職業訓練の役に立つ話

職業訓練指導員になるには?免許取得方法と給与・就職難易度

2017年8月19日

職業訓練指導員として働きたいけれど、「どうすればなれるのか」「本当に就職できるのか」と悩んでいませんか?

職業訓練指導員は、職業訓練校で求職者や在職者に専門的な技術や技能を教える仕事です。自分の持っている技術を活かして、人の役に立てるやりがいのある職業ですが、職業訓練指導員免許が必須であり、さらに免許を取得しただけでは就職できません。

なお、検索では「職業訓練校の講師になるには?」と調べる方も多いですが、「職業訓練指導員(免許が必要な職種)」と「民間の訓練校等の講師(施設・募集要件による)」は別物です。この記事は、主にポリテクセンター等で募集される「職業訓練指導員」について解説します。

この記事では、職業訓練指導員になるために必要な免許の取得方法、就職先の実態、給与・待遇、そして現実的な就職の難易度まで、詳しく解説します。「技術を教える仕事がしたい」と考えている方は、ぜひ最後まで読んで、自分に合ったキャリアかどうかを判断してください。

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職業訓練指導員とは:仕事内容と役割

職業訓練指導員は、職業訓練校において、職業に必要な技術や技能、およびこれに関する知識を教える専門職です。

主な勤務先

職業訓練指導員は、以下のような施設で働きます。

・ポリテクカレッジ、ポリテクセンターなどの公共職業能力開発施設(国や都道府県が設置)
・事業所が設置する認定職業訓練施設
・法務省が設置する矯正施設(刑務所など)

具体的な仕事内容

職業訓練指導員の仕事は、単に技術を教えるだけではありません。以下のような幅広い業務を担当します。

・求職者、在職者、学卒者など様々な受講生への専門的な技術・技能の指導
・就職支援(履歴書添削、面接対策、求人紹介など)
・就職ニーズの調査・分析
・職業訓練コースの計画、策定、運営
・受講生の職業能力向上のサポート

詳しい仕事内容については、職業能力開発総合大学校が作成した「職業訓練指導員の魅力とは」の動画を見ると、より具体的なイメージが掴めます。

【YouTube動画】※音が出ます。
https://www.youtube.com/watch?v=f0hxiqqp234

職業訓練指導員の給与・待遇(2026年1月時点)

職業訓練指導員の給与や待遇は、勤務先によって異なりますが、ここでは(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の募集要項(2025年度募集実績)を参考に紹介します。

給与・手当

基本給:205,000円〜260,000円程度
(学歴や実務経験によって決定。経験年数に応じて加算)
手当:扶養手当、通勤手当、住居手当、超過勤務手当など
昇給:年1回
賞与:年2回(6月・12月)
定年:60歳(定年後65歳までの再雇用あり)

年収に換算すると、初任給ベースで約350万円〜450万円程度となります。公務員に準じた安定した待遇ですが、民間企業の技術職と比べると必ずしも高給とは言えません。

募集職種(例)

機械科、溶接科、電気科、電気工事科、電子科、コンピュータ制御科、建築科、建設科など、技術分野ごとに募集があります。

必要な資格

応募には、職業訓練指導員免許の取得が必須です。加えて、職業能力開発総合大学校の長期課程を卒業している場合は有利になります。

採用情報の詳細は、以下の厚生労働省のページで確認できます。
職業訓練指導員(厚生労働省)

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職業訓練指導員免許の取得方法(3つのルート)

職業訓練指導員になるには、職業訓練指導員免許の取得が必須です。免許を取得するには、主に3つの方法があります。

方法1:職業訓練指導員試験に合格する

職業訓練指導員試験は、実技試験と学科試験(指導方法・関連学科)によって、職業訓練指導員としての適性を判定するものです。

実施時期:各都道府県にて原則年1回実施されますが、実施しない都道府県もあります。試験内容や日程は都道府県によって異なるため、受験を希望する都道府県の労働局に確認しましょう。

方法2:職業訓練指導員講習(48時間講習)を受ける

6日間(計48時間)の講習を受けることで、免許を取得できます。ただし、この講習を受けるには以下の要件を満たす必要があります。

・職業能力開発促進法による技能検定1級・単一等級の合格者
・大学等で免許職種に関する学科を履修し、かつ一定以上の実務経験がある方など

必要な実務経験年数

免許職種に関する学科を修めて卒業した場合、以下の実務経験が必要です。

・大学卒業:2年以上の実務経験
・短期大学・高等専門学校卒業:4年以上の実務経験
・高校卒業:7年以上の実務経験

実施時期は各都道府県によって異なります。例えば東京都では、同じ内容の講習を年3回程度実施しています。

方法3:指定された学歴や資格を満たす

以下の条件を満たす場合、試験や講習を受けずに免許を取得できます(申請のみ)。

(1)職業能力開発総合大学校の特定の訓練課程を修了した者

・長期養成課程の修了者
・短期養成課程の修了者(職業能力開発総合大学校の長が認める者に限る)
・職種転換課程の修了者

職業能力開発総合大学校の入学金は282,000円、授業料(年間)は535,800円です。4年間の総合課程を修了後、長期または短期の養成課程を修了する必要があります。

(2)大学等で免許職種に関する科目を履修し、高等学校の教員の普通免許状を所持している者

高等学校の教員免許状(普通免許状)を持っている場合、以下の教科に限り職業訓練指導員免許が取得できます。

工業、工業実習、農業、農業実習、水産、水産実習、商業、商業実習、家庭、家庭実習、看護、看護実習、情報、情報実習、福祉、福祉実習

取得できる免許職種(123種類)

職業訓練指導員免許は、平成29年3月24日現在で123種類の職種に分かれています。自分の専門分野に応じた免許を取得することになります。

詳しい職種一覧は、東京都産業労働局のページで確認できます。

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就職先の実態と採用の難易度

職業訓練指導員の免許を取得しても、すぐに就職できるわけではありません。他の教員職と同じように、職業訓練校の採用試験を受けて合格する必要があります。

主な就職先

・(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(ポリテクセンター、ポリテクカレッジ)
・都道府県の職業訓練校
・認定職業訓練施設
・法務省(矯正施設)

最も一般的な就職先は、高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営するポリテクセンターやポリテクカレッジです。

求人数の実態

職業訓練指導員の求人数は、決して多くありません。ハローワークインターネットサービスで「職業訓練指導員」と検索しても、全国で200〜300件程度しか求人が出てきません。

さらに、募集人数は「若干名」であることが多く、競争率は高めです。職業訓練の受講生自体が減少傾向にあるため、今後大きく求人が増えることは期待しにくい状況です。

また「年齢制限があるのでは?」と不安になる方も多いですが、免許自体に年齢制限はありません。ただし、募集は年度ごとの採用計画や雇用区分(正規・任期付など)によって条件が異なり、募集要項に年齢要件が設けられるケースもあるため、応募時は必ず募集要項を確認してください。

採用試験の内容

採用試験は、筆記試験(専門知識、一般教養)と面接試験が一般的です。専門分野の技術力だけでなく、教える能力やコミュニケーション能力も重視されます。

職業訓練指導員に向いている人・向いていない人

向いている人

・自分の技術を人に伝えることに喜びを感じる
・教えることが好きで、相手の成長を見守ることができる
・安定した待遇よりも、社会貢献ややりがいを重視する
・公的機関での勤務を希望している
・高度な専門技術を持ち、実務経験が豊富

向いていない人

・高収入を第一に考えている
・技術はあるが、教えることに興味がない
・求人数が限られていることに不安を感じる
・公務員的な組織に馴染めない

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職業訓練指導員の魅力とやりがい

職業訓練指導員の仕事は、社会に貢献できる仕事です。自分の持っている技術や想いを受講生に伝え、教える楽しさを感じながら、人の役に立っていることを実感できます。

受講生から「おかげさまで就職することができました!」という感謝の言葉をかけられたとき、大きな達成感と喜びを感じることができるでしょう。

給与面では民間企業に劣る場合もありますが、安定した雇用と、人を育てるというやりがいは、他の職業では得られない価値があります。

テクノインストラクター:新しい愛称

2017年、職業訓練指導員の愛称・キャッチコピーが決定しました。

テクノインストラクター 〜技で未来を切り開く〜

全国から寄せられた557件の応募の中から選ばれたこの愛称は、今後、認知度向上などのために活用されます。「指導員」という言葉は堅苦しい印象がありますが、「テクノインストラクター」の方が現代的で親しみやすいかもしれません。

職業訓練自体も「ハロートレーニング 〜急がば学べ〜」という愛称とキャッチコピーで呼ばれるようになっています。

まとめ:免許取得は第一歩、就職は狭き門

職業訓練指導員になるには、職業訓練指導員免許が必須です。既にその分野の技術を十分に備えているのであれば、免許取得自体はそれほど難しくないかもしれません。

ただし、他の資格や免許と同様に、免許を持っているだけでは就職には結びつきません。就職先は限られており、募集人数も若干名であることが多いため、採用のハードルは高いのが現実です。

それでも、この仕事には「自分の技術を伝えられる」「教える楽しさがある」「人の役に立っていると実感できる」という、他では得られないやりがいがあります。

職業訓練指導員を目指すかどうかは、給与や待遇だけでなく、「技術を教えることに情熱を持てるか」「社会貢献に価値を感じられるか」という視点で判断することが大切です。

よくある質問

Q1. 職業訓練指導員免許は、どの方法で取得するのが一番簡単ですか?

A. 既に技能検定1級や単一等級を持っている方は、48時間講習(6日間)を受けるのが最も早く取得できます。技能検定を持っていない場合は、職業訓練指導員試験を受験することになりますが、実技試験と学科試験の両方に合格する必要があるため、難易度は高めです。職業能力開発総合大学校に進学する方法もありますが、時間と費用がかかります。

Q2. 未経験でも職業訓練指導員になれますか?

A. 職業訓練指導員になるには、専門分野での実務経験が必須です。免許を取得するためには、大学卒業で2年以上、高校卒業で7年以上の実務経験が求められます(技能検定1級を持っている場合を除く)。未経験から目指すことはできません。

Q3. 職業訓練指導員の求人はどこで探せますか?

A. ハローワークインターネットサービスで「職業訓練指導員」と検索するか、高齢・障害・求職者雇用支援機構や都道府県の職業訓練校のホームページで採用情報を確認できます。ただし、求人数は全国で200〜300件程度と少なく、募集も若干名であることが多いため、タイミングを見逃さないよう定期的にチェックすることが重要です。

Q4. 職業訓練指導員の年収は本当に450万円程度ですか?

A. 高齢・障害・求職者雇用支援機構の場合、採用時の基本給や賞与を基に試算すると、おおよそ350〜450万円程度になります。ただし、これは学歴や実務経験によって変動します。実務経験が3年を超える場合は経験年数に応じて加算されるため、中途採用の場合はこれより高くなる可能性があります。都道府県の職業訓練校や認定職業訓練施設の場合は、待遇が異なります。

Q5. 職業訓練指導員免許は一度取得すれば更新不要ですか?

A. はい、職業訓練指導員免許は一度取得すれば、更新の必要はありません。ただし、免許を持っているだけでは職業訓練指導員として働けないため、採用試験に合格して実際に採用される必要があります。

Q6. 高校教員免許を持っていれば、職業訓練指導員になれますか?

A. 高校教員の普通免許状を持っていて、かつ大学等で免許職種に関する科目を履修している場合、職業訓練指導員免許を取得できます。対象となる教科は、工業、農業、水産、商業、家庭、看護、情報、福祉の各教科(実習を含む)に限られます。ただし、免許を取得しても、職業訓練校の採用試験に合格しなければ職業訓練指導員として働くことはできません。

Q7. 職業訓練指導員の定年後の再雇用はどうなっていますか?

A. 高齢・障害・求職者雇用支援機構の場合、定年は60歳ですが、定年後も65歳までの再雇用制度があります。再雇用後の給与や待遇は、定年前と異なる場合がありますが、経験豊富な指導員として継続して働ける制度が整っています。

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