「食が好き!」それこそが最強で必要なスキルです。フードビジネス・食育の職業訓練についての紹介です。調理師の免許を取得する訓練ではありません。
食をめぐるビジネスの全体像をつかむ人材を養成していきます。一口にフードビジネスといっても、食品メーカー、食品製造業、流通、店舗開発、企画設計、広報、経営など活躍する場所は様々です。
ライフスタイルが多様化している今、消費者が求める食の価値も多様化しています。そのため、商品企画・販促・食育など周辺領域を含めてニーズが伸びている分野もあります。
■目次
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調理師の職業訓練との違い
フードビジネス・食育の職業訓練と調理師の職業訓練は、全く異なる内容です。
フードビジネス・食育の職業訓練
- 調理技術よりも、食のビジネス・企画・マーケティングを学ぶ
- フードコーディネーター資格の取得を目指す
- 調理実習はあるが、調理師免許は取得できない
- 食品開発、メニュー企画、フードコンサルティングなどが就職先(または将来のキャリアアップ先)
調理師の職業訓練
- 調理技術を中心に学ぶ
- 調理師免許の取得を目指す
- 実習が中心のカリキュラム
- 飲食店、ホテル、施設などが就職先
「料理を作る技術を学びたい」なら調理師の訓練、「食のビジネスや企画に携わりたい」ならフードビジネスの訓練を選びましょう。
職業訓練でフードビジネスを学んで就職できるのか
結論から言うと、未経験から職業訓練だけでフードビジネス業界に就職するのは容易ではありませんが、不可能ではありません。
就職が難しい理由
- フードビジネスは経験者や専門学校卒業者が優遇される
- 食品業界、飲食業界での実務経験が重視される
- フードコーディネーター資格だけでは就職に直結しない
- 給与が低めで非正規雇用が多い
- 華やかなイメージとは異なる地道な仕事が多い
職業訓練を活かすポイント
- フードコーディネーター3級は必ず取得する
- 食品衛生責任者の資格も取得する(多くは講習会受講で取得可能)
- 飲食店や食品メーカーでのアルバイト・パート経験をアピールする
- 食品販売、飲食店スタッフなど周辺職種も視野に入れる
- 未経験OKの求人、契約社員・パートからのスタートも検討する
現実的なキャリアパス
- 食品メーカーの営業・販売、飲食店スタッフからスタート
- 実務経験を1〜3年積む
- 食品開発、メニュー企画、フードコンサルタントへキャリアアップ
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訓練内容
「食」に関する基本的な知識・技術及びマーケティング・経営・サービス等の知識を習得し、多様化するフードビジネス界の様々なシーンで活躍できる人材を育成します。
(コース例)フードビジネスコース科(4ヶ月コース)
※求職者支援訓練
| 科目 | 科目の内容 | 時間 | |
|---|---|---|---|
| 学科 | フードビジネスⅠ | 食文化、食品と食材、健康と栄養、厨房設備、調理機器等についての知識を習得 | 54 |
| フードビジネスⅡ | 食環境・食空間の構成とデザイン、経済、経営、マーケティングについての知識を習得 事業計画書・食の企画書の作成 | 54 | |
| 食農基礎 | 食の源である農業、日本の食・郷土料理等についての知識を習得 | 60 | |
| 安全衛生 | 衛生法規・公衆衛生・食品衛生など食の安全について習得 | 12 | |
| 就職支援対策 | ジョブカードの説明・作成、自己分析、応募書類作成、面接対策など | 30 | |
| 実技 | フードコーディネート実技・実習 | テーブルコーディネート・テーブルマナーの実践、フラワーコーディネート・POP広告の制作 | 66 |
| 食農・調理実習 | 調理機器・器具の使い方も含めた各種調理実習、メディカルハーブの活用法、実習農場での農業の基礎実習 | 60 | |
| プレゼンテーション実習 | パソコンの基礎知識を学びHP・PowerPoint等を習得してプレゼンテーション技法を身につける | 48 | |
| 見学・職業人講話 | フードビジネス分野の実際を見学・体験する。企業の第一線で活躍している方に働くことの意義・企業が求めている人材像等の話を聞きフリーディスカッションを行う | 36 | |
| 訓練総時間:420時間 | |||

主な取得可能資格
フードコーディネーター3級
特定非営利活動法人日本フードコーディネーター協会が認定する資格です。「食」の世界が細分化されより専門化する中で、それぞれの分野で複合的にコーディネートするのがフードコーディネーターです。
食をテーマに「ヒト・モノ・カネ」そして「情報」をトータルにプロデュースする食の専門家として位置づけられています。
フードコーディネーター3級資格試験
合格率:約70〜80%程度(推定)
職業訓練でしっかり学習すれば合格可能なレベルです。未経験からフードビジネス業界を目指す場合、この資格は必ず取得しておきましょう。
フードコーディネーター2級資格試験(1次試験)
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2023年度 | 85.9% |
| 2022年度 | 82.39% |
| 2021年度 | 84.80% |
| 2019年度 | 86.49% |
※2018年度より2次試験は認定講座に変更
※2020年はコロナ禍で中止
フードコーディネーター1級資格試験
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2024年度 | 40.0% |
| 2023年度 | 29.7% |
| 2022年度 | 40.0% |
| 2021年度 | 22.58% |
※2020年はコロナ禍で中止
出典:特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会
その他の取得可能資格
- 食品衛生責任者(講習会受講で取得可能)
- 食生活アドバイザー(FLAネットワーク協会)
- クッキングコーディネーター
- ヘルスケアフードアドバイザー
- サービス接遇検定3級
※すべて任意受験
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主な就職先の業種、職種
業種
- 飲食業
- 食品加工業・食品メーカー
- 食品卸売・小売
- ホテル・レストラン
- カフェ・ベーカリー
- 食品コンサルティング会社
- 料理教室・食育関連企業
職種
- フード関連における加工製造・接客・販売
- 食品開発
- メニュー企画
- フードコンサルティング
- 食品関連の講師
- 商品企画・マーケティング
- 食品営業
給与と働き方
給与の目安
未経験からのスタート
- 食品メーカー営業・販売:年収250〜330万円
- 飲食店スタッフ:時給1,150〜1,400円、正社員年収250〜320万円
- 食品開発アシスタント:年収280〜350万円
経験3〜5年
- 食品開発:年収350〜450万円
- メニュー企画:年収350〜500万円
- フードコンサルタント:年収400〜600万円
※地域や企業規模により異なります。2026年1月時点の目安です。
働き方の特徴
メリット
- 好きな「食」に関わる仕事ができる
- 創造性を活かせる
- 消費者の反応を直接感じられる
- 食のトレンドに敏感になれる
デメリット
- 給与が低めの求人が多い
- 非正規雇用(契約社員・パート)が多い
- 華やかなイメージとは異なる地道な仕事が多い
- 土日祝日勤務が多い(飲食店、販売職の場合)
- 実務経験が重視され、資格だけでは就職が難しい
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転職でフードビジネスを目指す場合
既に社会人経験があり、転職でフードビジネスを目指す場合の注意点です。
有利な経験
- 飲食店での勤務経験
- 食品メーカー・食品卸での営業・販売経験
- マーケティング・商品企画の経験
- 栄養士・管理栄養士の資格と実務経験
年齢制限について
フードビジネス業界は、他の業界と比べて年齢制限が比較的緩やかです。30代、40代でも未経験から始められる可能性はあります。ただし、給与水準が低めになることを覚悟する必要があります。
転職成功のポイント
- 前職の経験をどう活かせるかを明確にする
- フードコーディネーター資格を取得して本気度を示す
- まずは契約社員・パートからスタートすることも検討する
- 食品業界での人脈を作る(料理教室、食イベントなどへの参加)
まとめ
フードビジネス・食育の職業訓練は、調理師の免許を取得する訓練ではなく、食のビジネス・企画・マーケティングを学ぶ訓練です。
未経験から就職するのは容易ではありませんが、フードコーディネーター3級を取得し、食品業界での実務経験を積むことで、食品開発、メニュー企画、フードコンサルタントなどへのキャリアアップが可能です。
職業訓練を最大限活かすためのポイント
- フードコーディネーター3級は必ず取得する
- 食品衛生責任者の資格も取得する
- 食品販売、飲食店スタッフなど周辺職種も視野に入れる
- 給与水準が低めになることを覚悟する
- まずは契約社員・パートからスタートすることも検討する
「食が好き」という気持ちは最強のスキルですが、それだけでは就職は難しいのが現実です。訓練をスタート地点として、実務経験を積み重ねながらスキルアップしていく覚悟が必要です。
よくある質問
職業訓練でフードビジネスを学んで就職できますか?
未経験から職業訓練だけでフードビジネス業界に就職するのは容易ではありませんが、不可能ではありません。フードコーディネーター3級を取得し、食品衛生責任者の資格も取得した上で、まずは食品メーカーの営業・販売、飲食店スタッフなどからスタートし、実務経験を積みながら食品開発やメニュー企画へキャリアアップしていくのが現実的なルートです。
調理師の職業訓練との違いは何ですか?
フードビジネス・食育の職業訓練は、調理技術よりも食のビジネス・企画・マーケティングを学び、フードコーディネーター資格の取得を目指します。調理実習はありますが、調理師免許は取得できません。一方、調理師の職業訓練は調理技術を中心に学び、調理師免許の取得を目指します。「料理を作る技術を学びたい」なら調理師、「食のビジネスや企画に携わりたい」ならフードビジネスを選びましょう。
フードコーディネーター資格は就職に役立ちますか?
フードコーディネーター資格だけでは就職に直結しませんが、未経験からフードビジネス業界を目指す場合、3級は必ず取得しておくべきです。資格は「食に関する基礎知識がある」ことの証明になり、書類選考で有利になる場合があります。ただし、資格よりも食品業界、飲食業界での実務経験が重視されるため、資格取得と並行して実務経験を積むことが重要です。
給与はどのくらいですか?
未経験からのスタートで、食品メーカー営業・販売は年収250〜330万円、飲食店スタッフは正社員で年収250〜320万円、時給1,150〜1,400円程度が目安です。経験3〜5年で食品開発は年収350〜450万円、メニュー企画は年収350〜500万円、フードコンサルタントは年収400〜600万円程度です。フードビジネス業界は給与水準が低めで、非正規雇用も多いため、給与を最優先で考えている方には向いていません。
転職でフードビジネスを目指せますか?
社会人経験がある方が転職でフードビジネスを目指すことは可能です。フードビジネス業界は年齢制限が比較的緩やかで、30代、40代でも未経験から始められる可能性があります。ただし、給与水準が低めになることを覚悟する必要があります。飲食店での勤務経験、食品メーカーでの営業・販売経験、マーケティング・商品企画の経験があると有利です。
年齢制限はありますか?
フードビジネス業界は、他の業界と比べて年齢制限が比較的緩やかです。30代、40代でも未経験から始められる可能性はあります。ただし、年齢が上がるほど給与水準が低めになることや、非正規雇用からのスタートになる可能性が高いことを覚悟する必要があります。若い方が有利ではありますが、「食が好き」という情熱と前職の経験を活かせれば、年齢に関係なくチャレンジできる業界です。
どのような人がフードビジネスに向いていますか?
フードビジネスに向いているのは、食が好きで、創造性を活かせる仕事がしたい、消費者の反応を直接感じられる仕事がしたい、食のトレンドに敏感である、という方です。ただし、華やかなイメージとは異なる地道な仕事が多く、給与も低めで非正規雇用が多いため、「食への情熱」を給与よりも優先できる方に向いています。給与を最優先で考えている方、土日祝日に休みたい方には向いていません。