職業訓練の役に立つ話

職業訓練で保育士・介護士に!2年コースの倍率と500万円得する仕組み

2013年12月24日

職業訓練には通常3〜6ヶ月のコースが多いですが、保育士や介護福祉士を目指せる2年間の長期コースも存在します。

このコースの最大の魅力は、民間の専門学校に通う場合と比べて、学費や雇用保険の延長給付を含めると500万円以上も得になる可能性があるという点です。

ただし、「本当に入校できるのか」「倍率はどのくらいなのか」「途中で辞めたらどうなるのか」といった不安を感じている方も多いでしょう。

先に結論を言うと、介護福祉士コースは定員割れ傾向で入りやすい年が多く保育士コースは1倍前後でも学校によって差が大きい傾向があります。さらに、学費面のメリットに加えて「受講指示」を受けられれば、訓練期間中の給付が続くため金銭面の差が大きくなります(ただし入校日時点の残日数確認が必須です)。

この記事では、保育士・介護福祉士の2年コース職業訓練について、倍率の実態、費用面でのメリット、受講条件、注意点まで詳しく解説します。

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保育士・介護福祉士コースの倍率はどのくらいか

まず最も気になる「倍率」について説明します。

介護福祉士コースは定員割れが続いている

介護福祉士コースは、ここ数年ほぼ全ての実施施設で定員割れとなっています。

東京都の過去のデータ(平成29年度)では、全17校の合計倍率は0.31倍。つまり定員476名に対して応募者は146名でした。直近の令和6年度の計画においても、介護分野は充足率が低い傾向が続いており、介護福祉士コースは比較的「入校しやすい」状況にあります。

介護職への就職を希望する人が少ないこと、2年間という長期コースへの心理的ハードルが高いことが、この定員割れの要因と考えられます。

保育士コースは施設によって倍率に差がある

一方、保育士コースは施設によって状況が異なります。

東京都の過去のデータでは、全8校の合計倍率は1.05倍。定員237名に対して応募者249名でした。

ただし、施設ごとに見ると以下のようにばらつきがあります。

  • 日本児童教育専門学校:2.08倍(定員25名、応募52名)
  • 彰栄保育福祉専門学校:1.50倍(定員20名、応募30名)
  • アルファ医療福祉専門学校:1.52倍(定員25名、応募38名)
  • 大原医療秘書福祉保育専門学校:0.40倍(定員10名、応募4名)

人気校では2倍を超えることもありますが、施設を選べば定員割れしているところもあります。

保育士は介護福祉士と比べて就職先が安定していることや、資格取得後のキャリアの幅が広いことから、一定の人気があります。

倍率は毎年変動する

紹介したデータは一例であり、倍率は年度ごとに変動します。

最新の応募状況については、各都道府県の職業訓練情報サイトで確認するか、ハローワークで直接問い合わせることをおすすめします。

ただし、傾向として「介護福祉士は定員割れ傾向」「保育士は1倍前後だが施設による差が大きい」という点は、ここ数年変わっていません。

2年コースで500万円以上得になる仕組み

次に、なぜこのコースが「500万円以上も得」と言えるのか、具体的に計算してみます。

民間の専門学校との学費の差

民間の保育士・介護福祉士専門学校に2年間通う場合、学費は平均で約200万円〜250万円かかります。

一方、職業訓練の2年コースでは、受講料は無料です。自己負担額は教科書代や実習費、実習服代などを含めても10万円〜20万円程度で済みます。

この差だけで、約190万円以上の節約になります。

雇用保険の基本手当が2年間延長される

さらに大きいのが、雇用保険(失業給付)の延長です。

ハローワークから「受講指示」を受けて職業訓練に通う場合、訓練期間中は失業給付が延長されます(訓練延長給付)

通常、失業給付は90日〜150日程度で終了しますが、受講指示を受けた職業訓練に通っている間は、原則として訓練が終了するまで給付が続きます(途中で就職扱いになる働き方をした場合などは継続できません)。

仮に基本手当(日額)が5,000円の場合、1か月あたり約15万円(概算)になります。これが2年間(24ヶ月)続くと:

15万円 × 24ヶ月 = 360万円

交通費(通所手当)も支給される

受講指示を受けて通う場合、交通費(通所手当)も支給されます(上限あり)。

仮に月1万円の交通費がかかる場合:

1万円 × 24ヶ月 = 24万円

合計すると574万円の価値

以上をまとめると:

  • 学費の差:約190万円
  • 基本手当:360万円
  • 通所手当:24万円

合計:574万円

つまり、民間の専門学校に自費で通う場合と比べて、500万円以上も得をする計算になります。

※基本手当の日額は、離職前の給与によって異なります。上記は一例であり、実際の金額は個人によって変わります。

受講指示については、「受講指示」と「受講推薦」についての記事で詳しく解説しています。

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2年コースを受講するための条件

このように非常にメリットの大きい2年コースですが、誰でも受講できるわけではありません。受講にあたっては、いくつかの条件と注意点があります。

開講時期は毎年4月のみ

保育士・介護福祉士の2年コースは、毎年4月に開講します。

申込期間は通常1月〜2月上旬頃ですが、都道府県によって締切日が異なるため、必ず事前に確認してください。

年に1回しか開講しないため、タイミングを逃すと1年待つことになります。

受講指示を受けるには雇用保険の残日数が必要

最大のポイントは、4月の入校日時点で、雇用保険の受給資格期間(残日数)が一定以上あるかどうかです。

受講指示を受けるためには、原則として訓練開始日に雇用保険の受給資格(所定給付日数)が残っている必要があります。

2025年4月の法改正による注意点
2025年4月から、自己都合退職の給付制限期間が原則「2ヶ月」から「1ヶ月」に短縮されました。これにより、失業給付の受給開始が早まるため、以前よりも早い段階で所定給付日数を消化してしまう可能性があります

例えば:

  • 12月に離職して、翌年4月の訓練に申し込む場合 → 給付が早めに始まる分、4月までに所定給付日数を思った以上に消化してしまうリスクがあります。必ずハローワークで「入校日時点で残日数が足りるか」を事前確認してください。

もし入校日に必要な残日数がない場合、受講指示を受けられず、雇用保険の延長メリットを受けることができません。

その場合、2年間ほぼ無収入で通うことになるため、生活費の準備が必要です。

アルバイトは週20時間未満まで

職業訓練中もアルバイトは可能ですが、週20時間未満という制限があります。

週20時間以上働いて雇用保険に加入すると「就職した」とみなされ、訓練を続けられなくなります。

※雇用保険の適用拡大(週10時間以上)は2028年10月からの予定ですので、2026年現在は週20時間未満であれば雇用保険加入の対象外です。

訓練中の生活費は、雇用保険の給付か貯金、家族の支援などで賄う必要があります。

本当に2年間頑張れるかの覚悟が必要

もう一つの重要なポイントは、本当に2年間勉強し続けられるかです。

この2年コースは、保育士または介護福祉士の資格取得を目標に、2年間通学・実習を継続する前提で設計されています。

万が一、途中で「やっぱり向いていない」と感じて辞めてしまった場合:

  • 資格は取得できない
  • 訓練期間が職歴のブランクとして残る
  • 就職活動で不利になる可能性がある

そのため、「必ずこの資格を取って、この仕事で生きていく」という強い覚悟が必要です。

中途半端な気持ちで始めると、後悔することになりかねません。

保育士・介護福祉士コースの実施状況(東京都の例)

参考までに、東京都で実施されている保育士・介護福祉士コースの一例を紹介します。

以下は過去のデータですが、実施施設や定員は年度によって変わることがあります。最新情報は各都道府県の職業訓練情報サイトで確認してください。

介護福祉士養成コース(東京都・過去データ例)

実施施設名 定員 応募者数 倍率
日本福祉教育専門学校 40 32 0.8
早稲田速記医療福祉専門学校 15 2 0.13
読売理工医療福祉専門学校 30 8 0.27
世田谷福祉専門学校 30 7 0.23
合計(全17校) 476 146 0.31

保育士育成コース(東京都・過去データ例)

実施施設名 定員 応募者数 倍率
東京国際福祉専門学校 37 26 0.70
草苑保育専門学校 40 39 0.98
アルファ医療福祉専門学校 25 38 1.52
日本児童教育専門学校 25 52 2.08
合計(全8校) 237 249 1.05

※上記は過去の参考データです。

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専門実践教育訓練という選択肢もある

職業訓練の2年コース以外にも、「専門実践教育訓練」という制度があります。

この制度を使えば、看護師(3年)、美容師、あん摩マッサージ指圧師など、幅広い資格取得のための学校に通いながら、給付金を受け取ることができます。

専門実践教育訓練では:

  • 受講費用の最大70%(年間上限56万円)が支給される
    ※2024年10月以降、受講後の賃金上昇など一定の要件を満たす場合、さらに10%上乗せされ最大80%(年間上限64万円)となる制度も開始されています。
  • 45歳未満で失業状態にあるなど条件を満たせば、「教育訓練支援給付金」も受給可能
    ※2025年4月以降の入学者から、給付率は基本手当の60%に変更されています(以前は80%)。

詳しくは、専門実践教育訓練についての記事をお読みください。

まとめ

保育士・介護福祉士の2年コース職業訓練は、学費の節約と失業給付の延長により、民間の専門学校と比べて500万円以上の経済的メリットがあります。

倍率については、介護福祉士コースは定員割れ傾向、保育士コースは施設によって差があるものの、全体としては1倍前後です。

ただし、受講するには以下の点に注意が必要です:

  • 開講は年1回(毎年4月)のみ
  • 受講指示を受けるには、入校日に雇用保険の受給資格が必要
  • 2年間勉強し続ける覚悟が必要
  • 途中で辞めると資格が取れず、ブランクだけが残る

本気で保育士・介護福祉士を目指すなら、非常に有利な制度です。まずはハローワークで最新の募集状況や、自分が受講指示を受けられるかを相談してみましょう。

よくある質問

Q1. 倍率が低い介護福祉士コースなら、誰でも入校できますか?

A. 倍率が低くても、一定の選考はあります。面接や適性検査が実施されることが多く、「本当にこの仕事を目指しているか」「2年間通い続けられるか」などが評価されます。ただし、定員割れしている場合は、よほど不適格でない限り入校できる可能性が高いです。

Q2. 受講指示を受けられなくても、訓練には通えますか?

A. はい、通えます。ただし、雇用保険の延長給付は受けられないため、2年間ほぼ無収入で生活する必要があります。貯金や家族の支援がない場合は、経済的に厳しいでしょう。

Q3. 40代や50代でも受講できますか?

A. 年齢制限は基本的にありません。ただし、資格取得後に就職できるかどうかは、年齢や体力、施設の採用方針によって変わります。特に介護福祉士は体力勝負の面もあるため、自分の適性をよく考える必要があります。

Q4. 訓練中にアルバイトはできますか?

A. 週20時間未満であれば可能です。ただし、週20時間以上働いて雇用保険に加入すると「就職した」とみなされ、訓練を継続できなくなります。また、失業給付を受けている場合は、アルバイト収入によって給付額が減額されることがあります。

Q5. 途中で辞めたら、それまで受け取った失業給付を返還する必要がありますか?

A. 基本的に返還は不要です。ただし、訓練を途中で辞めた時点で失業給付の延長は終了し、残りの受給資格があればその範囲内で給付を受けることになります。なお、虚偽の申告など不正受給に該当する場合は返還が必要です。

Q6. 保育士と介護福祉士、どちらが就職しやすいですか?

A. 地域や時期にもよりますが、一般的には両方とも人手不足のため就職しやすい職種です。保育士は待機児童問題があるエリアでは特に需要が高く、介護福祉士は高齢化社会で常に求人があります。ただし、労働条件や給与面では、どちらも厳しい面があるため、事前にしっかり調べることをおすすめします。

Q7. 最新の倍率情報はどこで確認できますか?

A. 各都道府県の職業訓練情報サイト、またはハローワークで確認できます。特にハローワークでは、過去の応募状況や今年の募集予定なども聞けるため、直接相談することをおすすめします。

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