職業訓練(ハロートレーニング)を受けるべきか迷っていませんか?
無料で学べて、失業給付も受けられる。資格も取れるかもしれない。一見するとメリットばかりに見える職業訓練ですが、「本当に就職に有利になるのか」「時間の無駄にならないか」という不安を感じている方も多いでしょう。
実際、職業訓練には明確なメリットがある一方で、見落としがちなデメリットやリスクも存在します。特に年齢や職歴によっては、訓練を受けることがかえって遠回りになってしまうケースもあるのです。
この記事では、職業訓練のメリット・デメリットを正直にお伝えした上で、「どういう人に向いているのか」「どういう人は別の選択肢を考えるべきか」という判断基準を具体的に解説します。
後悔しない選択をするために、ぜひ最後まで読んでみてください。
■目次
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職業訓練(ハロートレーニング)の5つのメリット
まずは職業訓練を受けることで得られるメリットを確認していきましょう。
メリット1:無料で専門スキルを学べる
職業訓練の最大のメリットは、受講料が無料という点です。
通常、民間のスクールでWebデザインやプログラミング、簿記などを学ぼうとすると、数十万円の受講料がかかります。しかし公共職業訓練であれば、テキスト代や材料費(数千円〜1万円程度)を除き、基本的に費用負担なしで専門知識を習得できます。
独学では挫折しやすい分野でも、講師から直接教わることで理解が深まり、わからない部分をその場で質問できる環境が整っています。
メリット2:失業給付を受けながら通える(条件あり)
雇用保険の受給資格がある方が公共職業訓練を受講する場合、ハローワークから受講指示(受講あっせん等)が出たときに限り、訓練期間中は失業給付が延長される仕組みがあります。
通常、失業給付には給付日数の上限がありますが、訓練を受けている間はその日数を超えても給付が継続されます(訓練延長給付)。さらに、訓練校への交通費(通所手当)も支給されるため、金銭的な不安を抱えずに学習に集中できる環境が整います。
ただし、これらを受けるには訓練開始時点で失業給付の支給残日数が一定程度残っていることが目安になるなど条件があります。細かな扱いは個別事情で変わるため、ハローワークで「自分のケースで受講指示が出るか」「延長給付の対象になるか」を必ず確認してください。
一方、雇用保険の受給資格がない方の場合は「求職者支援訓練」という別の制度を利用することになり、条件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円+通所手当)が支給されます。
なお、「職業訓練受講給付金のデメリット」を気にする人も多いですが、この給付金は無条件でもらえるものではなく、世帯収入・資産などの要件に加え、訓練の出欠や求職活動の報告など、継続して条件を満たす必要があります。申し込み前に「自分が条件を満たせるか」を先に確認しておくと安心です。
メリット3:資格取得のサポートがある
職業訓練では、訓練内容に関連する資格試験の対策が組み込まれているコースも多くあります。
訓練を修了するだけで取得できる資格は限られていますが、訓練で学んだ内容を活かして、日商簿記やMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)、CAD利用技術者試験などの資格試験に挑戦することが可能です。
講師からのアドバイスや、同じ目標を持つ訓練生との情報交換も、資格取得の大きな後押しになるでしょう。
メリット4:就職活動の「準備期間」として活用できる
就職活動が長期化すると、モチベーションの低下や焦りから、冷静な判断ができなくなることがあります。
職業訓練は、一旦就職活動から距離を置き、スキルアップに集中する期間として活用できます。新しい知識を学ぶことで自信を取り戻し、「この分野なら就職できそうだ」という方向性が見えてくることもあるでしょう。
また、訓練校には就職支援の担当者がおり、履歴書の書き方や面接対策のサポートも受けられます。
メリット5:多様な人脈が作れる
職業訓練の受講生は、20代から50代以上まで年齢も職歴も様々です。
会社組織のような上下関係や利害関係がないため、フラットな関係で情報交換ができ、同じ目標に向かう仲間として励まし合うこともできます。中には、訓練終了後も交流が続き、仕事の紹介につながったり、生涯の友人になるケースもあります。
見落としがちな4つのデメリット(リスク)
職業訓練にはメリットがある一方で、事前に知っておくべきデメリットやリスクも存在します。
デメリット1:職業訓練は「実務経験」ではない
職業訓練で学んだ内容は、あくまで「知識」や「基礎スキル」であり、企業が求める実務経験とは別物です。
多くの企業、特に中小企業は即戦力を求めています。新人教育にコストをかける余裕がないため、「経験者優遇」「実務経験◯年以上」といった求人が大半を占めます。
職業訓練を修了したからといって、未経験者が経験者と同等に扱われるわけではありません。訓練修了後も「未経験者」として扱われることを理解しておく必要があります。
デメリット2:訓練期間が就職活動での「ブランク」になるケース
職業訓練に通っている期間は、履歴書に「受講歴」として書ける一方で、企業からは「就業していない期間」として見られる可能性があります。
例えば、建築CADの訓練を6ヶ月間受講したものの、修了後に関連職種への就職が決まらず、結局別の職種を探すことになった場合、その6ヶ月間は「希望職種に直結しなかった期間」と受け取られることがあります。
さらに就職活動に3ヶ月かかれば、退職から合計9ヶ月の期間が空くことになり、書類選考で不利になるリスクが高まります。
訓練に通う場合は、「訓練内容と希望職種が一致しているか」を事前に慎重に確認することが重要です。
デメリット3:年齢・職歴による就職難易度の違い
職業訓練修了後の就職率は、年齢や職歴によって大きく異なります。
20代であれば「未経験OK」「ポテンシャル採用」の求人が多く、訓練での学習をアピール材料にしやすいでしょう。しかし30代後半以降になると、企業は即戦力や管理職経験を求める傾向が強くなり、職業訓練を受けただけでは採用のハードルを越えられないケースが増えます。
特に40代・50代の方は、訓練を受けるよりも、これまでの職歴やスキルを活かせる仕事を探す方が現実的な場合も多いのです。
デメリット4:訓練内容と希望職種のミスマッチリスク
「せっかく時間があるから何か学びたい」という動機で職業訓練を選ぶと、訓練内容が実際の仕事とかけ離れていたり、想像していた内容と違ったりするケースがあります。
訓練開始後に「思っていたのと違った」と気づいても、途中で辞めると失業給付が打ち切られるリスクがあるため、我慢して通い続けることになります。結果として時間だけが過ぎ、就職にもつながらないという最悪のパターンに陥る可能性があります。
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職業訓練に向いている人・向いていない人の判断基準
ここまでのメリット・デメリットを踏まえて、職業訓練に向いている人と向いていない人の特徴を整理します。
職業訓練に向いている人の3つの条件
以下の条件に当てはまる方は、職業訓練を活用することで就職成功の可能性が高まります。
例:「Webデザインの訓練を受けて、Web制作会社に就職したい」という具体的な目標がある
2. 20代、または30代前半で未経験分野に挑戦したい
若い世代は「未経験OK」の求人が多く、訓練での学習が評価されやすい
3. 失業給付の受給資格があり、金銭的な不安なく学習に集中できる
訓練延長給付を受けながら、じっくりスキルを身につけられる環境が整っている
職業訓練に向いていない人の特徴
以下に当てはまる方は、職業訓練よりも別の選択肢を検討した方がよいかもしれません。
→ 訓練後の就職につながらず、時間だけが過ぎるリスクが高い
2. 40代以降で、訓練内容が未経験の分野
→ 企業は即戦力を求めるため、訓練修了だけでは採用されにくい
3. すでに希望職種が決まっていて、実務経験がある
→ 訓練に通うより、すぐに就職活動を始めた方が早く再就職できる可能性が高い
年代別の判断ポイント
20代:未経験分野への挑戦として職業訓練は有効。訓練後の就職サポートもフル活用しましょう。
30代前半:訓練内容と希望職種が一致していれば検討の価値あり。ただし訓練期間中も求人情報はチェックし続けること。
30代後半〜40代:これまでの職歴を活かせる仕事を優先的に探し、訓練はあくまで補助的な選択肢として考える。
50代以降:職業訓練よりも、シルバー人材センターや再雇用制度など、年齢を問わない働き方を検討した方が現実的なケースが多い。
失業給付との関係で知っておくべきこと
職業訓練を検討する際、失業給付(雇用保険の基本手当)との関係を正しく理解しておくことが重要です。
公共職業訓練と失業給付の延長
雇用保険の受給資格がある方が公共職業訓練を受講すると、受講指示(受講あっせん等)が出た場合に限り、訓練期間中は失業給付が延長されます。
通常、失業給付には給付日数の上限(90日、120日、150日など、離職理由や年齢により異なる)がありますが、訓練を受けている間はこの日数を超えても給付が継続されます。これを「訓練延長給付」と言います。
さらに、訓練校への交通費として「通所手当」も支給されるため、経済的な負担を軽減しながら学習に専念できます。
求職者支援訓練との違い
雇用保険の受給資格がない方(受給期間が終了した方、雇用保険に加入していなかった方など)は、「求職者支援訓練」を利用することになります。
求職者支援訓練でも受講料は無料ですが、失業給付の代わりに「職業訓練受講給付金」(月額10万円+通所手当)が支給されます。ただし、この給付金を受け取るには一定の条件(世帯収入や資産要件など)を満たす必要があります。
また、給付金を受ける場合は、訓練に通うだけでなく、出欠の管理や求職活動の報告など、継続的に条件を満たす必要があります。「もらえると思っていたのに条件を満たせなかった」というミスを防ぐため、事前にハローワークで確認しておきましょう。
注意すべきタイミング
職業訓練の受講を検討する際は、失業給付の残日数を確認しておきましょう。
訓練開始時点で失業給付の残日数が少ない場合、訓練延長給付を最大限活用できない、あるいは受講指示が出ない可能性があります。ハローワークの窓口で、自分のケースではどのタイミングで訓練を受けるのがベストか、相談することをおすすめします。
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まとめ:後悔しないための3つのチェックポイント
職業訓練を受けるべきかどうかは、あなたの年齢、職歴、希望職種、そして経済状況によって変わります。
最後に、後悔しない選択をするための3つのチェックポイントをお伝えします。
訓練修了後、その分野で実際に就職できそうか、求人情報を事前にリサーチしましょう。
チェック2:自分の年齢・職歴で、訓練後に採用される可能性はあるか?
訓練校の就職率データや、同年代の修了生の就職先を確認することが重要です。
チェック3:訓練に通う以外の選択肢も検討したか?
すぐに就職活動を始める、派遣や契約社員として経験を積む、オンライン学習で独学するなど、他の選択肢と比較した上で判断しましょう。
職業訓練は、正しく活用すれば大きなメリットがあります。しかし、目的があいまいなまま通ってしまうと、時間とチャンスを失うリスクもあります。
この記事が、あなたにとって最善の選択をするための一助となれば幸いです。
よくある質問
Q1. 職業訓練を受ければ必ず就職できますか?
A. いいえ、職業訓練を受けただけでは就職が保証されるわけではありません。訓練はあくまで「知識やスキルを学ぶ場」であり、企業が求める実務経験とは異なります。訓練修了後も、自分で積極的に就職活動を行う必要があります。訓練校の就職支援も活用しながら、計画的に動くことが重要です。
Q2. 40代でも職業訓練を受けるメリットはありますか?
A. 40代の場合、未経験分野の訓練を受けても就職につながりにくいのが現実です。企業は即戦力や管理職経験を求める傾向が強いためです。ただし、これまでの職歴に関連するスキルアップ(例:事務経験者がExcelの上級スキルを学ぶ)であれば、訓練が有効なケースもあります。年齢を考慮した上で、訓練内容を慎重に選びましょう。
Q3. 職業訓練に通っている期間は、履歴書でどう書けばよいですか?
A. 履歴書の「学歴・職歴」欄には「◯◯年◯月〜◯◯年◯月 職業訓練(◯◯コース)受講」のように記載します。訓練内容が希望職種に関連している場合は、面接でアピール材料になります。ただし、訓練後に関連職種に就かなかった場合、その期間がブランクとして見られるリスクがあることも理解しておきましょう。
Q4. 失業給付を受けながら職業訓練に通うための条件は?
A. 公共職業訓練を受講する場合、雇用保険の受給資格があれば、訓練期間中は失業給付が延長されます(訓練延長給付)。ただし、受講するには、ハローワークでの職業相談を経て、訓練が就職に必要と認められる(受講指示が出る)必要があります。雇用保険の受給資格がない方は、「求職者支援訓練」で職業訓練受講給付金(月10万円+通所手当)を受け取れる場合があります。
Q5. 訓練を途中で辞めたら失業給付はどうなりますか?
A. 正当な理由なく訓練を途中で辞めた場合、訓練延長給付は打ち切られ、残りの期間は通常の失業給付に戻るか、給付自体が制限される場合があります。病気や家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合は、すぐにハローワークに相談しましょう。正当な理由と認められれば、給付上の不利益を避けられるケースもあります。
Q6. 職業訓練校の選び方のポイントは?
A. まず、訓練内容が希望職種に直結しているかを確認しましょう。次に、訓練校の就職実績(就職率や就職先企業)をハローワークで確認することが重要です。また、訓練期間(3ヶ月、6ヶ月など)が自分の経済状況や就職活動のスケジュールに合っているかも検討しましょう。可能であれば、訓練校の見学会や説明会に参加し、実際の雰囲気を確かめることをおすすめします。
Q7. 訓練修了後、すぐに就職しなくても問題ありませんか?
A. 訓練修了後も就職活動は継続する必要があります。訓練延長給付は訓練期間中(一部終了後も含む)のみで、修了後は通常の失業給付(残日数がある場合)に戻ります。訓練修了からブランク期間が長引くと、就職活動で不利になる可能性が高まるため、訓練中から求人情報をチェックし、修了後すぐに動ける準備をしておきましょう。