育士試験の合格率や受験資格、そして就職先と給与のリアルまで、詳しく解説します。自分にはどちらのコースが合っているのか、読み終わる頃にはきっと判断できるはずです。

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職業訓練の保育系コースは2種類ある

保育に関する職業訓練は、大きく2つに分かれます。目指すゴールがまったく異なるため、まずこの違いを理解することが重要です。

保育系の職業訓練 2つのコース比較

項目 2年コース(保育士養成) 3ヶ月コース(保育者養成)
取得できる資格 保育士(国家資格) 資格取得なし(知識・技能の習得)
訓練期間 2年間(4月開講) 約3ヶ月(不定期開講)
費用 年額10万円程度 無料
訓練の種類 公共職業訓練 公共職業訓練/求職者支援訓練
主な対象者 雇用保険の受給資格がある方 求職中の方全般

保育士資格を確実に取りたいなら2年コース。まずは保育の現場で働きながら、将来的に資格取得を目指したいなら3ヶ月コース。自分の状況と目標に合わせて選んでください。

2年コースを選ぶ際の注意点

2年コースは非常に魅力的ですが、いくつかの条件があります。

2年コースの金銭メリットと注意点

  • 開講時期は毎年4月のみ(途中入学はできません)
  • 雇用保険の受給資格を満たしている必要がある
  • 失業給付の支給残日数に条件がある(目安として所定日数の3分の2以上など、自治体やコースにより異なります)
  • 高校卒業以上の学歴が必要

特に注意したいのが、開講が年1回(4月)しかない点です。申し込み時期を逃すと、次の開講まで1年待つことになります。

【重要】「受講指示」を受けられれば給付が手厚くなります

ハローワークから「受講指示」を出してもらえると、以下のような強力なメリットがあります。

  • 給付制限の解除:自己都合退職で給付制限期間中であっても、訓練開始日から失業給付の支給が始まります。
  • 受給期間の延長:本来の支給日数が終わっても、訓練終了まで給付が延長される場合があります(通所手当等も含む)。

※受講指示には一定の条件(支給残日数や再就職の意思など)があります。必ず事前に窓口で相談してください。

3ヶ月コースでも保育士の勉強はできる

「3ヶ月コースでは保育士資格は取れない」と聞くと、価値がないように感じるかもしれません。しかし、それは誤解です。

3ヶ月コースでも保育士国家試験に基づいた科目を学びます。保育原理、児童家庭福祉、発達心理学など、保育士試験の出題範囲と重なる内容が多く含まれています。つまり、このコースで学んだ知識は、将来的に独学で保育士試験に挑戦する際の土台になるということです。

さらに、修了後は「保育補助」として保育現場で働くことが可能です。現場経験を積みながら試験合格を目指すという道もあります。

訓練コースの内容(カリキュラム実例)

それぞれのコースで何を学ぶのか、具体的なカリキュラムを見ていきましょう。

2年コース:保育士養成科

厚生労働大臣指定の保育士養成施設で、2年間かけて保育士資格の取得を目指すコースです。

項目 内容
訓練期間 2年間(4月開講)
総時間 1,845時間以上(うち実習240時間以上)
主な講義・演習科目 保育原理、教育原理、児童家庭福祉、社会福祉相談援助、社会的養護、保育者論、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、家庭支援論、保育課程論、保育内容総論・演習、乳児保育、障害児保育、保育の表現技術、保育実践演習 ほか
実習 保育園実習、施設実習 等
取得資格 保育士(国家資格)※訓練修了と同時に取得(国家試験免除)
応募資格 高校卒業以上、ハローワークの受講指示・受講推薦等を受けられる方
主な就職先 保育所、託児所、障害児施設、児童養護施設、母子支援施設 等

このコースの最大のメリットは、訓練修了と同時に保育士の国家資格が取得できる点です。厚生労働大臣指定の養成課程を履修するため、国家試験を受ける必要がありません。専門学校に通うのと実質同じ内容を、年額10万円程度という破格の費用で学べます。

3ヶ月コース:保育者養成科

保育現場で即戦力として働ける知識と技能を、3ヶ月で集中的に学ぶコースです。保育士資格の取得はできませんが、保育補助として現場に出るための実践力を身につけます。

区分 科目 科目の内容
学科 安全衛生 保育作業と安全衛生
保育各論Ⅰ 栄養の基礎知識、子どもの発育と栄養、子どもの健康と保健、精神疾患・発達、母子保健、感染症、保健衛生施策、事故・疾病の処置、保育の発達心理学、教育原理、保育の心理学
保育各論Ⅱ 児童家庭福祉、児童福祉の法律、社会福祉とその対象、障害児保育、発達障害、社会的養護、保育実習理論、保育者保育指針、食生活のアドバイス
保育現場の実際 保育所・放課後学童ルーム・児童福祉施設の理解、保育指導案の計画・作成、保育連絡帳の活用実践、保育現場の安全衛生管理 等
就職支援 職務経歴書・履歴書の書き方指導、ジョブ・カード作成、面接の受け方指導 等
ヘルスケアフードアドバイザー講習 健康食品の知識、サプリメント健康食品学
クッキングコーディネーター講習 ハーブ・薬膳の基礎から活用、献立の活用、調理商品知識
実技 保育演習活動実習・遊戯技術 音楽表現技術、楽器・伴奏、絵本・紙芝居の活用、年齢や季節に応じた遊戯の選択
保育演習活動実習・表現 弾き歌い・リズム歌唱指導、リトミック、わらべうた、手あそび、子どもの特性に応じた表現方法
保育演習活動実習・造形展開 工作、折り紙、幼児製作、お絵かき、色遊び、絵画、造形技術
保育演習活動実習・食育 食を通じて生きる力を育む指導、ベビーフード等の取扱い、行事食の提案、離乳食の提供方法
その他 職業人講話
訓練総時間:約320時間

3ヶ月という短い期間ですが、学科では保育士国家試験の出題範囲に沿った内容を学び、実技では音楽・造形・食育といった保育の現場で欠かせないスキルを身につけます。座学だけでなく、実際に手を動かし、声を出し、子どもとの関わり方を体で覚える時間がしっかり確保されています。

保育士

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保育士資格と試験について知っておくべきこと

2年コースなら国家試験免除で資格が取れますが、3ヶ月コースを選んだ場合や、独学で保育士を目指す場合は国家試験に合格する必要があります。ここでは、受験資格と試験内容、合格率について整理します。

保育士資格 取得ルート図

保育士試験の受験資格

保育士試験を受けるには、「最終学歴」が大きく関わってきます。

最終学歴 受験資格
大学・短大・専門学校(2年制以上)卒業 受験資格あり(学部・学科は問わない)
大学在学中・中退 条件を満たせば受験資格あり
高校卒業(平成3年3月31日以前に卒業) 受験資格あり
高校卒業(平成3年4月1日以降に卒業) 児童福祉施設での実務経験が必要(2年以上かつ2,880時間以上)
中学校卒業 児童福祉施設での実務経験が必要(5年以上かつ7,200時間以上)

保育とは関係のない学部・学科を卒業していても、大学・短大・専門学校(2年制以上)であれば受験資格があります。意外と知らない方が多いポイントです。

なお、職業訓練の2年コース(保育士養成科)は厚生労働大臣指定の養成施設に該当するため、修了すれば国家試験を受けずに保育士資格が取得できます

保育士試験の内容

保育士試験は、筆記試験と実技試験の2段階で構成されています。現在は、年2回(前期・後期)実施されています。

保育士試験 科目別合格制の仕組み図

【筆記試験(1次)】

以下の9科目で実施され、各科目6割以上の得点で合格となります。

  • 社会福祉
  • 児童家庭福祉
  • 保育の心理学
  • 子どもの保健
  • 子どもの食と栄養
  • 保育原理
  • 教育原理
  • 社会的養護
  • 保育実習理論

筆記試験の「科目別合格制」を知っておこう

  • 一度合格した科目は翌々年まで(3年間)有効
  • 不合格の科目だけ翌年に再受験すればよい
  • ただし「教育原理」と「社会的養護」は同一年に両方合格が必要(片方だけの持ち越し不可)

9科目すべてを一度に合格する必要はありません。科目別合格制を活用して、2〜3年かけて計画的に合格を目指す方も多くいます。

【実技試験(2次)】

筆記試験に全科目合格した方のみ受験できます。以下の3分野から2分野を選択し、両分野とも6割以上の得点で合格です。

  • 音楽表現に関する技術
  • 造形表現に関する技術
  • 言語表現に関する技術

合格後は、登録事務処理センターを通じて都道府県知事への登録を行い、保育士証の交付を受けて初めて「保育士」として働けるようになります。

保育士試験の合格率

保育士試験の合格率は20%〜30%前後で推移しており、決して簡単な試験ではありません。

年度 受験者数 合格者数 合格率
2021年(令和3年) 83,175名 16,660名 20.0%
2022年(令和4年) 79,378名 23,758名 29.9%
2023年(令和5年) 66,625名 17,955名 26.9%
2024年(令和6年) 58,767名 15,475名 26.3%

合格率だけを見ると厳しく感じますが、科目別合格制があるため、計画的に取り組めば十分に合格を狙えます。3ヶ月の職業訓練で基礎を固め、修了後に独学で試験対策を続けるという戦略も現実的です。

就職先と給与のリアル

保育士の資格を取った後、あるいは保育補助として働き始めた後、どんな現実が待っているのか。良い面も厳しい面も、正直にお伝えします。

主な就職先

  • 保育所(認可保育園・認可外保育施設)
  • 児童養護施設
  • 学童保育(放課後児童クラブ)
  • 知的障害児施設
  • 託児所
  • 母子生活支援施設

子どもの数自体は減少傾向にありますが、共働き世帯の増加や保育の質への社会的要請から、保育士の需要は依然として高い状態が続いています。待機児童問題の根本的な原因のひとつが「保育士不足」であることからも、資格保有者が求められていることは明らかです。

保育士の給与と処遇改善の動き

保育士の給与水準は、長らく「仕事の大変さに見合わない」と言われてきました。しかし、政府の処遇改善策により少しずつ改善が進んでいます。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は約400万円(賞与等を含む)となっています。月額の所定内給与(手当等を含む月収)の平均は約27万円程度です。

政府は2022年の月額約9,000円引き上げに加え、2024年(令和6年度)には過去最大規模となる公定価格のベースアップを実施しました。

保育士は国に認められた国家資格であり、専門職です。社会的な認知が進むにつれ、待遇改善の流れは今後も続くと考えられます。

保育現場の現実

給与以外にも、保育現場にはいくつかの課題があります。

  • 労働時間が長く、持ち帰り仕事が発生しやすい
  • 保護者対応の難しさ
  • 女性が大多数を占める職場環境ならではの人間関係
  • 子どもの安全を常に守るという精神的な緊張感

これらは事実ですが、同時に「子どもの成長を間近で見られる」「感謝される場面が多い」「社会に欠かせない仕事をしているという誇り」を感じている保育士も多くいます。課題を知った上で、それでもやりたいと思えるかどうか。それが保育の仕事を長く続けるための大切な判断基準です。

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まとめ。自分に合ったコースを選び、保育の道へ

職業訓練で保育の道を目指すには、2つのルートがあります。

確実に保育士資格を取りたいなら、2年コース。年額10万円程度で国家資格が取得でき、国家試験も免除されます。ただし、開講は年1回(4月)のみで、ハローワークの受講指示が必要です。

まずは保育の現場に出たいなら、3ヶ月コース。受講料無料で、保育補助として働くための知識と技能を身につけられます。将来的に保育士試験に挑戦する際の土台にもなります。

どちらのコースを選んでも、「子どもに関わる仕事がしたい」という気持ちがあれば、職業訓練はその第一歩を踏み出すための強力な支援になります。

【ハローワークへ行く前に確認!】

  • 自分が「受講指示」を受けられる条件(残日数など)にあるか
  • 希望する訓練コースの募集締切はいつか(特に2年コースは4月開講のみ)
  • 本気で2年間、または3ヶ月間通い切る覚悟があるか

保育士は、社会から必要とされている専門職です。まずはハローワークで、自分の地域で開講されるコースを確認してみてください。

よくある質問(FAQ)

職業訓練で保育士の国家資格は取得できますか?

はい、2年コース(保育士養成科)を修了すれば、国家試験免除で保育士資格を取得できます。厚生労働大臣指定の養成課程を履修するため、修了と同時に資格が付与されます。3ヶ月コースでは保育士資格は取得できません。

3ヶ月コースを修了しても保育の仕事に就けますか?

はい、保育補助として働くことは可能です。保育士の資格がなくても、保育補助として保育園や児童施設で働くことができます。現場経験を積みながら、将来的に保育士試験に挑戦する方もいます。

2年コースの費用はどのくらいかかりますか?

年額10万円程度です。民間の保育士養成の専門学校(年間100万円前後)と比べると、大幅に費用を抑えられます。さらに、雇用保険の受給資格がある方は、給付を受けながら受講できる場合があります。

保育士試験の合格率はどのくらいですか?

合格率は20%〜30%前後で推移しています。ただし、科目別合格制が導入されており、一度合格した科目は3年間有効です。2〜3年かけて計画的に全科目の合格を目指す方法が一般的です。

保育士試験の受験資格に学歴は関係ありますか?

はい、関係があります。大学・短大・専門学校(2年制以上)の卒業者は学部に関係なく受験資格があります。高校卒業の場合、卒業年度によっては児童福祉施設での実務経験が必要になります。詳しくは記事内の受験資格の表をご確認ください。

参考・出典

  • 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
  • こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」
  • 厚生労働省「ハローワーク 職業訓練の受講指示について」
  • 全国保育士養成協議会「保育士試験 実施結果」

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