旅行業界で働きたいけれど、業界経験がなくて不安を感じていませんか。
観光ビジネス・トラベルビジネスの職業訓練は、未経験から旅行会社やツアーコンダクター(添乗員)を目指せるコースです。旅行業務に必要な国家資格の取得を目指しながら、添乗業務やツアー企画、旅行英語など実務に直結するスキルも学べます。
コロナ禍で大きく落ち込んだ観光業界ですが、現在は回復傾向にあります。世界経済フォーラムの「旅行・観光開発ランキング(Travel & Tourism Development Index 2024)」では日本が世界3位と高い評価を獲得しており、インバウンド需要の増加に伴って旅行業界の求人も増えてきています。
この記事では、観光ビジネス・トラベルビジネスの職業訓練で何が学べるのか、どんな資格が取得できるのか、そして未経験からでも就職できるのかを、年代別の就職事情も含めて解説します。訓練を受けるかどうかの判断材料にしてください。
■目次
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対象者:どんな人が受けられるのか
この訓練は、旅行業界の知識や経験がなくても受講できます。以下のような方が対象です。
このような方におすすめ
- 旅行会社で働きたい方
- ツアーの企画や接客販売に興味がある方
- ツアーコンダクター(添乗員)になりたい方
- 通訳ガイドや観光ガイドを目指す方
- 語学力を活かして働きたい方
- 宿泊業務に関心がある方
訓練修了後に、観光関連業務(旅行業務・添乗業務・宿泊業務・ガイド業務など)への就職を目指す意思があることが前提です。
訓練内容:何を学べるのか
観光ビジネス・トラベルビジネスの職業訓練では、旅行業界で働くために必要な専門知識と実務スキルを習得します。訓練は大きく「学科」「実技」「就職支援」の3つで構成されています。
カリキュラムの全体像(例)
| 区分 | 主な科目 |
|---|---|
| 学科〔168時間〕 | 旅行業務基礎知識、法令、約款、国内観光地理、国内運賃料金、国際航空運賃、海外旅行実務、海外観光地理、出入国法令 |
| 実技〔141時間〕 | 国内添乗実務、海外添乗実務、海外ツアー企画、国内ツアー企画、旅行英語、クルーズツアー概論 |
| 就職支援〔21時間〕 | 旅行業界研究、旅行業就職状況、添乗員派遣会社説明会、旅行業界就職説明会、キャリアコンサルティング |
※カリキュラムは訓練校やコースによって異なります。
学科で学ぶこと
学科の中心は、国家資格「旅行業務取扱管理者」の取得に必要な知識です。旅行業の法令、約款(契約のルール)、国内外の観光地理、運賃・料金の計算方法、出入国に関する法律など、旅行業務の基礎から応用までを体系的に学びます。
168時間と学科の比重が大きいのは、国家試験の対策がカリキュラムの柱になっているためです。
実技で学ぶこと
実技では、ツアーコンダクター(添乗員)として現場で必要になるスキルを中心に学びます。国内・海外の添乗業務、ツアーの企画方法、旅行英語、クルーズツアーの知識など、実務に直結する内容です。
座学だけでは身につかない「お客さまを案内する力」「予期せぬトラブルへの対応力」を実習形式で学べるのが、訓練の大きな強みです。
就職支援の内容
訓練期間中には、旅行業界の就職状況や求人動向についても学びます。添乗員派遣会社や旅行会社の説明会に参加できるほか、キャリアコンサルティングを通じて自分に合った就職先を見つけるサポートも受けられます。
訓練校によっては21時間分の就職支援プログラムが用意されており、業界研究から実際の応募活動まで手厚い支援が期待できます。
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取得を目指せる資格と難易度
この職業訓練では、主に2つの資格の取得を目指します。

旅行業務取扱管理者(国家資格)
旅行業務取扱管理者は、旅行会社が営業所ごとに原則1人以上配置しなければならない国家資格です。旅行業法等の規定により、旅行部門の従業員数が10人以上の営業所では2人以上の選任が必要になります。旅行業界で働くうえで最も評価される資格であり、この資格があるかどうかで就職活動の有利さが大きく変わります。
資格は「総合旅行業務取扱管理者」と「国内旅行業務取扱管理者」の2種類に分かれています。
総合旅行業務取扱管理者(海外・国内両方を扱える)
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2020年(令和2年) | 10,378人 | 4,225人 | 40.7% |
| 2021年(令和3年) | 7,135人 | 1,785人 | 25.0% |
| 2022年(令和4年) | 5,266人 | 1,662人 | 31.6% |
| 2023年(令和5年) | 4,699人 | 1,050人 | 22.3% |
| 2024年(令和6年) | 4,680人 | 1,320人 | 28.2% |
総合旅行業務取扱管理者の合格率は20〜40%程度で推移しています。年度によってばらつきがありますが、全体的に難易度は高めの試験です。ただし、職業訓練で168時間の学科をしっかり受ければ、独学に比べて合格を目指しやすい環境が整っています。
国内旅行業務取扱管理者(国内旅行のみを扱える)
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2020年(令和2年) | 12,146人 | 4,576人 | 37.7% |
| 2021年(令和3年) | 10,569人 | 4,498人 | 42.6% |
| 2022年(令和4年) | 8,945人 | 3,125人 | 34.9% |
| 2023年(令和5年) | 8,879人 | 3,184人 | 35.9% |
| 2024年(令和6年) | 10,943人 | 3,660人 | 33.4% |
国内旅行業務取扱管理者の合格率は例年30%台〜40%台です。総合資格よりはやや取りやすいですが、それでもしっかりとした対策が必要な試験です。まずは国内資格を取得し、その後に総合資格を目指すという段階的な方法もあります。

旅程管理主任者資格(添乗員の資格)
ツアーコンダクター(添乗員)として働くには、「旅程管理主任者」の資格が必要です。企画旅行(募集型・受注型)に同行する主任添乗員は、この資格の取得が法律で義務づけられています。
資格は以下の2種類に分かれます。
【旅程管理主任者の種類】
- 国内旅程管理主任者資格:国内旅行のみに添乗可能
- 総合旅程管理主任者資格:海外旅行・国内旅行の両方に添乗可能
旅程管理主任者は、観光庁長官の登録を受けた機関が実施する研修(講義と修了試験)を修了し、一定の実務経験(添乗実務)を経ることで取得できます。
職業訓練ではこの「講義」と「修了試験」までをカバーしているのが一般的です。就職後に実務研修を経て、正式に資格者証が交付される流れになります。
未経験でも就職できるのか
職業訓練を修了すれば、未経験でも旅行業界への就職は可能です。ただし、資格を取っただけで即戦力として採用されるわけではないことは理解しておく必要があります。訓練で学んだ知識に加えて、接客経験や語学力、業界への関心の強さが総合的に見られます。
主な就職先
- 旅行会社(カウンター業務、ツアー企画)
- ツアーコンダクター(添乗員)
- ツアーオペレーター(旅行手配業務)
- 宿泊施設(ホテル・旅館のフロント業務)
- 観光関連企業
年代別の就職事情
旅行業界への就職は、年齢によって難易度やルートが異なります。

| 年代 | 就職の見通し |
|---|---|
| 20代〜30代前半 | 未経験でも比較的採用されやすい。資格をアピールすれば、カウンター業務やツアーコンダクターとしてのスタートが期待できる。 |
| 30代後半〜40代 | 未経験からの就職はやや厳しくなる。ただし、接客業や営業職の経験があれば活かせる。添乗員派遣会社は年齢層が幅広く、40代でも採用されるケースがある。 |
| 50代以降 | 正社員採用は難しくなるが、派遣やパートとして添乗員やカウンター業務に就くことは可能。語学力や地域知識があれば通訳ガイド・観光ガイドの道もある。 |
就職活動で有利になるポイント
未経験から旅行業界に就職する場合、以下のポイントが有利に働きます。
- 旅行業務取扱管理者の資格を取得している
- 旅程管理主任者の研修(座学)を修了している
- 語学力(英語、中国語など)がある
- 接客業や営業職の経験がある
- 特定の地域や観光地に詳しい
特に旅行業務取扱管理者の資格は、旅行会社の営業所に必ず必要な資格のため、採用側にとって明確なメリットがあります。訓練中に国家試験に合格できれば、就職活動で大きなアドバンテージになります。
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訓練を受ける前に知っておくべきこと
訓練期間と費用
訓練期間は3〜6ヶ月程度が一般的です。公共職業訓練(ハロートレーニング)の場合、受講料は無料ですがテキスト代や教材費(1万円〜2万円程度)は自己負担です。実際の期間・費用は募集要項で必ず確認してください。
資格試験は別途受験が必要
職業訓練を修了しただけでは旅行業務取扱管理者の資格は取得できません。訓練で学んだ知識をもとに、自分で試験を受験し合格する必要があります。
試験は年1回のみ。総合旅行業務取扱管理者試験は例年10月、国内旅行業務取扱管理者試験は例年9月に実施されます。訓練期間と試験日程を合わせて計画を立てることが重要です。
旅行業界の現状を理解しておく
旅行業界は観光需要の回復とともに求人が増えていますが、給与水準は決して高くありません。カウンター業務や企画職の初任給は月18万〜22万円程度、添乗員は月15万〜25万円程度が一般的な目安です。
特に添乗員は不規則な勤務時間や体力的な負担も伴います。「旅行が好き」という気持ちだけでなく、仕事内容や働き方の現実をよく理解した上で訓練に臨むことが大切です。
まとめ
観光ビジネス・トラベルビジネスの職業訓練は、未経験から旅行業界を目指す方にとって有効な選択肢です。168時間の学科で国家資格(旅行業務取扱管理者)の対策ができ、141時間の実技で添乗業務やツアー企画の実践力を身につけられます。
ただし、訓練を修了し資格を取得しただけで就職が保証されるわけではありません。訓練期間中から業界研究を進め、説明会に積極的に参加し、自分に合った就職先を見つける努力が必要です。
20代〜30代であれば未経験でも比較的採用されやすく、40代以降でも添乗員派遣会社など年齢層が幅広い就職先があります。旅行業界は、人と接することが好きな方、好奇心が旺盛な方に向いている仕事です。この訓練を、新しいキャリアの出発点にしてください。
よくある質問
未経験でも旅行業務取扱管理者の資格は取れますか?
取れます。旅行業務取扱管理者は受験資格に制限がないため、未経験でも試験を受けられます。職業訓練で体系的に学べるため、独学より合格を目指しやすい環境です。ただし訓練修了だけでは資格は取得できず、別途試験に合格する必要があります。
旅程管理主任者の資格は訓練中に取れますか?
訓練中に研修(座学)の修了と修了試験の合格までは可能です。ただし正式な資格取得には実務経験が必要なため、就職後に実務研修を経て資格者証が交付される流れが一般的です。
40代でも添乗員として就職できますか?
添乗員派遣会社は年齢層が幅広く、40代でも採用されるケースがあります。ただし正社員より派遣やパートでの雇用が中心になることが多いです。体力面の問題がなく、語学力や地域知識があればさらに有利です。
旅行業界の給与はどのくらいですか?
カウンター業務や企画職の初任給は月18万〜22万円程度、添乗員は月15万〜25万円程度が一般的な目安です。地域・会社・雇用形態によって差があります。経験を積んで管理者資格を活かせば、昇給の可能性もあります。
語学力がなくても旅行業界で働けますか?
国内旅行を扱う業務であれば語学力がなくても問題ありません。海外旅行を扱う場合や総合資格を目指す場合は英語力があると有利です。訓練では「旅行英語」も学べるため、基礎から身につけることができます。
資格試験は年に何回ありますか?
旅行業務取扱管理者の試験は年1回のみです。総合は例年10月、国内は例年9月に実施されます。訓練期間と試験日程を合わせた計画が重要です。
訓練修了後、すぐに就職できますか?
年齢や経験、資格の取得状況によって異なります。20代〜30代前半で資格を取得していれば比較的スムーズに就職できる可能性が高いです。訓練期間中から業界研究や説明会参加など、積極的に動くことが大切です。