職業訓練のパソコンコースは無料で学べる魅力的な制度ですが、「本当に初心者でも大丈夫なのか」「民間のパソコン教室とどう違うのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、職業訓練でパソコンを学ぶメリットとデメリット、そして民間のパソコン教室との違いを詳しく解説します。失業保険や給付金を受け取りながら通える条件や、実際にどんな資格が取れるのかまで、具体的にお伝えします。
自分にとってどちらが最適なのか、判断材料としてお役立てください。
■目次
職業訓練でパソコンを学ぶ3つの大きなメリット
職業訓練のメリットは多くありますが、まずは特に大きい3つ(費用・給付・初心者向け)を解説します。そのうえで、資格取得や就職支援などの「+αのメリット」も紹介します。
受講料が無料(教科書代のみ負担)
職業訓練のパソコンコースは、受講料が完全無料です。かかる費用は教科書代だけで、多くの場合1万円前後です。
ただし、コースによっては検定試験を受ける場合に受験料が必要になることがあります(訓練校や資格によって異なります)。「教科書代+検定料などの実費があるか」を説明会などで確認しておくと安心です。
民間のパソコン教室だと1時間あたり1,000円から3,000円程度かかります。職業訓練のカリキュラムは月100時間前後が標準的なので、3ヶ月コースなら30万円、6ヶ月コースなら60万円相当のレッスンを無料で受けられる計算になります。
費用対効果だけで考えれば、これ以上の選択肢はないでしょう。
失業保険や給付金を受け取りながら通える
ハローワークから受講指示を受けて公共職業訓練に通う場合、受講料無料に加えて失業保険(基本手当)を受け取りながら学校に通うことができます。さらに通学のための交通費(通所手当)が支給される場合もあります。
また、受講指示など一定の条件を満たす場合、職業訓練中に失業保険の給付日数が終了しても、訓練が終わるまで給付が延長されることがあります。これが職業訓練の大きなメリットです。
一方で、受講推薦で通う場合などは給付の扱いが異なることがあります。どの指示になるかは個別事情で変わるため、申込前にハローワークで確認してください。
また、雇用保険に加入していなかった方や加入期間が短い方向けに、求職者支援訓練という制度があります。条件を満たせば月10万円の職業訓練受講給付金と交通費が支給されます。給付金を受けられない場合でも、訓練自体は無料で受講できます。
初心者でも問題なく学べる
「パソコンをほとんど触ったことがないけど大丈夫ですか」という質問をよくいただきますが、職業訓練のカリキュラムは初心者向けに作られているコースが多いです。
電源の入れ方やマウスの使い方から始まるコースもあり、本人に学びたいという意欲があれば問題ありません。
ただし逆に、ある程度パソコンが使える方には物足りなく感じることもあります。事前に説明会に参加して、実際の受講内容(どのレベルから始まるか、学ぶ範囲は何か)を確認することをおすすめします。
パソコンの資格を取得できる
職業訓練のパソコンコースでは、資格取得を目標にカリキュラムが組まれていることが多く、受講中に資格試験を受ける人も多いです。最も多いのがマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)です。
MOSはワード、エクセル、パワーポイントなどの操作スキルを証明する資格で、履歴書の資格欄にも記載できます。試験日程が比較的多いため、訓練期間中に取得しやすい資格です。
就職支援を受けられる
職業訓練の目的は就職です。そのため、パソコンスキルの習得だけでなく、就職支援にもかなりの時間を割いています。
応募書類の添削、面接対策、ビジネスマナー研修などが含まれており、職業訓練校によっては求人の紹介を受けられるところもあります。
さまざまな世代の仲間ができる
職業訓練は学校形式で、平日毎日(10時〜17時など)通います。最大30人のクラスメイトと一緒に学んでいきます。
受講生は10代から70代まで、老若男女さまざまです。普段なかなか接点のない世代の方々と幅広いコミュニケーションを取ることができます。
職業訓練でパソコンを学ぶ際の注意点とデメリット
近くで開講されているとは限らない
職業訓練に通うには、まず通える範囲でパソコンコースが開講している必要があります。
東京都などの都市部では毎月パソコンコースが開講されていることもありますが、地方によっては年に数回しか開講されないこともあります。いくらパソコンを学びたくても、近くに訓練校がなければ通うことができません。
選考試験があり、すぐには受講できない
職業訓練に応募する場合、申込書選考、面接、筆記試験などの選考があります。この選考に合格しないと通うことができません。
また、申込締切から訓練開始までは、募集・選考・合否通知の関係で、早くても1〜2ヶ月程度かかることが多いです。明日からすぐにパソコンを学びたい、という場合には対応できません。
基本的に毎日通う必要がある(休みにくい)
職業訓練は学校形式です。平日は基本的に毎日7時間程度通わなければなりません。
数日の休みは問題ありませんが、原則として全日程の出席率が8割を下回ると指導が入り、場合によっては退校処分になることがあります。突発的に何日も休まなければならない状況が予想される場合は難しいでしょう。
小さなお子さんがいる方や、介護が必要な家族がいる方は、毎日通える環境かどうかを慎重に判断する必要があります。

民間のパソコン教室のメリット
いつでも始められる、時間の融通が利く
民間のパソコン教室は職業訓練よりも数が多く、ほとんどが予約制です。自分の都合が良い時間に始めることができます。昼間でも夜でも可能です。
すぐに始めたい場合や、お子さんや介護が必要な方がいる場合など、時間の融通が利く点は大きなメリットです。
学べる内容の選択肢が豊富
職業訓練のパソコンコースは、主にワード、エクセル、パワーポイントがメインです。
それに対してパソコン教室では、自分のレベルに合わせて学ぶコースを選べます。
ワード、エクセル、パワーポイントはもちろん、以下のような内容も学べます。
- Access(データベースソフト)
- スマートフォンやiPhoneの使い方
- 年賀状ソフト
- 写真編集、動画編集
- SNS(Twitter、Facebook、LINE)
- ブログ、ホームページ作成
また、WindowsだけでなくMac(マッキントッシュ)も学べたり、自宅のノートパソコンを持ち込んで学ぶこともできます。
カリキュラムに縛られず、自分がやりたいことだけを集中的に学べるのが民間パソコン教室の強みです。
少人数制・マンツーマン指導が受けられる
職業訓練校は約15人に1人の先生がつきます。そのため、マンツーマンで教えてもらうことはなかなかできません。
パソコン教室であれば、少人数からマンツーマンまで対応が可能です。職業訓練は決められたカリキュラム通りに進むため、場合によっては授業についていけなくなることもあります。
パソコン教室の場合は自分のレベルに合った進み方をするので、周りを気にする必要はありません。わからないことがあればすぐに質問できるため、授業に遅れることもありません。
民間のパソコン教室のデメリット
費用がかかる
パソコン教室の唯一にして最大のデメリットが、費用がかかることです。
一般的には1時間あたり1,000円から3,000円程度かかります。職業訓練が無料であることを考えると、どうしても高額に感じてしまいます。
ただし、全国の商工会議所では比較的安い金額でパソコン教室を開講しています。週1回50分の授業で、月額7,500円程度です。説明会も随時行っているため、費用を抑えたい方にはおすすめです。
参考:商工会議所パソコン教室
職業訓練と民間パソコン教室、どちらを選ぶべきか
職業訓練と民間パソコン教室、それぞれにメリット・デメリットがあります。
職業訓練がおすすめな人:
- 失業保険や給付金を受給できる(または受給予定の)方
- 平日毎日通える時間的余裕がある方
- 費用をかけずにしっかり学びたい方
- 就職支援も一緒に受けたい方
民間パソコン教室がおすすめな人:
- すぐに学び始めたい方
- 自分のペースで学びたい方
- 特定のスキルだけを集中的に学びたい方
- 毎日通うのが難しい方
民間のパソコン教室も以前に比べて手頃な価格になってきました。
また、パソコンを既にお持ちであれば、まずは独学で始めてみるのも良いかもしれません。今はオールカラーで初心者向けのパソコンの本も多く出ています。1冊読むだけでも大きく変わるでしょう。それでも難しいようであれば、パソコン教室を検討するという選択肢もあります。
パソコンスキルは今も求められている
今はスマートフォンが主流で、「パソコンはもう必要ない」と言われることもあります。若い方も以前ほどパソコンを使わなくなっています。
ですが、ほとんどの仕事ではパソコンを使います。パソコンができないと、仕事の選択肢が大きく狭まります。
ハローワークの求人を見てみると、多くの求人で「パソコンができる方」という条件が出ています。一見関係なさそうな警備や清掃の仕事でも、タイムシートや日報などの報告はパソコンを使ったりしています。
パソコンが使えることで、趣味の世界でも仕事の世界でも、できることがどんどん広がっていくのです。
よくある質問
職業訓練のパソコンコースは本当に初心者でも大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。職業訓練のカリキュラムは初心者向けに作られており、電源の入れ方やマウスの使い方から学べるコースも多くあります。ただし、事前に説明会に参加して、実際のカリキュラム内容を確認することをおすすめします。
職業訓練に通いながら失業保険を受け取るにはどうすればいいですか?
ハローワークで求職申込をした後、職業訓練の申込を行い、選考に合格する必要があります。その際にハローワークから「受講指示」を受けることで、訓練期間中も失業保険を受け取れる場合があります。受講推薦などの場合は給付の扱いが異なることがあるため、詳しくはハローワークの窓口で確認してください。
職業訓練でどんな資格が取れますか?
最も多いのはマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)です。ワード、エクセル、パワーポイントなどの操作スキルを証明する資格で、履歴書にも記載できます。訓練期間中に取得できるよう、カリキュラムが組まれていることが多いです。
民間のパソコン教室と職業訓練、どちらが就職に有利ですか?
職業訓練の方が就職支援が充実しています。応募書類の添削、面接対策、求人紹介などのサポートを受けられます。ただし、民間のパソコン教室でも資格取得のサポートは受けられるため、資格を取得すれば就職活動に有利になります。
職業訓練は毎日通わなければいけませんか?
はい、平日は基本的に毎日通う必要があります。全日程の出席率が8割を下回ると指導が入り、場合によっては退校処分になることがあります。やむを得ない事情での数日の欠席は問題ありませんが、頻繁に休むことは難しいです。
職業訓練受講給付金の10万円は誰でももらえますか?
いいえ、条件があります。本人収入が月8万円以下、世帯収入が月25万円以下、世帯金融資産が300万円以下などの要件を満たす必要があります。ただし、給付金を受けられない場合でも、訓練自体は無料で受講できます。詳しい要件は当サイトの別記事で解説しています。
パソコン教室の費用を安く抑える方法はありますか?
商工会議所のパソコン教室は比較的安価で、週1回50分の授業で月額7,500円程度です。また、最初は書籍での独学から始めて、わからない部分だけを教室で習うという方法も費用を抑えられます。