職業訓練の役に立つ話

伝統工芸・陶芸を学べる職業訓練|地方ならではのモノづくりコース紹介

2017年11月21日

「職業訓練はパソコンや事務の訓練ばかりで、自分のやりたい仕事に繋がるコースがない」と思っていませんか?

実は、地方には地域の伝統工芸や地元産業を活かしたユニークな職業訓練が数多く存在します。陶芸、タオル作り、うどん作り、農業、靴作りなど、都会にはない特色あるコースで、モノづくりの技術を基礎から学ぶことができます。

この記事では、地方ならではの職業訓練の魅力と、具体的なコース内容を詳しく紹介します。あわせて「自分の地域にはないけど受講できる?」「陶芸(やきもの)を学べる訓練校はどう探す?」など、読者が迷いやすいポイントも補足します。

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地方の職業訓練の特徴

職業訓練について、地方の人から「東京などに比べてコースが少ない」とよく言われます。確かに都市の方が多種多様な職業訓練コースが用意されています。

しかし、どれも一般的で同じような訓練コースが多いのも事実です。その技能を身に付けたからといって、必ず就職できる、一生安泰な生活を送れるという保証はありません。だからこそ「自分が身につけたい技術が学べるか」「地域で仕事につながりやすいか」を軸に選ぶことが大切です。

地方ならではの強み

地方には、地元産業や伝統工芸を活かした職業訓練があります。地域によっては、左官、大工、植木職などのユニークなコースも多々あります。

これらは「地方ならでは」「地元密着産業」にこだわった職業訓練コースです。地元産業を活かした、都会にはないもの。地方にこそ自分のやりたいことがあるのかもしれません。

やりたいことが決まれば、遠隔地でも迷わず受講する意志の強さも必要となります。遠方の訓練校を検討する場合は、訓練期間中の住まい・生活費・通学手段(交通費など)まで含めて現実的に成り立つかを事前に整理しておきましょう。

伝統工芸を学べる職業訓練

伝統工芸を職業訓練で学べるコースを紹介します。

京都の伝統工芸「やきもの」を学ぶ

京都と言えば「やきもの」が有名です。その歴史は1200年にも遡ります。京焼・清水焼が有名です。

京都には現在300軒以上の窯元がありますが、業界自体はこじんまりとしています。その理由は零細企業が多いため。そのため生産できる絶対数が少なく、後継者不足も深刻です。

京都の伝統工芸やきもの

京都府の陶工高等技術専門校では「やきもの成形科」があり、若い人を中心に伝統工芸を学びたいという人が増えています。東京方面からも、やきもの(陶芸)を学ぶために転居する人も少なくありません。

なお、検索では「やきもの」よりも「陶芸」「訓練校」「職業訓練」といった言葉で探す人が多い傾向があります。学校や自治体の案内では「陶磁器」「成形」「図案」など別の表現になっていることもあるため、コース名が見つからない場合はキーワードを広げて探すのがコツです。

コース内容:

  • やきもの成形科 成形コース(1年コース)
  • やきもの成形科 総合コース(2年コース)
  • やきもの図案科(1年コース)

やきもの成形科ではろくろの扱い方を、やきもの図案科では陶磁器に毛筆で絵柄を書く技術などを徹底的に学びます。陶芸界で即戦力になれる人材の育成を目指しているため、実践が中心です。

大学で陶芸を学んだ人が入校することも珍しくない施設です。

参考:京都府立陶工高等技術専門校《愛称:京都陶芸大学校》

今治のタオルづくりを学ぶ

国内最大規模のタオル産地として今治は有名です。そこには120年の歴史を刻み続けた伝統があります。

今治には、晒しや染めに適した軟水の良質の水が豊富にあり、良質な綿を厳選して手間暇をかけるという製法で作り上げています。

今治タオルづくりの職業訓練

愛媛県立産業技術専門校(旧:今治高等技術専門校と松山高等技術専門校との統合)では、地元のタオル産業を反映して「今治タオルものづくり科」が開講されています。

修了生には、タオル選びのアドバイザーとして「タオルソムリエ」の資格を取得している人もいるようです。資格の取得可否や受験のタイミングはコースや年度で変わる場合があるため、募集要項で確認してください。

参考:愛媛県立産業技術専門校

うどん作りを学ぶ「さぬきうどん科」

香川と言えば「うどん」が有名です。さぬきうどんは香川県の特産品です。

さぬきうどん科は、香川県から委託された唯一のうどん学校です。職業訓練のコースで「うどん」があるのは、地元産業ならではのこと。

3ヶ月のコースですが、香川県立高等技術学校高松校で定期的に開催されています。専門家として小麦粉、塩、水など、いろいろな材料から学んでいくコースです。

卒業生の方には起業独立する人も大勢いますし、学校を通して横のつながりも増えています。

参考:香川県 高等技術学校

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農業を学べる職業訓練

茨城県水戸産業技術専門学院の「農業実践科」では、畑作・稲作・畜産を学ぶことができます。職業訓練で農業を学ぶコースは少ないため、貴重なコースです。

委託先は「鯉水学園農業栄養専門学校」で、7ヶ月のコースです。

農業を学ぶ職業訓練

訓練内容

農業へ就職するために必要な農業の基礎的知識を習得する他、稲作野菜栽培、家畜飼育等の実践的な農業機械なども学びます。

実践だけでなく、農業経営を把握するための農業簿記やパソコン操作なども習得していきます。

農業の担い手不足

農家は高齢化が進み、跡継ぎ不足が特に問題になっています。場所はあるのに担い手がいないのが現状です。

昨今はサラリーマンを辞めて地方で農業を営む若い人も増えてきました。

最近では機械化が進んだこともあって、手間隙かける時間は少なくなっています。ですが、種や稲を埋めて、雑草を抜いたり、肥料を与えたり、もちろん水やりも欠かせません。

天候によっては大きな被害を受けることも少なくありません。ですが、収穫できた時の喜びはサラリーマンでは経験できないものです。

今後は町ぐるみで、農業の担い手を募集することも増えてくるでしょう。補助金や住宅保障などを設けている地方もあります。ただし支援の内容は自治体によって大きく違うため、「農地の紹介があるか」「住まいの支援があるか」は訓練校や自治体窓口で個別に確認するのが確実です。

参考:戸産業技術専門学院

ものづくりを学べる職業訓練

東京の「製くつ科」

地方ではないのですが、東京にも珍しいコースがあります。それが「製くつ科」です。

製くつ科の訓練風景

ここは1年コースですが、応募数は定員の5倍以上もある超人気コースです。とても狭き門となっています。

製くつとは職人の世界です。モノづくりをやりたいという人が増えている証拠です。海外で靴について留学・勉強した人が、さらに学びたいと入学する人までいます。

最初は商品磨きや梱包出荷などの下積みから始まり、パタンナー業務を担当し、将来は独立開業。夢が広がる世界です。

この記事は「地方のユニークな訓練」を中心に紹介していますが、製くつ科は「全国的に見ても珍しいモノづくり系の職業訓練」の代表例として掲載しています。「地方に限らず、探せば自分のやりたい訓練はある」という視点で参考にしてください。

参考:都立職業能力開発センター

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地方の職業訓練を受講する際のポイント

他の地域の職業訓練も受講可能

職業訓練は、今住んでいる地域しか通えないわけではありません。地方の職業訓練も受講することは可能です。選択肢は幅広いのです。

ただし、多くの職業訓練は「訓練期間中に通学できること(通える範囲であること)」が前提になります。遠隔地の訓練校に通う場合は、訓練期間中だけ転居する、住まいを確保して通学するなどの対応が必要になることがあります。

UターンやIターンで職業訓練を検討するのも一つの手かもしれません。Uターンであれば実家から通うことができるため、生活費を安く上げることができるかもしれません。

やりたいことに挑戦する

自分のやりたいことに挑戦することも、人生を生きていく上では必要ではないでしょうか。

全国的に名前が通ったものを利用して、それを商売するやり方もあるのではないでしょうか。伝統工芸や農業、モノづくりは「技術を学ぶ」だけでなく、「どこで・誰に・どう売るか」まで考えると現実的になります。訓練を選ぶ段階で、就職か独立か、働き方の方向性も一度イメージしてみてください。

全国の職業訓練施設を調べるには

職業訓練には本当にさまざまな内容のコースがあります。一般的な技術を身につける訓練から、地元産業の特色を活かした訓練まで。

まずはどのような訓練コースがあるのか調べてみてはいかがでしょうか?地元ならではの訓練コースがあるかもしれません。

調べるときは、次のようにキーワードを組み合わせると見つけやすくなります。

  • 「伝統工芸 職業訓練」
  • 「職業訓練 陶芸」
  • 「職業訓練校 陶芸」
  • 「やきもの 成形 職業訓練」
  • 「(都道府県名) 伝統工芸 訓練校」

同じ内容でも、募集要項では「陶芸」ではなく「陶磁器」「成形」「図案」「工芸」など別の言い方になっている場合があります。1回で見つからないときは言葉を変えて探すのがコツです。

全国の職業訓練施設案内(全国さまざまな施設を紹介)

よくある質問

伝統工芸の職業訓練は初心者でも受講できますか?

はい、受講できます。多くのコースは初心者を対象にカリキュラムが組まれています。ただし、京都の陶工高等技術専門校のように、大学で陶芸を学んだ人も入校するなど、レベルの高い環境で学べる施設もあります。募集要項に「対象者」「選考方法」が書かれているので、応募前に必ず確認してください。

地方の職業訓練を受けるために引っ越す必要がありますか?

訓練期間中は通学できる範囲に住む必要があります。Uターンで実家から通う、訓練期間中だけ転居するなど、自分の状況に合わせた選択が可能です。補助金や住宅保障を設けている地方もあるので、事前に確認してみてください。

伝統工芸の訓練を受けた後、就職先はありますか?

業界によっては後継者不足が深刻なため、就職の可能性はあります。ただし、零細企業が多い業界もあり、就職を保証するものではありません。就職を目指す場合は「求人が出やすい地域か」「修了後に働ける見込みがあるか」も含めて考えると失敗しにくくなります。独立開業を目指す人も多くいます。

失業保険を受けながら地方の職業訓練に通えますか?

はい、通えます。ただし、通える範囲の訓練校に限られます。遠隔地の訓練校に通う場合は、転居が必要になる可能性があります。詳しくはハローワークに相談してください。

農業の職業訓練を受けた後、農地はどうやって見つけますか?

町ぐるみで農業の担い手を募集している地方もあります。補助金や住宅保障、農地の紹介などを行っている自治体もあるため、訓練校や自治体に相談してみてください。

製くつ科は人気が高いと聞きましたが、選考はありますか?

はい、あります。応募数は定員の5倍以上と非常に人気が高く、狭き門です。選考試験や面接があるため、しっかりとした準備と志望動機が必要です。

陶芸の職業訓練は何年コースですか?

京都の陶工高等技術専門校の場合、やきもの成形科の成形コースは1年、総合コースは2年、やきもの図案科は1年です。訓練校によってコース期間は異なるため、詳細は各訓練校に確認してください。

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