ビル管理の職業訓練で取れる資格は?60代未経験での就職実態

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ビル管理の職業訓練で取れる資格は?60代未経験での就職実態

「未経験からビル管理の仕事に就きたい。でも、何から始めればいいかわからない」。そんな方にとって、職業訓練は最も現実的な第一歩です。

ビル管理(ビルメンテナンス)の職業訓練では、「ビルメン4点セット」と呼ばれる業界必須の4つの資格の取得を目指しながら、電気設備・空調設備・給排水設備の基礎を実践的に学ぶことができます。受講生の9割以上が未経験者で、平均年齢は40代。60代で受講して就職した実績もあります。

一方で、ビル管理業界の給与は決して高くありません。夜勤や交代勤務も一般的です。「長く安定して働ける仕事」と「高収入の仕事」は別物だと、最初に理解しておく必要があります。

この記事では、ビル管理の職業訓練について、訓練内容、取得できる資格と難易度、就職先と給与の実態、そして60代でも本当に就職できるのかまで、正直にお伝えします。

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ビル管理の職業訓練で何を学ぶのか

ビル設備・ビル管理の職業訓練は、オフィスビルや商業施設などの建物における設備の運転・保守・管理を行う技術者を育成するコースです。具体的には、以下の3つの分野を中心に学びます。

電気設備管理では、エレベーターや照明、電話などへの電力供給状況を監視します。電力計・電圧計・電流計で常時チェックし、異常があれば原因調査を行い、必要に応じてメーカーへの修理手配も担当します。

空調設備管理では、冷暖房用機械を運転し、室内の温度・湿度・換気が適切に保たれるよう調整します。

給排水設備管理では、飲料水用の水槽やポンプの運転、排水処理に関わる設備の管理を行います。

なぜ資格が必要なのか

ビル管理の現場には、電気工事や特定の危険物取り扱いなど、法律で有資格者による実施・管理が義務付けられている業務が数多くあります。

そのため職業訓練では、実務に直結する複数の資格取得を目指したカリキュラムが組まれています。

60代でも受講・就職できるのか

この質問は非常に多いので、先にお答えします。結論から言えば、60代でも受講可能で、就職実績もあります

ビル管理業界は他業種と比較して年齢制限が緩やかです。70歳を超えても経験者が働き続けているケースは珍しくありません。「長く働ける仕事を探している」という中高年の方にとって、ビルメンは現実的な選択肢の一つです。

受講生の実態

多くの訓練校では、受講生の平均年齢は40代。未経験者の割合は9割以上です。中高年や異業種からの転職者が大半を占めており、60代の受講生も珍しくありません。訓練校によっては「中高年齢者向け」を明確に打ち出しているところもあります。

60代の就職における有利な点と不利な点

60代での就職は可能ですが、現実を正確に把握しておくことが大切です。

有利な点 不利な点
資格を複数取得していれば評価される 30〜50代と比べて求人の選択肢は限られる
経験よりも資格重視の求人が多い 給与水準は若年層より低めになる傾向
夜勤や土日勤務ができると採用されやすい 体力面での不安を持たれやすい

60代から未経験でビルメンに就職する場合、「選り好みしすぎない」「夜勤・土日勤務も視野に入れる」「資格を確実に取得する」。この3つの姿勢が重要になります。

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ビル管理の仕事に向いている人

職業訓練に申し込む前に、自分がこの仕事に向いているかを確認しておきましょう。以下のような方はビル管理の仕事に適性があります。

機械設備・電気設備に興味がある方。設備の仕組みを理解し、異常時にトラブル対応できる知識が求められます。機械いじりが好きな人には向いている仕事です。

高齢まで長く働きたい方。70歳を超えても働き続けられる数少ない職種の一つです。定年後のセカンドキャリアとして選ぶ人も多くいます。

資格取得に意欲的な方。訓練期間中はもちろん、就職後も継続的に新しい資格の取得が求められます。学び続ける姿勢が必要です。

夜勤・シフト勤務が可能な方。24時間稼働するビルの管理では、夜勤や交代制勤務が一般的です。「日勤のみ」を希望すると、求人の選択肢がかなり狭まります。

訓練コースの種類と内容

ビル管理の職業訓練には、地域や学校により異なりますが、主に「3ヶ月コース(民間委託)」と「6ヶ月コース(ポリテクセンター等)」があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

3ヶ月コース(短期集中・資格取得重視)

資格取得に必要な知識を短期間で集中的に学ぶコースです。実習時間は少なめですが、早く就職活動を始めたい方に向いています。

配電盤

以下は3ヶ月コースのカリキュラム例です。

区分 科目 科目の内容 時間
学科 建築物概論・ビル管理 建築物の構造・種類・機能、ビル環境衛生管理 24
電気設備 電気設備概論、電気工事士受験対策 42
空調設備 熱源機の種類・仕組み・機能 12
給排水設備 貯水槽、高架水槽、汚水槽を含む設備管理 6
防災設備・消防設備 自動火災報知機、防火設備機器 24
ボイラー受験講習 ボイラーの種類・構造・機能 66
危険物取扱受験講習 石油・ガソリン等の爆発性引火物の取り扱い 60
冷凍機械責任者講座 冷凍理論、高圧ガスに係る保安業務 30
就職支援講座 応募書類作成、面接対策、情報交換会 30
現場実習・見学 ボイラー運転、電気設備運転、中央監視室での実習 24
総訓練時間 318時間

3ヶ月コースは資格試験の合格に必要な知識をピンポイントで学ぶ設計です。実習時間は24時間と少ないため、実務的なスキルは就職後に現場で身につけていくことになります。

6ヶ月コース(ポリテクセンター・実践重視)

ポリテクセンター等で開講される6ヶ月コースは、実習時間が長く、より実務に近い技能を身につけられます。就職支援も手厚い傾向があります。

以下は6ヶ月コースの主な科目です。

科目 主な内容 関連資格
電気配線工事 電気回路の基礎、配線作業、ケーブル配線、電線管工事 第二種電気工事士
電気設備保全管理 シーケンス制御、受変電設備保全、発電・蓄電池設備 -
防災設備管理 自動火災報知設備の点検・管理、消火設備の概要 第四類消防設備士
空調設備保全管理 冷凍の原理、エアコン設置実習、空気環境測定、故障診断 第2種・第3種冷凍機械責任者
給排水衛生設備管理 給水方式、水質測定、排水配管、衛生器具の設置・交換 -
ボイラー取扱い技術 ボイラーの構造・原理、運転・保全、関連法規 二級ボイラー技士
その他ビル設備関連 中央管理システム、危険物取扱い、ビルクリーニング概論 危険物取扱者(乙種四類)
情報活用 文書作成、表計算ソフトによるデータ管理 -
総訓練時間 668時間

6ヶ月コースは総訓練時間が668時間と、3ヶ月コースの約2倍です。実際に配線工事やエアコン設置、給排水配管の接続といった実習を多くこなすため、就職後に即戦力として活躍しやすくなります。

どちらを選ぶべきか

職業訓練中3ヶ月コース対6ヶ月コース

3ヶ月コースと6ヶ月コースの選び方

  • 失業給付の残日数に余裕がある → 6ヶ月コースで実技をしっかり学ぶ
  • 早く就職したい・残日数が少ない → 3ヶ月コースで資格取得に集中
  • 実務経験ゼロで不安が大きい → 6ヶ月コースの方が安心

訓練の雰囲気を事前に知りたい方は、ポリテクセンター滋賀がYouTubeで公開している「ビル設備サービス科」の動画が参考になります。

ビル設備サービス科の訓練紹介動画(YouTube:ポリテクセンター滋賀)

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取得を目指す資格と難易度

ビル管理の職業訓練では、「ビルメン4点セット」と呼ばれる4つの資格を中心に取得を目指します。これらはビル管理業界への就職において必須とされることが多く、複数保有していると採用で有利になります。

ビルメン4点セットとは

ビルメン4点セット資格マップ

資格名 用途 合格率の目安
第二種電気工事士 電気設備の工事・保守 筆記55〜60%、技能70〜75%
危険物取扱者(乙種4類) ガソリン・灯油等の管理 30〜35%
2級ボイラー技士 ボイラーの運転・管理 50〜55%程度
第3種冷凍機械責任者 冷凍機の保安管理 20〜40%(年により変動大)

ビルメン資格取得ロードマップ

第二種電気工事士の合格率推移

ビルメン4点セットの中で最も重要とされる第二種電気工事士の合格率推移です。年2回(上期・下期)実施され、筆記試験と技能試験があります。

年度 筆記 受験者数 筆記 合格率 技能 受験者数 技能 合格率
2021年上期 86,418人 60.4% 64,443人 74.2%
2021年下期 70,135人 57.7% 51,833人 71.1%
2022年上期 78,634人 58.2% 53,558人 74.2%
2022年下期 66,454人 53.3% 44,101人 70.6%
2023年上期 70,414人 59.9% 49,547人 73.2%
2023年下期 63,611人 58.9% 45,790人 68.8%
2024年上期 70,139人 60.2% 50,668人 70.9%
2024年下期 62,323人 55.9% 43,570人 69.5%
2025年上期 70,945人 57.7% 51,576人 72.0%
2025年下期 68,142人 55.4% 48,034人 71.4%

筆記試験の合格率は約55〜60%、技能試験は約70〜75%。職業訓練でしっかり対策すれば、十分に合格を狙える難易度です。

危険物取扱者(乙種4類)の合格率推移

年度 受験者数 合格者数 合格率
2021年(令和3年) 160,248人 57,842人 36.1%
2022年(令和4年) 151,979人 47,841人 31.5%
2023年(令和5年) 144,431人 44,920人 31.1%
2024年(令和6年) 148,052人 47,787人 32.3%
2025年(令和7年) 152,300人 48,126人 31.6%

合格率は約30〜35%とやや低めに見えますが、暗記中心の試験です。職業訓練のカリキュラムに沿って勉強すれば、合格は十分に現実的です。

第3種冷凍機械責任者の合格率推移

年度 受験者数 合格者数 合格率
2021年(令和3年) 7,422人 1,988人 26.8%
2022年(令和4年) 7,513人 2,133人 28.4%
2023年(令和5年) 7,891人 3,146人 39.9%
2024年(令和6年) 7,605人 2,744人 36.1%
2025年(令和7年) 7,720人 2,856人 37.0%

合格率は年によって大きく変動します。2020年には18.3%と急落した年もありましたが、近年は36〜40%程度で推移しています。4つの資格の中では難易度が読みにくい試験です。

その他の関連資格

ビルメン4点セットに加えて、以下の資格も取得しておくと就職やキャリアアップに有利です。

消防設備士(乙種第4類)は、自動火災報知設備の工事・整備に必要な資格です。6ヶ月コースでは防災設備管理の科目で基礎を学べます。

第1種電気工事士は、第二種の上位資格です。就職後にステップアップとして取得する人が多く、より大規模な設備の工事が可能になります。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)は、延べ面積3000㎡以上の特定建築物に設置が義務付けられている資格で、実務経験2年以上が受験要件です。
※実務経験は対象施設(事務所、店舗など)・業務内容(清掃、点検など)の指定があります。詳細は日本建築衛生管理教育センター等でご確認ください。

資格取得にかかる費用

資格試験の受験費用は原則として自己負担です。訓練の受講料は無料ですが、資格を取るためには別途費用がかかることを把握しておきましょう。

【資格取得費用の目安(2026年2月時点)】

  • 第二種電気工事士:受験料11,100円(インターネット申込の場合)+教材費
  • 危険物取扱者乙種4類:受験料5,300円+教材費
  • 2級ボイラー技士:受験料8,800円+教材費
  • 第3種冷凍機械責任者:受験料9,800円(電子申請)+教材費

受験料だけで合計約3万5千円。教材費を含めると5〜8万円程度は必要です。不合格で再受験する場合はさらに費用がかかります。失業給付を受給している方は、その中から計画的に捻出しましょう。

なお、各資格の試験日程は年間であらかじめ決まっています。訓練期間中にどの資格をどの順番で受験するか、入校後すぐにスケジュールを組むことが重要です。多くの訓練校では、受験スケジュールを考慮してカリキュラムが設計されています。

就職先と給与の実態

主な就職先

ビル管理の資格を取得した後の就職先は、ビル管理会社、設備管理会社、施設管理会社、マンション管理会社、消防設備保守会社などです。

職種としては、ビル管理・ビルメンテナンス・設備管理・施設管理・防災センター要員・消防設備の保守点検・電気工事士などが挙げられます。

2つの勤務形態

ビル管理の仕事には、大きく分けて2つの勤務形態があります。

勤務形態 特徴 夜勤
巡回型 複数のビルを定期的に巡回して点検・保守を行う 少ない
常駐型 特定のビルに常駐し、設備の運転監視や緊急対応を行う あり(シフト制)

夜勤を避けたい方は巡回型を希望することになりますが、求人数は常駐型の方が多い傾向です。

給与水準の現実

ビル管理業界の給与は、正直に言って低めです。これは業界全体の特徴であり、未経験から始める場合は特に覚悟が必要です。

ビル管理の給付水準(月給目安)

区分 月給の目安
未経験者(初任給) 19万円〜23万円程度
資格保有者・経験者 21万円〜29万円程度
60代 17万円〜20万円程度

ただし、以下の条件があると収入は上がります。

夜勤手当がつけば月2〜5万円程度の上乗せ。資格手当は1資格あたり月3,000円〜5,000円程度。大手ビル管理会社や公的施設の管理は比較的待遇が良い傾向にあります。また、電験三種など上位資格を取得すると、さらに評価が上がります。

ビル管理は「高収入の仕事」ではなく、「70歳を超えても安定して働ける仕事」です。この点を最初から理解した上で、自分に合っているかを判断してください。

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訓練を受ける前に知っておくべきこと

体力面の要求

ビル管理はデスクワークではありません。設備の点検でビル内を歩き回り、重い工具を運び、狭い場所での作業もあります。60代で未経験から始める場合、体力面が不安材料になることもあります。

ただし、常駐型の監視業務であれば比較的負担が少ないため、自分の体力に合った職場を選ぶことが大切です。

夜勤・交代勤務への対応

24時間稼働するビルでは、夜勤や交代勤務が当たり前です。夜勤ができると求人の選択肢が広がり、夜勤手当も加算されます。しかし、生活リズムの大きな変化に対応できるかは、事前に考えておく必要があります。

資格を取って終わりではない

ビル管理業界では、法改正や新しい設備の登場により、常に知識のアップデートが求められます。4点セットを取得した後も、上位資格への挑戦やスキルアップが必要です。「資格を取ったら安泰」ではなく、「働きながら学び続ける」覚悟が求められる職種です。

まとめ:ビル管理の職業訓練は「長く働きたい人」に向いている

ビル設備・ビル管理の職業訓練は、未経験から資格を取得し、年齢を重ねても働き続けられる仕事に就くための有効な選択肢です。

この記事のポイント

  • 60代でも受講可能で、就職実績もある
  • 受講生の平均年齢は40代、9割以上が未経験者
  • ビルメン4点セットの取得を目指す(費用は5〜8万円程度)
  • 給与水準は低めだが、70歳を超えても働ける
  • 夜勤や交代勤務ができると就職に有利
  • 3ヶ月コースと6ヶ月コースがあり、自分の状況に合わせて選べる

「高収入を目指す」というよりは、「安定して長く働ける仕事を見つけたい」という方に向いている業界です。訓練に申し込む前に、ハローワークで実際の求人票を確認し、給与や勤務条件を把握した上で判断しましょう。

よくある質問

60代で未経験からビルメン業界に就職できますか?

可能です。ビル管理業界は70歳を超えても働いている人がいるほど、年齢制限が緩やかな業界です。ただし、30〜50代と比べると求人の選択肢は限られます。資格を確実に取得し、夜勤や土日勤務にも柔軟に対応する姿勢が重要です。

訓練期間中にすべての資格を取得する必要がありますか?

必須ではありません。ただし、就職時に資格を多く持っているほど有利になるため、できる限り訓練期間中に取得しておくことをおすすめします。取りきれなかった資格は、就職後に働きながら取得することも可能です。企業の資格取得支援制度を活用するのも手です。

3ヶ月コースと6ヶ月コース、どちらを選ぶべきですか?

失業給付の残日数に余裕があり、実技をしっかり学びたい方は6ヶ月コースがおすすめです。早く就職したい方や、残日数が少ない方は3ヶ月コースを選ぶとよいでしょう。6ヶ月コースはポリテクセンターで開講されることが多く、就職支援が手厚い傾向があります。

給与が低いと聞きましたが、具体的にどのくらいですか?

未経験者の初任給は月給19万〜23万円程度が目安です。60代の場合は月給17万〜20万円程度になることが多いでしょう。夜勤手当(月2〜5万円)や資格手当(1資格あたり月3,000〜5,000円)がつくと収入は上がります。

体力に自信がなくても働けますか?

常駐型の監視業務であれば、比較的体力的な負担は少なくなります。ただし、設備点検で階段の昇降や重い工具の運搬が必要な場合もあります。求人票で業務内容を確認し、自分の体力に合った職場を選ぶことが大切です。

訓練終了後の就職率はどのくらいですか?

訓練校や地域によって異なりますが、資格を複数取得した受講生の就職率は比較的高い傾向にあります。ただし、年齢や希望条件によって難易度は変わります。訓練校の就職支援を活用し、訓練中から求人情報をチェックすることが大切です。

女性でもビルメンの仕事はできますか?

はい、可能です。近年は女性のビル管理技術者も増えています。特に監視業務が中心の職場や、病院・商業施設などの清潔感が求められる現場では、女性が活躍しているケースが多く見られます。

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