職業訓練に応募するとき、多くの方が手が止まるのが「志望動機」の欄です。何を書けば合格に近づけるのか、どう書けば落とされるのか、正解がわからないまま悩んでいる方は多いでしょう。
職業訓練の選考は、コースによっては申込書だけで合否が決まることがあります。実際に東京都の公共職業訓練(離職者向け再就職訓練)などでは、面接や筆記試験がなく、受講申込書の内容だけで合否が決まるコースが多くあります。つまり、志望動機の書き方ひとつで合否が分かれるんです。
ここでは職業訓練の申し込みに必要な志望動機・志望理由をどのように書けば合格に近づけるのかを紹介します。特に3つのポイントを良い例・悪い例を交えながら解説していきます。
■目次
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職業訓練の選考方法と申込書の重要性
職業訓練校の入校選考はさまざまです。申込書選考、面接選考、筆記検査、適性検査などがあり、これらを総合的に判断して合否を決めます。
職業訓練に応募する際に必ず必要なのが「受講申込書」です。公共職業訓練でも求職者支援訓練でも共通です。
選考方法が「申込書選考のみ」という職業訓練コースも少なくありません。その場合、申込書だけで判断されるため、中身の書き方がより重要になります。
(参考例:東京都の公共職業訓練)
申込書で記入する主な項目
申込書の中で記入する項目は大体決まっています。
申込書の主な記入項目
- 志望理由・志望動機
- 就職活動状況
- 希望就職時期
- 希望職種、雇用形態
- 学歴、職歴、資格
これらについて1つずつ解説していきます。
職業訓練に合格する志望動機 3つのポイント
申込書で一番大切な項目が志望理由・志望動機です。
これは職業訓練校の人が「どのような人に来てほしいのか」を念頭に置きながら書く必要があります。決して自分本位の書き方ではいけません。
職業訓練校が求める人
職業訓練校側は「真剣に就職を考えている方」に来てもらいたいと考えています。
職業訓練校は訓練終了後3か月以内の就職率が、国や都道府県から評価されることが一般的です。そのため、就職意欲が高く、実際に就職できそうな人を優先的に選考します。
学校側の本音
訓練校にとって就職率は次年度のコース継続=売上に直結します。就職率が悪いと国や県から「この学校に任せる意味がない」と判断され来年から外される(コースが開けなくなる)リスクが出るのです。だからうるさいほど就職率を気にするんです。
志望動機で伝えるべき4つのこと
志望動機を書く際には、以下の4つを意識してください。
志望動機で伝えるべき4つのポイント
- 今後希望する仕事と、応募する職業訓練コースがマッチしているか
- 就職意欲はあるか、就職できそうか
- なぜ職業訓練なのか、本当に受ける必要があるか
- どのようなことを学びたいのか
すべて盛り込んだ内容を書きたいところですが、どの受講申込書もおよそ200〜300文字分しか書き込むスペースがありません。この文字数の中でいかにアピールできるかが鍵となります。
特に大事なのが就職意欲。志望動機には「なるべく早く就職したい」という文言を入れましょう。「職業訓練になぜ通う必要があるのか」その理由も大切です。
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志望動機の悪い例(不合格になりやすい書き方)
悪い例1:興味だけで具体性がない
簿記の資格に興味があり応募しました。よろしくお願いします。
興味や感想だけでは、就職意欲や訓練と就職のつながりが伝わりません。文字数も少なく、熱意が感じられません。
悪い例2:他人任せで主体性がない
家族に勧められて申込みしました。簿記はまったく初めてで不安ですが頑張りたいと思います。将来は事務職を希望しています。
人から勧められて応募するという内容は、本人のやる気を感じられません。「不安」などネガティブな表現も避けるべきです。
悪い例3:方向性が定まっていない
自分には何が向いているのか正直わかりません。ですがCADをマスターすれば今後の就職活動に役に立つのではと思い応募しました。訓練で学ぶことで方向性を決めることができればと考えています。
「正直な気持ち」を伝えるのは構いませんが、そのまま書いてはいけません。方向性が定まっていない人は就職に繋がりにくいと判断されます。
悪い例4:習い事感覚
お花を扱うことが大好きで、お花についてもっと知りたい、もっと勉強したいと思っていたところ、貴校の職業訓練を紹介して頂きました。真面目にしっかりと学びたいと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。
職業訓練は習い事ではありません。「好き」「学びたい」だけでは就職意欲が伝わりません。
実際にこのような志望理由を書いている方は少なくないのです。
悪い志望動機の共通点:
- 1〜2行で終わる短い内容(熱意が感じられない)
- 他人任せの理由(主体性がない)
- 「興味」「好き」だけで就職との結びつきがない
- ネガティブな表現(不安、わからない、など)
- 具体性がなく抽象的
志望動機の良い例(合格しやすい書き方)
良い例1:簿記・事務職を目指す場合
私は経理職を目指しています。ですが経験も資格もないため、未だ就職には繋がっておりません。簿記の資格を取るために独学で勉強もしているのですが、やはり1人では難しいと感じています。本コースの内容は、ただ資格を取るだけでなく実務に対しても十分に時間をかけた内容になっており、実際に仕事に就いてからもとても役に立つのではと感じています。まずは次の11月の試験で簿記の資格を取り、なるべく早く就職して活躍できる人材になれるよう頑張っていきたいと思います。
明確な目標職種、独学の経験、訓練の必要性、具体的な試験時期、就職意欲がすべて含まれています。
良い例2:パソコン・事務職を目指す場合
私は今までパソコンを使った仕事をしてこなかったのですが、求職活動を行う度にパソコンの必要性を感じてきました。面接の際に「パソコンができないとこの仕事は難しい」と言われ、何度も悔しい思いをしてきました。家にはパソコンがなく金銭的にも余裕がないため自分で勉強するのも難しい状況です。貴校では基礎から学べることを知り、今度こそはという思いでパソコンを学び、就職に繋げていきたいと思っています。
具体的な経験、訓練が必要な理由、就職意欲が明確に伝わります。
良い例3:Web・IT関連を目指す場合
前職では営業職として働いておりましたが、将来性を考えWeb制作のスキルを身につけたいと考えています。独学でHTMLの基礎は学びましたが、実務レベルには程遠く、体系的に学ぶ必要性を感じました。貴校のカリキュラムではデザインから制作、実践的な課題制作まで含まれており、即戦力として活躍できるスキルが身につくと確信しています。訓練修了後は速やかにWeb制作会社への就職を目指します。
前職との関連、独学の限界、訓練の具体的な魅力、就職意欲が明確です。
良い例4:介護・福祉関連を目指す場合
高齢化が進む中、介護職の需要は今後も高まると考えこの分野での就職を希望しています。全くの未経験のため、資格取得と実践的な技術習得が必要です。貴校では介護職員初任者研修の取得に加え、現場実習もカリキュラムに含まれているため、即戦力として働けると考えました。訓練修了後は介護施設への就職を目指し、地域に貢献できる人材になりたいと思います。
業界の将来性、未経験からの決意、訓練内容の理解、就職先の明確化が伝わります。
良い志望動機の共通点
- 目標職種が明確
- 訓練が必要な理由が具体的
- 「なるべく早く就職したい」という意欲が伝わる
- 訓練内容と就職の結びつきが明確
- 200〜300文字程度の適切な分量
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志望動機以外の記入項目の書き方
志望理由以外にも大事な項目があります。
就職活動状況の書き方
就職活動状況は、今現在どのような就職活動をしているかを記入する項目です。どのくらい熱心に就職活動を行っているかを見られます。
まだ在職中の方や、就職活動を始めたばかりの方は、そのままの内容を書けば問題ありません。既に応募している方や面接を受けている方は、その事実を書きましょう。
まだ何も就職活動をしていない場合は、インターネットや求人誌で仕事を探していることや、資格取得の勉強をしている旨を記入しましょう。「何もしていない」では就職意欲を疑われてしまいます。
就職活動状況の記入例:
- 「ハローワークで週2回求人検索、3社応募済み」
- 「求人サイトで事務職を中心に求人検索中」
- 「簿記3級の勉強をしながら求人情報を収集中」
- 「面接2社実施、結果待ち。引き続き応募中」
希望就職時期、希望職種、雇用形態
いつ頃、再就職を希望しているかを書く箇所です。訓練終了後すぐに就職を希望していれば「訓練終了後すぐ」と書けばよいですし、「なるべく早期に就職希望」としても構いません。
職業訓練校は「訓練終了後3か月以内での就職」を目標として掲げ指導しています。訓練終了後3か月の就職率で国や都道府県から評価されることが一般的だからです。
希望職種は、希望するコースに合った職種を記入します。雇用形態は「正社員」「フルタイム」「パート」等を記入します。「関連する仕事に就ければこだわりません」という書き方もあります。
学歴、職歴、資格の書き方
職歴は直近5年程度の業務経験を中心に、資格欄は応募コースと関連性の高い資格を優先して記入します。
資格欄はすべて書く必要はありません。古いものや希望コースに関係ないものは省略しても構いません。
※学歴や職歴、資格等の個人情報を、職業訓練校が独自に裏付け調査を行うことはまずありません(ただし虚偽の記載は絶対にNGです)。
申込書で印象を良くする2つのポイント
志望動機の内容はもちろん大事ですが、それ以外にも心がけるべきことがあります。「丁寧に書くこと」と「清潔感のある写真を使うこと」です。
この2つができていれば、第一印象で良い評価を得やすくなります。履歴書もそうですが、申込書を見たときに最初に目がいくのが写真です。
写真は清潔感のあるものを
写真は、通常の履歴書と同様に清潔感のあるスーツ姿が一般的です(必須ではありません)。
そこで「感じの良さそうな人」なのか「気難しい人」なのか、さまざまな印象を受け取ります。ここで印象が良ければ、その先の内容も好印象のまま読まれていきます。
これは心理学でいう「ハロー効果」と呼ばれる現象です。最初に受けた印象(清潔感・表情など)が良いと、その後の文章内容まで前向きに評価されやすくなります。
「シワが入った写真」や「汚れている写真」、「曲がっている写真」は論外です。できるだけ印象の良い写真を使いましょう。
【写真のチェックポイント】
- 3か月以内に撮影したものか
- 清潔感のあるスーツ姿(または襟付きシャツ)か
- 明るく自然な表情か
- シワや汚れがないか
- まっすぐに貼れているか
丁寧に書くこと
文字を丁寧に書くことも大事です。字が上手でなくても構いません。文章は横にまっすぐ書く、文字の大きさは統一する。これだけで印象が変わります。
字の上手い・下手は「技術」ですが、丁寧か・雑かは、読み手に「人柄」や「姿勢」として伝わりやすい部分です。選考官が見ているのは技術そのものではなく、一文字ずつ心を込めて書こうとした「誠実さ」です。たとえ不格好でも丁寧に書かれた文字からは「真面目に受講してくれそうだ」という印象や熱意が伝わってきます。
修正液や二重線もなるべく使わないほうが良いでしょう。しっかりと下書きをした上で清書してください。
【丁寧に書くためのポイント】
- 文章は横にまっすぐ書く
- 文字の大きさを統一する
- 修正液・二重線は避ける
- 下書きをしてから清書する
- 黒のボールペンで書く
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まとめ
職業訓練の志望動機で合格に近づくためのポイントは3つです。
- 就職意欲を明確に示す(「なるべく早く就職したい」)
- 訓練の必要性を具体的に説明する(なぜ独学ではダメなのか)
- 目標職種と訓練内容の結びつきを明確にする
申込書全体では、丁寧に書くこと、清潔感のある写真を使うこと、就職活動状況を具体的に書くことも大切です。記入欄の8〜9割を埋めるのが理想的です。
職業訓練コースによっては、対象年齢層や応募者層に特徴があり、いくら丁寧に書いても合格しづらい場合もあります。合否は申込書の出来だけで決まるものではありません。
職業訓練の応募者は、一時期のような高倍率(3〜5倍など)は落ち着きつつありますが、人気コースは依然として倍率が高い場合もあります。応募状況は運の要素もありますが、自分ができることはしっかりやる。あとは結果を待つのみです。
この記事のポイントを押さえて申込書を作成すれば、合格の可能性は確実に高まります。
よくある質問(FAQ)
Q. 職業訓練の志望動機は何文字くらい書けばいいですか?
申込書の記入欄は200〜300文字程度が一般的です。短すぎると熱意が伝わらず、長すぎると要点がわかりにくくなります。記入欄の8〜9割を埋めるのが理想的です。
Q. 志望動機で絶対に書くべきことは何ですか?
最も重要なのは「就職意欲」です。「なるべく早く就職したい」という文言を必ず入れましょう。また、なぜ職業訓練が必要なのか、訓練で何を学びたいのか、希望職種は何かを明確に書くことが大切です。
Q. 未経験の職種でも志望動機は書けますか?
はい、問題ありません。むしろ「未経験だからこそ職業訓練で基礎から学びたい」という理由は説得力があります。なぜその職種を目指すのか、訓練後どう活かすのかを具体的に書きましょう。
Q. 知恵袋で見つけた例文をそのまま使ってもいいですか?
おすすめしません。他人の例文をそのまま使うと、自分の状況と合わず不自然になります。同じ例文を使う人が複数いると選考で不利になる可能性もあります。例文は参考程度にして、必ず自分の言葉で書きましょう。
Q. 申込書の写真はスーツでないとダメですか?
必須ではありませんが、清潔感のあるスーツ姿が一般的で印象が良いです。私服の場合も、襟付きシャツなど清潔感のある服装を選びましょう。3か月以内に撮影した、シワや汚れのない写真を使用してください。
Q. 職歴が多い場合、全て書く必要がありますか?
直近5年程度の職歴を中心に記入すれば十分です。応募コースと関連性の高い職歴を優先的に書きましょう。古い職歴や短期アルバイトは省略しても問題ありません。
Q. 就職活動をまだ始めていない場合、どう書けばいいですか?
「何もしていない」とは書かないでください。「求人サイトで情報収集中」「ハローワークで相談予定」「資格取得の勉強中」など、前向きな姿勢を示す表現を使いましょう。実際にこれから始める予定であれば問題ありません。
