職業訓練コース一覧

日本語教師の職業訓練(日本語教師養成講座420時間)について

2017年6月8日

日本語教師になりたいけれど、「いきなり50万円以上の受講料は払えない」「仕事を辞めて学校に通うのは難しい」と感じている方へ。

実は、職業訓練や求職者支援訓練(ハロートレーニング)を利用すれば、受講料が原則無料で、日本語教師に必要な知識と実習を5〜6ヶ月で学べるコースがあります。

しかも、このコースは「日本語教師養成講座420時間」に相当する内容(※420時間は民間講座などでよく使われる目安の時間)を含み、修了すれば国家資格「登録日本語教員」の試験の一部が免除される場合があります。

この記事では、職業訓練で日本語教師を目指す方法について、カリキュラムの詳細、受講のメリット・デメリット、そして気になる「倍率」や「申し込み方法」まで、公表データや募集要項をもとに解説します。

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職業訓練で日本語教師になる3つのメリット

まず、なぜ今、職業訓練の日本語教師養成コースが注目されているのかを整理します。

メリット1:受講料が原則無料(教材費のみ1〜2万円)

民間の日本語教師養成講座は、受講料だけで50万円〜70万円かかるのが一般的です。一方、職業訓練では受講料は原則無料で、自己負担は教材費として1〜2万円程度です。

求職者支援訓練の場合、さらに一定の条件を満たせば「職業訓練受講給付金(月10万円)」も支給されるため、金銭的な負担をほぼゼロにして学べる可能性があります。

なお、「職業訓練」と一口にいっても、雇用保険を受給している方向けの公共職業訓練と、雇用保険を受給できない方向けの求職者支援訓練があります。自分がどちらに該当するか、まずはハローワークで確認してください(コースの募集要項にも区分が書かれています)。

メリット2:国家資格「登録日本語教員」の試験免除が受けられる

2024年から、日本語教師には「登録日本語教員」という国家資格制度が始まりました。この資格を取得するには、原則として以下の試験に合格する必要があります。

【登録日本語教員の試験構成】
・基礎試験(日本語教育の基礎知識)
・応用試験(実践的な指導力)
・実践研修(教育実習)

しかし、文部科学大臣の登録を受けた養成機関(登録日本語教員養成機関)のコースを修了すれば、「基礎試験」と「実践研修」が免除され、「応用試験」のみ合格すれば資格が取得できます。

職業訓練の中には、この「認定機関のコース」として実施されているものがあります。申し込み前に、必ず以下の点を確認しましょう。

【訓練申し込み前に確認すべきこと】
「この訓練は、登録日本語教員制度の免除対象になりますか?」

ハローワークや訓練実施機関に直接問い合わせれば教えてもらえます。認定コースであれば、修了後の負担が大幅に軽減されます。

メリット3:420時間の実習込みで即戦力になれる

職業訓練の日本語教師養成コースは、5〜6ヶ月で420時間以上のカリキュラムを組んでいます。このうち、実際に外国人学習者に対して授業を行う「教育実習」が50時間以上含まれるのが大きな特徴です。

民間の講座でも実習はありますが、訓練では国の基準に沿った充実した内容になっているため、修了後すぐに現場で教えられる力が身につきます。

職業訓練の日本語教師コース:カリキュラムの実例

ここでは、実際に2025年に募集されている訓練コース(東京エリアの例)のカリキュラムを紹介します。

最新の訓練では、Zoomやパワーポイントなどを活用したICT(情報通信技術)スキルも重視されており、オンライン授業にも対応できる内容になっています。

訓練コース内容(例)「日本語教師養成科(5ヶ月コース)」

区分 科目 科目の内容 時間
学科 安全衛生 安全で健康に働くための職場環境、安全・健康面の日常の注意点 2
就職支援 応募書類の書き方指導、面接時の心構え 10
言語学概論 ソシュールの言語学、アメリカ構造主義言語学、生成文法、意味論、語用論、認知言語学 20
対照言語学 日本語英語対照、日本語中国語対照、日本語韓国語対照、その他言語の対照、誤用分析 16
社会言語学 社会と言語、方言、ポライトネス理論、世界の言語状況 16
音声学 母音、子音、音素と異音、五十音図、アクセント、イントネーション 32
日本語文法 日本語の品詞、構造、ヴォイス、テンス、アスペクト、モダリティ、複文 40
語彙意味 語の形成、構成、語種、位相、待遇表現、辞書、類義語、反意語、多義語、慣用表現 20
文字表記 漢字、仮名遣い、送り仮名、外来語 16
日本語史 音韻史、文字史、文法史、語彙史、文体史、研究史、教育史 16
日本語教育と社会 日本語と国語、国内外の日本語教育、日本語教育関連機関、日本語学校とその周辺 16
コースデザイン シラバス、カリキュラム、レディネス、ニーズ分析、コース、CEFR、JF日本語教育スタンダード 16
外国語教授法 直接法と間接法、文法訳読法、AL法、CA、その他教授法 16
言語習得とバイリンガリズム 記憶のメカニズム、学習、母語習得、第二言語習得、学習ストラテジー、バイリンガリズム 16
異文化コミュニケーション 文化、異文化理解、異文化適応、異文化コミュニケーション、カルチャーショック、体験学習 16
評価法 評価の種類、様々なテスト法、テストの条件、評価方法、テスト処理、分析、改良、作文添削 16
実技 ICTと著作権 文書作成ソフト・プレゼンテーションソフトの操作、画像加工、教材作成、情報セキュリティー、ネットエチケット、個人情報管理、著作権 24
初級教授法演習 初級の定義、授業の進め方、教材教具、教案作成、初級教科書分析、6種類の文型パターンについての教え方 50
中上級教授法演習 中上級の定義、授業の進め方、語彙指導、読解指導、文法指導、会話指導、中上級教科書分析 36
技能別教授法演習 文字、語彙、読解、聴解、会話、作文、日本文化、日本事情の指導 36
初級教育実習 0〜300時間内の日本語授業を受けた外国人に対する初級教案、模擬授業ならびに実習授業 50
中上級教育実習 301〜600時間内の日本語授業を受けた外国人に対する中上級教案、模擬授業ならびに実習授業 48
その他 職業人講話「働く人の社会保険、日本語学校とその周辺」他 6
訓練総時間:534時間

上の例のように、訓練の総時間は420時間を上回ることもあります。420時間は「最低ラインの目安」と捉え、実際は募集要項の総時間で判断してください。

日本語講師

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職業訓練で日本語教師を目指す際の「倍率」と申し込み方法

ここで気になるのが、「職業訓練の日本語教師コースは倍率が高いのか?」という点です。

倍率はどれくらい?

職業訓練の日本語教師コースは、他のコースに比べて人気が高く、倍率は2〜3倍程度になることが多いです。特に、都市部(東京・大阪・名古屋など)では競争率が上がる傾向にあります。

ただし、倍率は年度や地域、募集時期によって上下します。募集要項に「定員」と「応募者数(または申込者数)」が載っている場合は、応募者数 ÷ 定員でおおよその倍率が把握できます。逆に、数字が出ていない場合もあるため、そのときは「人気コースになりやすい」程度の目安として捉えてください。

以下のポイントを押さえれば、合格の可能性は十分にあります。

【選考で有利になるポイント】
・志望動機が明確であること(「なぜ日本語教師になりたいのか」を具体的に語れる)
・訓練後の就職意欲が高いこと
・基礎学力(高卒程度)があること
・面接で「訓練を最後まで受講する意思」を伝えられること

選考は書類審査と面接が中心です。「日本語教師として働きたい」という熱意を、自分の言葉で伝えることが最も重要です。

ハローワークでの申し込み手順

職業訓練や求職者支援訓練は、ハローワークで申し込みます。以下の流れで進めてください。

【申し込みの流れ】
1. ハローワークで求職登録をする
2. 窓口で「日本語教師養成の訓練を受けたい」と相談
3. 訓練実施機関で説明会・見学会に参加(任意だが推奨)
4. ハローワークで正式に受講申し込み
5. 選考(筆記試験・面接)
6. 合格通知を受け取り、訓練開始

訓練開始の1〜2ヶ月前には募集が始まるため、ハローワークのサイトや窓口で最新情報をこまめに確認しましょう。自分の地域のコースを探すときは、ハローワークインターネットサービス(職業訓練検索)から「日本語教師」「日本語教員」などで検索すると見つけやすいです。

取得できる資格と試験データ

日本語教育能力検定試験(従来の資格試験)

国家資格制度が始まる前は、この「日本語教育能力検定試験」が日本語教師の実力を証明する主要な資格でした。現在も、この試験に合格していれば、日本語教師としての実践的な知識があることの証明になります。

受験者数・合格率の推移

受験者数 合格者 合格率
2019年(令和元年) 9,380人 2,659人 28.3%
2020年(令和2年) 9,033人 2,613人 28.9%
2021年(令和3年) 8,269人 2,465人 29.8%
2022年(令和4年) 7,054人 2,182人 30.9%
2023年(令和5年) 8,211人 2,542人 31.0%
2024年(令和6年) 3,371人 1,045人 31.0%

令和6年の受験者数減少は、日本語教師の人気低下を示すものではありません。これは、国家資格「登録日本語教員」の制度開始により、資格取得に必要な試験が新設の「日本語教員試験」へ移行したためです。実際に第1回の国家試験には約17,600名もの応募がありました。つまり、多くの受験者が従来の「検定試験」から、国家資格に直結する「新しい試験」へと受験先を変えたことが主な要因です。

日本語教員試験(国家資格)について

2024年に実施された第1回「日本語教員試験」の結果は以下の通りです。

【第1回日本語教員試験の結果】
・受験者数:17,655人
・合格者数:11,051人
・全体の合格率:62.6%

ただし、この合格率には注意が必要です。合格者の中には、以下のような「試験免除」を受けた人も含まれています。

・現職の日本語教師(実務経験による免除)
・養成講座を修了した人(基礎試験免除)

そのため、すべての試験を受けた人の合格率はもう少し低くなると考えられます。それでも、認定コースを修了して「基礎試験」と「実践研修」を免除されていれば、「応用試験」のみの合格を目指せるため、負担は大幅に軽減されます。

男女別・年代別の受験者データ

日本語教育能力検定試験の受験者は、女性の割合が比較的高いですが、男性も一定数います。年代は20代から60代以上まで幅広く、セカンドキャリアとして目指す中高年層が多いのも特徴です。


引用:日本国際教育支援協会(日本語教育能力検定試験)

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主な就職先と働き方のリアル

職業訓練を修了した後、どのような場所で働けるのでしょうか?また、最初から正社員として働けるのでしょうか?現実的な働き方について解説します。

主な就職先

日本語教師の就職先は、以下のような場所が中心です。

・日本語学校(国内)
・海外の日本語教育機関
・技能実習生の研修センター
・地域の日本語教室(ボランティア含む)
・オンライン日本語教師(個人事業主として)

特に最近は、オンラインで日本語を教える仕事が増えており、自宅にいながら世界中の学習者に教えることも可能になっています。

最初は「非常勤講師」からスタートするのが一般的

職業訓練を修了してすぐに「正社員」として雇われるケースは、正直なところ少ないのが現状です。多くの場合、最初は「非常勤講師(コマ単位での契約)」からスタートします。

非常勤講師は、1コマ(45分〜90分)あたりの報酬で働くため、担当するコマ数が少ないと収入が安定しません。そのため、最初は2つの学校を掛け持ちして生計を立てるケースも実際に多く見られます。

ただし、経験を積んで実績を作れば、「専任講師(フルタイム・正社員)」へステップアップできる可能性が高まります。国家資格化に伴い、日本語教師の専門性が再評価されており、処遇改善の動きも出てきています。

外国語能力は必要?

生徒は外国人ですが、授業はすべて日本語で行う(直接法)ため、英語や中国語などの外国語能力は必須ではありません。語学力よりも、相手に伝えようとするコミュニケーション能力が大切です。

日本語教師のメリットとデメリット

最後に、日本語教師という仕事の魅力と、知っておくべき現実的な課題をまとめます。

メリット

  • 職業訓練なら「教育実習」が充実しており、現場に出る自信がつく
  • 要件を満たすコースなら、国家資格試験の一部免除が受けられる
  • 外国人労働者の受入れ拡大に伴い、国内外で需要が高まっている
  • 言葉を通じて日本の文化を伝え、相手の人生に関われるやりがいがある
  • 年齢に関係なく活躍でき、人生経験がプラスに働く

デメリット・課題

  • 非常勤講師からのスタートが多く、収入が安定しにくい場合がある
  • 授業準備などの「見えない業務」が多い
  • 採用要件が過渡期で複雑(自分が目指すルートを明確にする必要がある)

以前は「待遇が良いとは言えない」ことが課題でしたが、国家資格化に伴い、日本語教師の専門性が再評価され、処遇改善の動きも出てきています。「思い切って海外に出てみる」という選択肢も引き続き魅力的です。

まとめ:なぜ今、この訓練が人気なのか

職業訓練の日本語教師養成コースは、「受講料無料」「国家資格の試験免除」「充実した実習」という3つの強みを持ち、セカンドキャリアを考える中高年層を中心に人気が高まっています。

日本語は非常に奥深く、難しい言語です。例えば、私たちが普段何気なく使っている「あげる」という言葉ひとつをとっても、幾つもの意味があります。

・声をあげる
・物を(上に)あげる
・拳をあげる(訴える)
・テンションをあげる
・天ぷらをあげる
・人に(物を)あげる......等

私たち日本人は、前後の文脈やその場の状況でこれらを瞬時に使い分けることができます。しかし、何もわからない外国人の学習者に、この一つひとつの意味の違いを論理的に理解してもらうのは大変なことです。

この職業訓練コースで学ぶのは、まさにその技術です。いかに「日本語の意味をわかりやすく伝えられるか」を徹底的にトレーニングします。

これから更に国際化が進み、多くの留学生や就労者が日本語を学びに来日します。「受講料無料」で専門知識を身につけ、さらにコースによっては「国家資格の試験免除」まで得られるこの訓練は、日本語教師への第一歩として最強のルートです。

言葉を通じて日本のファンを増やし、人の成長に関われる。日本語教師は、非常にやりがいのある仕事であることは間違いありません。

よくある質問

Q1:職業訓練の日本語教師コースに年齢制限はありますか?

基本的に年齢制限はありません。実際、40代・50代・60代の受講者も多く、人生経験が教える際のプラスになります。

Q2:訓練中に失業保険はもらえますか?

公共職業訓練の場合、失業保険を受給しながら訓練を受けることができます。求職者支援訓練の場合は、一定の条件を満たせば「職業訓練受講給付金(月10万円)」が支給されます。詳しくはハローワークで確認してください。

Q3:訓練を修了すれば必ず就職できますか?

全国一律でまとまった就職率データが常に公表されているわけではありませんが、コースの募集要項や説明会資料に「過去の就職状況」が載ることがあります。日本語教師の需要は高まっていますが、最初は非常勤講師からのスタートが多いため、複数の学校を掛け持ちする覚悟も必要です。

Q4:倍率が高いと聞きましたが、合格は難しいですか?

倍率は2〜3倍程度が目安ですが、「日本語教師として働きたい」という明確な志望動機と、訓練を最後まで受講する意思を伝えられれば、合格の可能性は十分にあります。

Q5:国家資格「登録日本語教員」は必ず取る必要がありますか?

現時点では、すべての日本語教師に国家資格が必須というわけではありません。ただし、法務省告示校(留学生を受け入れる日本語学校)で教える場合は、今後この資格が必要になる可能性が高いため、取得を目指すことをおすすめします。

Q6:オンラインで日本語を教えることもできますか?

はい、できます。最近はオンライン日本語教師として、個人事業主として働く人も増えています。Preply、italki、Cafetalkなどのプラットフォームを利用すれば、世界中の学習者に教えられます。

Q7:認定コースかどうかはどうやって確認すればいいですか?

ハローワークの窓口、または訓練実施機関に直接「この訓練は、登録日本語教員制度の免除対象になりますか?」と確認してください。認定コースであれば、必ず教えてもらえます。

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