職業訓練に応募する際、第一希望が不合格だったときのことを考えると「複数の訓練に同時に申し込めないか」と考える人は多いです。特に倍率が高いコースや、人気のWEBデザイン・プログラミング系の訓練では、落ちた場合の備えをしておきたいと思うのは当然のことです。
この記事では、職業訓練の併願ルールについて、公共職業訓練と求職者支援訓練の違いも含めて詳しく解説します。また、不合格になった場合の対処法や、受講指示で入校するための残日数の考え方についても、実務的な視点から説明します。
■目次
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職業訓練の併願は原則できない
結論から言えば、職業訓練の併願は原則できません。必ず今申込んでいる訓練コースの結果が出てから、次の訓練コースに申し込む必要があります。
ここでいう「併願」とは、同時に複数の訓練に申し込むことです。例えば、神奈川県のWEBデザイナーの訓練を受けたいけれど落ちる可能性があるので、東京都のWEBデザイナーの訓練も同時に申し込む、といったケースです。このような併願は認められていません。
この制限がある理由は、訓練の受講枠を公平に配分するためです。もし併願が可能になると、複数の訓練枠を一人が仮押さえしてしまい、他の受講希望者が受講できなくなる可能性があります。そのため、必ず一つの訓練の結果を待ってから次の訓練に申し込むルールになっています。
なお、「同時に複数へ申し込む(併願)」はできませんが、現在の申込を取り消してから別の訓練へ申し込むことは可能です(手続きの可否や期限は募集状況・実施機関の進行状況によります)。
公共職業訓練は第二希望まで書ける場合がある
ただし公共職業訓練の場合、申込時に「第一希望」と「第二希望」を書ける場合があります。これは厳密には併願とは異なり、同一の申込書内で優先順位を示すものです。
この場合、優先度の高いものを第一希望へ記入し、保険という意味で第二希望を書きます。一応は2つの訓練コースを記入できるのですが、同じような内容のコースは1つしかありませんので、もう1つの方には第一希望と異なる分野のコースを書く必要があります。
例えば、第一希望に「WEBデザイン科」を選んだ場合、第二希望には「プログラミング科」や「事務系コース」など、異なる分野を選ぶことになります。このため、実質的には希望するコースの保険にはなりにくいのが実情です。
なお、求職者支援訓練の場合は、選べるのは1つであり、第一希望や第二希望という選択肢はありません。
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落ちた場合の対処法
併願できない以上、不合格になった場合の対策を事前に考えておく必要があります。ここでは実務的な対処法をいくつか紹介します。
次回の訓練スケジュールを事前に把握しておく
申込中であっても、次の月に開講予定の訓練コースを把握し、すぐに申込できる準備や計画を立てておくことが重要です。特に公共職業訓練の場合は、倍率が2倍から4倍と高い訓練コースもあります。
ハローワークの求人検索端末や、各都道府県の職業訓練情報サイトで、今後3ヶ月程度の開講予定を確認しておきましょう。同じ分野の訓練が月ごとに開講されている場合もあれば、半年に1回しか開講されない専門的なコースもあります。
2回目の応募は不利になるのか
同じコースに2回目の応募をする場合、「前回落ちたから不利になるのでは」と心配する人がいますが、基本的にそのような不利な扱いはありません。選考は応募ごとに独立して行われます。
ただし、面接で「前回も応募されましたよね」と聞かれる可能性はあります。その場合は、「前回の選考結果を受けて、○○の資格を取得しました」「○○のスキルを独学で勉強しました」など、前向きな準備をしたことを伝えると良い印象を与えられます。
訓練をあきらめて就職活動に専念する選択肢
もし残念な結果となった場合には、訓練をあきらめて就職活動に専念するという選択肢も現実的に考えなければなりません。
訓練は確かに有益ですが、訓練を待っている間に良い求人を逃してしまう可能性もあります。特に基本手当の残日数が少ない場合や、生活費の問題がある場合は、訓練にこだわりすぎず就職を優先する判断も必要です。
受講指示のメリットを生かすための残日数管理
公共職業訓練を受講する場合、「受講指示」という形で入校できると大きなメリットがあります。訓練期間中は基本手当が延長され、訓練終了まで給付を受けられるため、経済的な不安なく訓練に集中できます。
受講指示で入校するために必要な残日数
受講指示で入校するためには、訓練開始日時点で基本手当の支給残日数が一定以上残っている必要があります。必要な残日数の詳しい計算方法はこちらをご確認ください。
重要なのは、ぎりぎりの残日数で訓練を応募するのではなく、なるべく余裕を持って応募することです。一度不合格になってしまっても、まだ次まで受講指示で入校できる残日数があれば、再チャレンジが可能だからです。
具体的な残日数の考え方
例えば、訓練開始日に必要な残日数が90日だとします。現在の残日数が150日であれば、60日の余裕があることになります。この60日の間に不合格になっても、次の訓練に応募できる時間的余裕があります。
一方、残日数が100日しかない状態で90日必要な訓練に応募した場合、不合格になると次の訓練では受講指示の条件を満たせなくなる可能性が高くなります。この場合は、「受講推薦」という形での入校になり、基本手当の延長というメリットは受けられません。
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残日数が足りない場合の対応
もし残日数不足でメリットが得られない場合でも、諦める必要はありません。いくつかの選択肢があります。
職業訓練受講給付金の活用
基本手当が切れてしまった場合、そこで収入がストップしてしまいます。しかし、必要な要件さえ満たせば、職業訓練受講給付金の申請を行うことができます。給付が切れた翌日より日割りで適用されます。
ただし、この給付金の要件は厳しく設定されています。特に家族と同居している場合は世帯収入の基準があるため、受給が難しいケースが多いです。独身で一人暮らしをしている人向けの制度と考えた方が現実的です。
受講推薦での入校も選択肢の一つ
受講指示の条件を満たせなくても、「受講推薦」という形で訓練を受けることは可能です。受講推薦の場合、基本手当の延長はありませんが、訓練自体は受講できます。
訓練費用は無料(テキスト代等は自己負担)なので、基本手当が切れた後でも、スキルアップのために訓練を受ける価値は十分にあります。ただし、訓練期間中の生活費は自分で確保する必要があるため、アルバイト等との両立が必要になる場合もあります。
複数の制度を同時に使えるのか
検索クエリを見ると、「教育訓練給付金と失業保険を同時に使えるか」という疑問を持つ人も多いようです。ここで整理しておきます。
教育訓練給付金と職業訓練の関係
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座(主に民間スクール等)を受講し、一定の条件を満たした場合に支給される給付金です。一方、ハローワークが紹介する職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)は、基本的に受講料が無料です。
そのため、職業訓練に通う場合は、教育訓練給付金の「対象講座」を別途選んで受ける、という形にはなりにくいのが実情です(そもそも職業訓練は無料で受けられるため)。
なお、教育訓練給付金は基本手当(失業保険)と制度目的が異なり、教育訓練給付金を申請したこと自体が、基本手当の受給日数を減らすものではありません。ただし、同じ期間・同じ訓練について「複数制度の給付を二重にもらう」ことはできないため、どの制度で受講・給付を受けるのが適切かは、受講内容と状況で変わります。
失業保険と職業訓練受講給付金の関係
基本手当(失業保険)を受給している人は、職業訓練受講給付金は受けられません。職業訓練受講給付金は、基本手当を受給できない人(受給資格がない人、または受給期間が終了した人)のための制度だからです。
ただし、訓練中に基本手当が切れた場合は、切れた翌日から職業訓練受講給付金に切り替えることができます。この場合、訓練を継続しながら給付金を受け取ることが可能です。
よくある質問
Q1. 公共職業訓練と求職者支援訓練の両方に同時に応募できますか?
いいえ、できません。公共職業訓練と求職者支援訓練は別の制度ですが、併願のルールは同じです。必ず一つの訓練の結果を待ってから、次の訓練に応募してください。
Q2. 都道府県をまたいだ併願はできますか?
できません。例えば東京都の訓練と神奈川県の訓練に同時に応募することも認められていません。申込状況はハローワーク側で確認されるため、同時応募はできないと考えてください。
Q3. 訓練に落ちた場合、次の訓練まで何日空ける必要がありますか?
特に決まった期間はありません。不合格の通知を受け取ったら、すぐに次の訓練に応募することができます。ただし、次の訓練の募集期間内に申し込む必要があります。
Q4. 同じコースに何回まで応募できますか?
回数制限はありません。ただし、何度も不合格になる場合は、コースの選び方や応募書類、面接対策を見直す必要があるかもしれません。ハローワークの職員に相談することをお勧めします。
Q5. 訓練に申し込んだ後、別の訓練の方が良いと思った場合、申込を取り消して別の訓練に応募できますか?
はい、できます。まず現在申し込んでいる訓練の取り消し手続きをハローワークで行ってから、新しい訓練に応募することができます。ただし、選考が進んでいる段階での取り消しは、訓練実施機関に迷惑がかかるため、できるだけ早めに判断してください。
Q6. 残日数が足りなくても、どうしても受講指示で入校したいのですが、何か方法はありますか?
残日数の要件は法令で定められているため、例外は基本的にありません。ただし、給付制限期間中の人など、一部のケースでは残日数の計算方法が異なる場合があります。詳しくはハローワークの職員に相談してください。
Q7. 職業訓練受講給付金は家族がいると受けられないと聞きましたが、本当ですか?
家族がいても受給できる場合はありますが、世帯全体の収入が月30万円以下であることなど、厳しい要件があります。配偶者や親に収入がある場合は、この基準を超えることが多く、実質的に独身で一人暮らしの人向けの制度となっています。