職業訓練に申し込んだものの、「面接で何を聞かれるのか」「どう答えれば合格できるのか」と不安を感じている方は多いはずです。面接時間はわずか5〜10分程度。この短い時間で、訓練校はあなたが「受け入れたい人材かどうか」を判断します。
実は、職業訓練の面接で見られているポイントは、就職面接とは大きく異なります。「スキルの高さ」や「即戦力」ではなく、訓練校が最も重視するのは「就職率」です。なぜなら、訓練校が国から受け取る運営費は、受講生の就職率によって大きく変わるからです。なお、公共職業訓練でも求職者支援訓練でも、面接で見られる本質(就職意欲・協調性・継続性)は共通です。
この記事では、職業訓練の面接に合格するための3つのポイントと、実際に聞かれる質問への答え方、さらには訓練校が面接で見ている「本当の基準」まで、徹底的に解説します。
■目次
職業訓練の面接で合格するための3つのポイント
職業訓練の面接で合格するために押さえるべきポイントは、以下の3つです。
- 1. 就職意欲を明確に示すこと
- 2. 協調性があること(周りとうまくやっていけること)
- 3. 最後まで訓練に通える環境が整っていること
この3つを押さえるだけで、合格率は格段に上がります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 就職意欲:訓練校が最も重視するポイント
職業訓練の面接で最も重要なのが、「訓練修了後にすぐ就職する意欲があるか」です。これは、志望動機や訓練を受ける目的にも直結します。
なぜ就職意欲がそれほど重視されるのか
職業訓練校は、国や都道府県から運営費を受け取っていますが、その金額は就職率によって変動します。就職率が高いほど、訓練校は多くの奨励金を受け取れる仕組みになっています。
つまり、訓練校にとって「すぐに就職してくれる受講生」を確保することは、経営上の死活問題なのです。
訓練校が受け取る奨励金の仕組み(2026年1月時点)
求職者支援訓練の場合、訓練校が受け取る金額は以下のように設定されています(※基礎・実践の基本単価は2025年4月改正後の水準)。
◆基本奨励金(受講者1人あたり・月額)
- 基礎コース:6万3,000円
- 実践コース:5万3,000円
◆付加奨励金(就職率に応じて追加支給・実践コースのみ)
- 就職率60%以上:プラス2万円(合計7万3,000円/人・月)
- 就職率35%以上60%未満:プラス1万円(合計6万3,000円/人・月)
- 就職率35%未満:なし(5万3,000円/人・月)
※就職率の判定基準:訓練終了後3ヶ月以内に雇用保険に加入(週20時間以上勤務)
参考:求職者支援訓練の訓練実施機関に対する奨励金について|厚生労働省
具体例で見る奨励金の差額
実践コース3ヶ月・受講生20名の場合で比較してみましょう。
就職率60%の場合
20名×7万3,000円×3ヶ月=438万円
就職率30%の場合
20名×5万3,000円×3ヶ月=318万円
差額:120万円

このように、就職率の違いだけで100万円以上もの差が生まれます。訓練校にとって、「すぐに就職する意欲がある人」を選ぶことが、いかに重要かがわかります。
面接で伝えるべきこと
雇用保険に加入できる働き方であれば、正社員である必要はありません。パート、アルバイト、派遣社員でも構いません。「すぐにでも就職したい」という姿勢を明確に示すことが何より重要です。
逆に、「訓練修了後にゆっくり考えたい」「給付金が目当て」といった印象を与えてしまうと、不合格になる可能性が高まります。
2. 協調性:トラブルを避けたい訓練校の本音
意外かもしれませんが、協調性も面接で重視されるポイントです。
職業訓練には、年齢も性別も職歴もバラバラの人たちが集まります。その中で数ヶ月間、一緒に学んでいかなければなりません。訓練校が最も避けたいのが、受講生同士のトラブルや講師とのトラブルです。
実際に起こるトラブルの例
- 授業中に私語が多い
- 授業を聞かない、質問ばかりする
- 授業についていけず周りの邪魔をする
- 「授業内容が悪い」「講師の教え方が悪い」と文句を言う
- 特定の人をひいきしていると不満を言う
- 無断欠席やサボりが多い
- 最終的に学校に来なくなる

問題を起こす受講生は、クラスに1人か2人です。しかし、たった1人でもそういう人がいると、クラス全体の雰囲気が悪化します。授業が進まなくなり、他の受講生も不満を募らせ、結果として退校者が出てしまうこともあります。
「自己中な人」が敬遠される
「コミュニケーションが苦手」という人は多いですし、それ自体は問題ではありません。訓練校が避けたいのは、自己中心的な人です。
- 自分が全て正しいと思っている人
- 相手の気持ちを考えない人
- 自分のペースを優先し、周りに合わせられない人
こうした傾向は、面接で見抜かれます。
面接での答え方
「年齢も性別も異なる人たちとうまくやっていけますか?」という質問には、「問題ありません」と答えるだけでなく、その理由も用意しておきましょう。
例:「これまでの職場でも様々な年代の方と一緒に働いてきましたので、問題なくコミュニケーションを取れます」
3. 最後まで通えるか:中途退校のリスクを避けたい訓練校
3つ目のポイントは、最後まで訓練に通える環境が整っているかです。
職業訓練は、短くても3ヶ月、長ければ6ヶ月以上通う必要があります。訓練校にとって、途中で辞めてしまう受講生は大きな問題です(就職が決まって辞めるなら問題ありませんが)。
中途退校の主な理由
- 授業についていけなくなった
- 思っていた内容と違った
- 家庭の事情(小さい子どもの病気、介護など)
- 遠方からの通学が続かなかった
- 経済的な理由
実際に、中途退校する人は珍しくありません。訓練校は選考の段階で、「この人は最後まで通えるか」を慎重に見極めています。
面接での確認ポイント
特に以下のような状況の方は、面接で必ず質問されます。
- 小さい子どもがいる
- 家族の介護が必要
- 遠方からの通学になる
- 経済的に厳しい状況
例えば、「お子さんが病気になったらどうしますか?」という質問には、バックアップ体制が整っていることを具体的に説明しましょう。
例:「子どもが熱を出した場合は、実家の母が対応してくれます」「夫がシフト調整できる職場なので、緊急時は対応可能です」

実際の面接時間・面接形式
面接時間は5〜10分が一般的
職業訓練の面接時間は、5〜10分程度が圧倒的に多いです。就職面接が30分〜1時間以上かかることを考えると、かなり短時間です。
面接形式
基本的な形式は、受講希望者1人に対し、面接官2人です。ただし、訓練校によって以下のようなバリエーションがあります。
- 面接官が1人の場合
- 面接官が3人の場合
- 集団面接(受講希望者2〜5名が一緒に面接を受け、順番に答えていく形式)
申込人数が多い場合は、集団面接が採用されることもあります。
面接で実際に聞かれる質問
職業訓練の面接では、ほぼすべての訓練校で以下のような質問がされます。
よくある質問リスト
- 志望動機(なぜこの訓練コースを受講したいのか)
- 何を学びたいのか(コースのカリキュラムと一致しているか)
- 他の訓練生と仲良くやっていけるか(協調性の確認)
- ○ヶ月間通うのに問題ないか(皆勤できるか)
- 受講するコースの知識(現在のレベルを確認)
- すぐに就職できるか(就職意欲の確認)
これらの質問は、前述の3つのポイントを確認するためのものです。事前にしっかり答えを準備しておきましょう。
志望動機の答え方(具体例)
志望動機を聞かれた際の良い例と悪い例を紹介します。
【良い例】
「以前から〇〇(コース内容)に興味がありました。この訓練で〇〇の資格を取得し、すぐにでも就職を希望しています。」
ポイント:「就職」という言葉を明確に使うことです。
【悪い例】
「職業訓練が終わってから、ゆっくり自分の適性を考えます。」
「とりあえずスキルを身につけたいです。」
「失業給付が延長されるので、その間に資格を取りたいと思いました。」
これらの回答は、「就職意欲が低い」「給付金目当て」と判断され、不合格になる可能性が高まります。
「受かりやすい人」と「落ちやすい人」の違い
面接での印象は、合否に大きく影響します。
受かりやすい人の特徴
- すぐに就職したいという意欲が明確
- 訓練内容と希望職種が一致している
- 質問に対して具体的に答えられる
- 協調性があり、穏やかな印象
- 最後まで通える環境が整っている
落ちやすい人の特徴
- 就職意欲が曖昧(「とりあえず」「ゆっくり考える」など)
- 給付金目当てだと思われる発言
- 我が強く、自己主張が激しい
- 途中で辞めそうな不安要素がある
- 訓練内容を理解していない
面接の服装はどうすべきか
面接にはリクルートスーツがおすすめです。持っていない場合は、控えめで清潔感のある服装で問題ありません。
職業訓練の面接は就職面接ほど厳格ではありませんが、やはり見た目の印象も重要です。派手な服装や不潔な印象を与える服装は避けましょう。
面接対策で最も大切なこと
職業訓練の面接は、就職面接よりもシンプルです。限られた時間の中で、すべての応募者に同じ質問をしていきます。
ある程度の対策をしっかりしていれば、それほど怖がる必要はありません。
最も大切なのは、「すぐに就職したい」という姿勢を明確に示すことです。これさえ押さえておけば、合格の可能性は大きく高まります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 面接で緊張してうまく話せません。どうすればいいですか?
面接官も緊張していることは理解しています。大切なのは、流暢に話すことではなく、誠実に自分の言葉で答えることです。事前に答えを準備しておけば、多少つまずいても問題ありません。
Q2. 集団面接の場合、他の人と同じ答えになったらどうしますか?
問題ありません。面接官は「答えの内容」だけでなく、話し方や態度も見ています。同じ内容でも、自分の言葉で誠実に答えれば評価されます。
Q3. 「逆質問はありますか?」と聞かれたら何を聞けばいいですか?
訓練内容や就職支援について質問するのが無難です。例えば「訓練修了後の就職支援はどのようなサポートがありますか?」など、就職意欲を示す質問が効果的です。「特にありません」と答えるよりも、何か質問した方が印象は良くなります。
Q4. 筆記試験もある場合、面接と筆記のどちらが重視されますか?
訓練コースにもよりますが、一般的には面接の方が重視されます。筆記試験は基礎学力の確認程度で、よほど低い点数でない限り、面接での印象が合否を大きく左右します。
Q5. 年齢が高いと不利ですか?
職業訓練に年齢制限はありませんが、若い世代向けの職種(IT、WEBデザインなど)のコースでは、就職の現実を考慮して年齢が影響する場合があります。ただし、介護、ビル管理、日本語教師など、中高年でも就職しやすい分野であれば、年齢はほとんど問題になりません。
Q6. 面接で髪色は見られますか?
極端に派手な髪色は避けた方が無難です。ただし、就職面接ほど厳格ではないので、一般的な茶髪程度であれば問題ないケースがほとんどです。心配な場合は、自然な色に近づけておくと安心です。
Q7. 面接であっさり終わってしまいました。不合格でしょうか?
職業訓練の面接は5〜10分程度が一般的なので、短時間で終わるのは普通です。「あっさりしていた=不合格」とは限りません。応募者が多い場合は、より短時間で進めることもあります。
まとめ:職業訓練の面接は「自分の言葉」で誠実に答えることが鍵
職業訓練の面接で合格するための3つのポイントをおさらいしましょう。
- 就職意欲を明確に示す(最重要)
- 協調性があることを伝える(トラブルを避けたい訓練校の本音)
- 最後まで通える環境が整っていることを説明する(中途退校のリスク回避)
面接時間は短く、質問内容もある程度決まっています。事前に答えを準備し、自分の言葉で誠実に答えることができれば、合格の可能性は大きく高まります。
「我が強い人」「給付金目当てと思われる人」は避けられますが、逆に言えば、「すぐに就職したい」という姿勢を示し、協調性をアピールできれば、合格は決して難しくありません。
職業訓練の面接は、あなたの人生を変える一歩です。しっかり準備して、自信を持って臨んでください。
以下の内容も併せてお読みください。
・職業訓練校に合格するにはコツがある