職業訓練の役に立つ話

地方でモノづくりを学びませんか?(伝統工芸や産業の職業訓練)

2017年11月21日

職業訓練施設や職業訓練コースについては、地方の人から「東京などに比べてコースが少ない」とよく言われます。
確かに都市の方が多種多様な職業訓練コースが用意されています。

しかしどれも一般的で同じような訓練コースが多いのも事実。
その技能を身に付けたからといって絶対に就職できる、一生安泰な生活を送れるという保障はありません。

地方には地方ならではの職業訓練があることをご存知ですか?
ここではその一例を紹介していきます。

地域によっては、地元産業や伝統工芸、左官、大工、植木職などのユニークなコースも多々あります。
地方ならでは」「地元密着産業」といったことだわりの職業訓練コースです。

地元産業を活かした、都会にはないもの。

地方にこそ自分のやりたいことがあるのかもしれません。
やりたいことが決まれば遠隔地でも迷わず受講する意志の強さも必要となります。

ユニークな職業訓練コースが地方には多い

それではどのようなコースがあるのかいくつか紹介していきます。

 

農業の職業訓練

茨城県水戸産業技術専門学院の「農業実践科」では畑作・稲作・畜産を学ぶことができます。
職業訓練で農業を学ぶコースは少ない。

委託先としては「鯉水学園農業栄養専門学校」で7ヶ月のコースです。

農業を学ぶ職業訓練

農業へ就職するために必要な農業の基礎的知識を習得する他、稲作野菜栽培、家畜飼育等の実践的な農業機械なども学びます。

実践だけなく農業経営を把握するための農業簿記やパソコン操作なども習得していきます。

農家は高齢化が進み、跡継ぎ不足が特に問題になっています。場所はあるのに担い手がいない
昨今はサラリーマンを辞めて地方で農業を営む若い人も増えてきました。

最近では機械化が進んだこともあって、手間隙かける時間は少なくなっています。
ですが種や稲を埋めて、雑草を抜いたり、肥料を与えたり、もちろん水やりも欠かせません。

天候によっては大きな被害を受けることも少なくありません。ですが収穫できた時の喜びはサラリーマンでは経験できないもの。

今後は町ぐるみで、農業の担い手を募集することも増えてくるでしょう。補助金や住宅保障などを設けている地方もあります。

水戸産業技術専門学院

伝統工芸を活かした職業訓練

地元産業である伝統工芸を活かした職業訓練の数々を紹介します。

今治のタオルづくりを学ぶ

国内最大規模のタオル産地として今治は有名。そこには120年の歴史を刻み続けた伝統があります。
今治には、晒しや染めに適した軟水の良質の水が豊富にあり、良質な綿を厳選して手間暇をかけるという製法で作り上げています。

愛媛県の愛媛県立産業技術専門校(旧:今治高等技術専門校と松山高等技術専門校との統合)では、地元のタオル産業を反映して「今治タオルものづくり科」が開講されています。

修了制には、タオル選びのアドバイザーとして「タオルソムリエ」の資格を取得している人もいるようです。そのような資格があるのも驚きです。

愛媛県立産業技術専門校

京都の伝統工芸「やきもの」を学ぶ

京都と言えば「やきもの」が有名。その歴史は1200年にも遡ります。京焼・清水焼が有名です。
京都には現在300軒以上の窯元がありますが、業界自体はこじんまりとしています。

その理由は零細企業が多いため。そのため生産できる絶対数が少なく、後継者不足も深刻。

京都府の陶工高等技術専門校では「やきもの成形科」があり、若い人を中心に伝統工芸を学びたいという人が増えています。
東京方面からも、やきものを学ぶために転居する人も少なくありません。

やきもの成形科 成形コース(1年コース)
やきもの成形科 総合コース(2年コース)
やきもの図案科(1年コース)

やきもの成形科ではろくろの扱い方を、やきもの図案科では陶磁器に毛筆で絵柄を書く技術などを徹底的に学びます。陶芸界で即戦力になれる人材の育成を目指しているため実践が中心。

大学で陶芸を学んだ人が入校することも珍しくない施設です。

陶工高等技術専門校

うどん作りを学ぶ「さぬきうどん科」

香川と言えば「うどん」が有名。さぬきうどんと言えば、香川県特産品。

さぬきうどん科は、香川県から委託された唯一のうどん学校です。
職業訓練のコースで「うどん」があるのは地元産業ならではのこと。

3ヶ月のコースですが、香川県立高等技術学校高松校で定期的に開催されています。
専門家として小麦粉、塩、水など、いろいろな材料から学んでいくコース。

卒業生の方には起業独立する人も大勢いますし、学校を通して横のつながりも増えています。

香川県立高等技術学校高松校

東京にもある大人気コースの「製くつ科」

地方ではないのですが、東京にも珍しいコースがあります。
それが「製くつ科」。

ここは1年コースですが、応募数は定員の5倍以上もある超人気コースです。
とても狭き門となっています。

製くつとは職人の世界。モノづくりをやりたいという人が増えている証拠。
海外で”くつ”について留学・勉強した人が、更に学びたいと入学する人までいます。

最初は商品磨きや梱包出荷などの下積みから始まり、パタンナー業務を担当し、将来は独立開業。
夢が広がる世界です。

都立職業能力開発センター

さいごに

職業訓練には本当にさまざまな内容のコースがあります。
一般的な技術を身につける訓練から、地元産業の特色を活かした訓練まで。

まずはどのような訓練コースがあるのか調べてみてはいかがでしょうか?
地元ならではの訓練コースがあるかもしれません。
全国の職業訓練施設案内(全国さまざまな施設を紹介)

全国的に名前が通ったものを利用して、それを商売するやり方もあるのではないでしょうか。

UターンやIターンで職業訓練を検討するのも一つの手かもしれません。
Uターンであれば実家から通うことができるため、生活費を安く上げることができるかもしれません。

職業訓練は今住んでいる地域しか通えないわけではありません。
地方の職業訓練も受講することは可能です。選択肢は幅広い。

自分のやりたいことに挑戦することも、人生を生きていく上では必要ではないでしょうか。

 

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