「職業訓練に不合格だったら困るから、2つ同時に申し込んでおきたい」。そう考えていませんか。
特にWEB系やIT系など倍率の高いコースを狙っている場合、保険をかけたい気持ちは当然あるでしょう。しかし、結論から言えば職業訓練は同時に2つ以上のコースへ応募(併願)することはできません。訓練校が違っても、都道府県が違っても同じです。
とはいえ、不合格になった場合にすぐ別の訓練に申し込めるのか、第二希望はどう扱われるのか、何回まで受講できるのかなど、知っておくべきルールがあります。
この記事では、職業訓練の併願ルール、不合格後の動き方、第二希望の仕組み、再受講の条件、そして失業給付の「受講指示」を受けるための残日数管理まで、応募前に押さえておくべきポイントをまとめました。
■目次
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職業訓練は同時に2つ応募(併願)できない
職業訓練は、同時に複数のコースへ応募することはできません。これは全国共通のルールです。
なぜ併願できないのか
理由は主に2つあります。
1つ目は公平性の確保です。職業訓練の枠は限られています。併願が可能になると、「とりあえず複数応募して、受かってから考える」という動きが増え、本当に受講したい人の枠が奪われてしまいます。
2つ目は運営上の混乱防止です。複数合格からの辞退が増えると、繰上げ合格の調整が複雑になり、訓練校の運営が成り立たなくなります。
そのため、1つの訓練に絞って応募し、合否が確定してから次に進むというのが制度の前提です。
不合格になったらどうすればいいか
併願ができない以上、不合格になった場合の動き方を事前に把握しておくことが重要です。
不合格確定日から、すぐに別の訓練に申し込める
不合格が確定したら、その日のうちに別の募集中の訓練へ申し込むことができます。一定期間を空ける必要はありません。
ただし現実には、募集期間の都合で受講できるのは翌月以降(場合によっては翌々月以降)の開講コースになることがほとんどです。
不合格に備えた事前準備
不合格時にすぐ動くためにやっておくこと
- 次月・翌々月の募集予定を事前に確認しておく
- 同じ分野で別の訓練校が開講していないか調べる
- 定員割れのコースで追加募集が出ていないかチェックする
- ハローワークの窓口で「不合格だった場合の次の選択肢」を相談しておく
同じ分野の訓練が毎月開講されている場合もあれば、半年に1回しか開講されない専門コースもあります。就職ブランクを伸ばさないためにも、事前の情報収集が大切です。
追加募集のコースも狙い目
定員割れのコースでは、合否発表後に追加募集を行うことがあります。追加募集のコースがあるかどうかは、ハローワークで確認できます。追加募集の場合、書類選考のみで決まるケースや面接が簡略化されるケースもあり、競争率は比較的低くなる傾向があります(必ず合格できるわけではありません)。
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公共職業訓練では「第二希望」を書ける場合がある
公共職業訓練では、申込書に「第一希望」「第二希望」を記入できる場合があります。これは併願ではなく、同じ募集の中で希望順位を示す仕組みです。
第二希望を書くと第一希望で不利になる?
基本的には不利になりません。選考は以下の順序で行われるのが一般的だからです。
- まず「第一希望」の応募者の中で点数をつけて合否ラインを決める
- 第一希望で漏れた人だけが、「第二希望」の枠で再判定される
つまり、「第一希望の定員に空きがあるのに、勝手に第二希望に回される」ということは、制度上はありません。
ただし、面接であるコースで「どちらでもいいです」という曖昧な態度をとると、「第一希望への志望度が低い」と判断されて評価が下がるリスクはあります。
第二希望を書くときの鉄則
- 第一希望への熱意を最優先で伝える(「あくまで第一希望が本命」という姿勢を崩さない)
- 第二希望は「第一希望がダメだった場合の保険」として割り切る
- 「なんとなく」で第二希望を書かない(本当に通う気があるコースだけ書く)
なお、求職者支援訓練では基本的に1コースのみの応募で、第一希望・第二希望の枠がないことがほとんどです。
応募後に別の訓練に変更できるか
応募した後に「やっぱり別の訓練にしたい」と思った場合、締切前であれば変更は可能です。
ただし、締切後の変更は基本的にできません。コース選びで迷っている場合は、締切を待たずにハローワークに相談してください。「AとBで迷っている」と正直に伝えれば、就職実績や倍率などの情報をもとにアドバイスをもらえることがあります。
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職業訓練は何回まで受講できるのか
「2つ同時に受けられないのはわかった。では別の時期に2回目を受けることはできるのか?」。この疑問にお答えします。
| パターン | 可否 |
|---|---|
| 同時に2つの訓練を受講する | できない |
| 1つ修了した後に、別の訓練を受講する | 条件つきで可能 |
原則として、前回修了から1年以上空ける必要がある
生涯の受講回数に明確な上限があるわけではありません。ただし、前回の訓練終了日(退校日)から原則1年以上空ける必要があるという運用があります。
特に求職者支援訓練では「過去の受講歴がある場合、原則1年以上空ける」というルールが厳格に適用されます。公共職業訓練については、自治体やコースによって運用が分かれます。連続受講が制限される場合もあれば、柔軟に対応される場合もあるため、確認が必要です。
なお、病気などやむを得ない理由で退校した場合は、回復後に1年を空けなくても別の訓練に応募できるケースもあります。事前にハローワークに相談してください。
過去の受講歴は選考に影響するか
1年以上空いていれば応募自体は可能ですが、以下のような場合はハローワーク側で慎重に判断されることがあります。
- 過去の訓練を途中で辞めた
- 修了後も就職につながっていない
- 同じ内容のコースを再度希望している
特に同じ内容のコースを再受講したい場合は、「すでに受講済みなので必要性がない」と判断され、申込み自体を受け付けてもらえない可能性が高いです。ただし、レベルアップ(例:簿記3級のコース→簿記2級のコース)であれば問題ありません。
なお、ハローワークには受講歴の記録がありますが、別の訓練校に応募する場合、訓練校側には過去の受講歴はわかりません。同じ訓練校に再度応募する場合は記録が残っているため、わかります。
受講指示を受けるための残日数管理
失業保険(雇用保険の基本手当)を受けている方にとって、「受講指示」で入校できるかどうかは非常に重要なポイントです。
受講指示で入校すると、訓練期間中は基本手当が延長される(訓練延長給付)ほか、通所手当(交通費)も支給されます。このメリットは非常に大きいため、応募前に残日数を必ず確認してください。
受講指示に必要な残日数
開講日時点で、失業給付の残日数が一定以上残っていることが「受講指示」の条件になります。
具体的に何日残っていれば受講指示を受けられるかは、ハローワークで必ず確認してください。「所定給付日数の一定割合(例:3分の1以上)」などが目安として挙げられることもありますが、これはあくまで一例に過ぎません。地域や訓練期間によって基準は大きく異なるため、自己判断は禁物です。
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残日数が足りない場合の選択肢
受講指示の条件を満たせない場合でも、訓練を受ける方法はあります。
受講推薦で入校する方法があります。受講推薦では基本手当の延長はありませんが、訓練自体は受講できます(テキスト代等は自己負担)。
また、基本手当を受給できない方は、要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円+交通費)を申請できます。ただし、世帯収入や資産の要件が厳しく、特に同居家族の収入があると基準を超えやすい点に注意が必要です。
ただし、一般的に受講指示を受けている方の方が選考において有利になる傾向があります。そのため、倍率が高いコースでは受講推薦や支援指示(失業保険を受けていない方)での合格が難しくなるのが実情です。
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訓練選びで失敗しないための3つのポイント
併願ができない以上、1回の応募で最善の選択をする必要があります。応募前に以下の3つを確認してください。
ポイント1:施設見学にはできるだけ参加する
見学会では、通学の現実性、教室の雰囲気、設備の充実度、カリキュラムの実態、就職実績、過去の倍率など、パンフレットではわからない情報が得られます。見学に行くかどうかで、入校後のミスマッチを防げる確率が大きく変わります。
ポイント2:「学びたい」より「就職に使えるか」で選ぶ
「面白そうだから学びたい」という動機だけで選ぶと、修了後の就職に苦労するケースがあります。その分野の求人が多い地域か、未経験可の入口があるかを事前に確認しましょう。
ポイント3:数ヶ月間通い続けられるかを現実的に考える
職業訓練は、平日日中に数ヶ月間通い続ける前提です。通学距離、体力、家庭の事情、生活費。これらを現実ベースで見てください。途中退校すると給付面でのデメリットが生じるため、「通い切れるか」は重要な判断基準です。
まとめ:併願できないからこそ、事前準備がすべて
職業訓練は同時に2つ以上のコースへ応募することはできません。1つに絞って応募し、合否が確定してから次に進むのが制度の前提です。
この記事のポイント
- 併願は不可。訓練校が違っても、都道府県が違っても同じ
- 不合格確定日から、すぐに別の訓練に申し込める
- 公共職業訓練では第二希望を書ける場合がある(不利にはならない)
- 再受講は可能だが、原則1年以上空ける必要がある
- 受講指示を受けるために、残日数の管理が重要
- 不合格に備えて、次の募集予定を事前に把握しておく
併願ができない分、事前の情報収集と準備がすべてです。施設見学に参加し、ハローワークで残日数や次の募集予定を確認し、万が一の不合格にも対応できる態勢を整えておきましょう。
よくある質問
複数の訓練校の訓練に同時に応募できますか?
できません。訓練校が異なっていても、同時に複数の職業訓練へ応募することはできません。都道府県をまたいでも同じです。
不合格になったら、次はいつから応募できますか?
不合格が確定したその日から、別の募集中の訓練に応募できます。一定期間を空ける必要はありません。ただし現実には、募集期間の都合で翌月以降の開講コースになることがほとんどです。
第二希望を書くと第一希望で不利になりますか?
不利にはなりません。まず第一希望で選考が行われ、漏れた場合に第二希望で選考されるのが一般的です。書かないよりも書いた方がチャンスは広がりますが、本当に受講したいコースだけを書いてください。
職業訓練は何回まで受講できますか?
明確な回数上限はありませんが、前回修了から原則1年以上空ける必要があります。同じ内容のコースの再受講は、申込みを受け付けてもらえない可能性が高いです。レベルアップ目的であれば問題ありません。
応募した訓練を別の訓練に変更できますか?
締切前であれば変更可能です。締切後の変更はできないため、迷っている場合は早めにハローワークに相談してください。
受講指示に必要な残日数が足りない場合は?
受講推薦という形で訓練を受けることは可能ですが、基本手当の延長はありません。また、基本手当を受給できない方は、要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円+交通費)を申請できます。詳しくはハローワークで確認してください。
教育訓練給付金と失業保険は同時に使えますか?
ハロートレーニング(公的職業訓練)は受講料が原則無料です。教育訓練給付金は「自費で払った受講料の一部が戻ってくる制度」なので、受講料が無料のハロートレーニングにはそもそも使う場面がありません(制度の対象外です)。なお、失業保険をもらいながら、自費で民間の教育訓練給付対象講座に通うことは可能です。
過去に訓練を受講したことは、訓練校にわかりますか?
訓練校側が直接ハローワークのデータを見ることはできませんが、申込書に受講歴の記入欄がある場合や、面接で確認されることはあります。なお、ハローワークにはすべての受講歴が記録されており、選考の判断材料になります。
都道府県をまたいで他県の訓練を受けることはできますか?
併願はできませんが、住所地に希望する訓練コースがない場合や、通学の利便性が明らかに高い場合など、ハローワークが認めれば他県の訓練を受講できることがあります。まずは住所地のハローワークで相談してください。



