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インテリアコーディネーターの職業訓練は就職に役立つのか?【結論と現実】
「インテリアコーディネーターになりたいけど、職業訓練だけで就職できるの?」
この記事では、インテリアデザイン・インテリアコーディネーター系の職業訓練について、訓練内容、取得できる資格、そして最も重要な「就職の現実」までを解説します。
結論から言うと、インテリアコーディネーターの資格を取得しただけでは就職は困難です。しかし、CADスキルや実務経験を組み合わせることで、関連業界への就職の可能性は広がります。
なお、職業訓練は「就職の保証」ではありません。訓練で学んだことを、応募書類や面接でどうアピールするかまで含めて就職に近づくもの、と理解しておくと迷いにくいです。
インテリアデザイナー・インテリアコーディネーターの仕事内容
インテリアデザインとは、住宅、オフィス、ホテル、旅館などの室内装飾のデザインを行う仕事です。建築家と共同してホテルや劇場のロビーの環境設計を行うこともあります。
具体的な業務内容は以下の通りです。
空間や室内の環境をデザイン・設計するだけでなく、家具、カーテン、照明器具などのインテリア用品のデザイン・設計も担当します。
単に見た目の美しさを追求するだけでなく、人間が生活する空間として、高い機能性と心身のやすらぎを両立させる必要があります。そのため、人間工学、色彩学、建築基準法などの幅広い知識が求められます。
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職業訓練で学べる内容
インテリアデザイン・インテリアコーディネーター系の職業訓練では、インテリアに関する基礎知識とCADスキルを同時に習得できるコースが一般的です。
訓練期間は主に5ヶ月コースが多く、失業保険受給者向けの公共職業訓練と、受給できない方向けの求職者支援訓練の2種類があります。
また、コース名が似ていても内容や使用ソフトは地域・実施校で差が出ます。募集要項の「訓練内容(科目)」と「使用ソフト」を必ず確認してから申し込むと失敗が減ります。
訓練例1:インテリアコーディネーター・CAD養成科(5ヶ月コース)【公共職業訓練】
公共職業訓練は、主に失業保険を受給している方が対象の訓練です。
この訓練では、インテリア関連の知識とAutoCADを使用した建築図面の作図技法を学び、3次元CGによる室内空間の表現技法を身に付けます。
主な訓練内容:
- ビジネスマナーとコミュニケーションスキル
- インテリア関連の法規・規格・基準、人間工学、室内環境
- 内装工事材料の種類や特徴、色彩コーディネート
- 建築に関する基礎知識とCADによる図面作成
- プレゼンテーションの基礎
- 就職活動支援
| 科目 | 科目の内容 | 時間 | |
|---|---|---|---|
| 学科 | 入所式等 | 入所式、オリエンテーション、修了式 | |
| インテリア商品と販売基礎 | インテリアコーディネーターに関する知識、コンサルティング手法、マーケティング、建築構造の知識、インテリア商材についての知識、仕事の流れ等 | 42 | |
| インテリア計画と技術基礎知識 | インテリアの歴史、人間工学、福祉住環境、色彩、リフォームに関する知識、インテリア設計・平面計画、インテリアエレメント、室内環境、住宅設備、内装材、建材、造作、室内装飾、インテリアオーナメント、エクステリア、インテリアの構造・構法に関する知識、インテリア・環境工学、インテリア住宅設備、インテリア関係の法規・規格・制度、インテリアコーディネーターの表現等 | 192 | |
| コンピューター基礎概論 | システムの取り扱い、ファイル管理の基礎知識、システム・ファイル形成、圧縮ファイル、Jw_CADでの安全対策、VDT作業における安全衛生管理、個人情報保護法 | 9 | |
| 社会人基礎力 | 自己分析、仕事理解、職業人講話、職場見学、コミュニケーション、ビジネスマナー、キャリア形成の必要性、仕事に対する基本姿勢、ストレスマネジメント等 | 54 | |
| 就職支援 | 就職活動の基礎、履歴書・職務経歴書の作成、キャリア・コンサルティング、面接対策 | 51 | |
| 実習 | CAD製図演習 | 2次元CAD基本作図コマンド、編集コマンド、レイヤ、平面図、敷地図と面積図、設備図、演習問題、3次元CAD基本操作、間取りプラン作成、パーツ作成 | 102 |
| プレゼンテーション実習 | 各種図面の作成方法(平面図・展開図・パース)、プランニング、プレゼンテーション、プレゼンボード作成等 | 51 | |
| インテリアコーディネーター基礎実習 | 演習問題、模擬試験、試験対策等 | 42 | |
| オフィスソフト実習 | Windowsの基礎知識、Word・Excel・PowerPointの基本操作、ビジネスに活用できる文書作成、帳票作成等 | 72 | |
| 訓練時間総合計615時間(学科:348時間 実技:267時間) | |||
訓練例2:インテリアデザイン科(5ヶ月コース)【求職者支援訓練】
求職者支援訓練は、主に失業保険を受給できない方が対象の訓練です。
インテリアデザインや製図に関する知識と技術、及びAutoCADを使用した建築図面の作図技法を学び、3次元CGによる室内空間の表現技法を身に付け、インテリアデザインの技術者としてのスキルを習得します。
| 科目 | 科目の内容 |
|---|---|
| 社会 | 入所式・オリエンテーション・修了式 |
| 職業能力基礎講習 | 自己理解、職業意識、表現スキル、人間関係等 |
| 安全衛生 | VDT作業における安全衛生管理 |
| CAD基礎知識 | CADの概念、システム、パソコン基礎、ファイル形式等 |
| CADの基礎 | 画面構成、図形、操作概念 |
| インテリア知識 | 色彩学、照明学、建築材料、建築構造等 |
| インテリア法規 | 住環境衛生、建築物の形態に関する建築基準法 |
| CAD操作実習 | 家具図面、躯体図面の作図、ブロック機能活用演習 |
| 建築図面作図実習 | 図面の構成、作図規定に則した、建築図面の作図 |
| CAD実践操作 | 画層管理と印刷設定、ブロック機能等 |
| 建築図面作図基礎 | 基本的な建築図面の構成や作図の規則 |
| 木造建築図面実習 | 木造の詳細な建築図面、建築基準法に基づく構造種別・材料選定・設計仕様の作成 |
| インテリアパース実習 | スケッチパース技法による建築空間の表現演習 |
| 3D基礎実習 | 立体物のモデリング・ライティング・レンダリング演習 |
| 3D実践実習 | 3dsMax、Vectorworksによるカメラシーン設定・アニメーション・内部空間の作成演習 |
| インテリア空間設計 | 内部空間を設計し、建築図面の作図及び、建築基準法に基づく設計演習 |
| 作品集制作 | PhotoShopやIllustratorによるプレゼンボードやヴィジュアル画像の作成 |
| プレゼンテーション実習 | 設計した内部空間のプレゼンテーション演習 |
職業訓練で取得可能な資格
インテリアデザイン・インテリアコーディネーター系の職業訓練では、以下の資格取得を目指すことができます。ただし、すべて任意受験のため、訓練を修了しただけでは資格は取得できません。
インテリアコーディネーター・CAD養成科の場合
- 建築CAD検定試験3級・2級
- インテリアコーディネーター
- 福祉住環境コーディネーター3級
- コンピュータサービス技能評価試験 ワープロ部門3級
- コンピュータサービス技能評価試験 表計算部門3級
インテリアデザイン科の場合
- インテリアコーディネーター
- CAD利用技術者試験2D2級

インテリアコーディネーター試験の難易度
インテリアコーディネーター試験は、二次試験(論文・プレゼンテーション)まである比較的難易度の高い資格試験です。
インテリアコーディネーター試験 二次試験合格率(直近5年)
2019年度(第37回): 受験者数7,561人 / 二次合格者1,896人 / 合格率25.1%
2020年度(第38回): 受験者数8,468人 / 二次合格者2,045人 / 合格率24.1%
2021年度(第39回): 受験者数9,935人 / 二次合格者2,334人 / 合格率23.5%
2022年度(第40回): 受験者数8,943人 / 二次合格者2,193人 / 合格率24.5%
2023年度(第41回): 受験者数8,156人 / 二次合格者2,034人 / 合格率24.9%
出典:インテリア産業協会
合格者の性別割合は、例年女性が約8割と女性比率が高い傾向にあります。また、年齢層は20代から30代の若い世代が中心ですが、40代以上の合格者も一定数おり、幅広い年代が挑戦している資格です。
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主な就職先と職種
インテリアデザイン・インテリアコーディネーター系の職業訓練修了後、主に以下の業種・職種への就職を目指すことになります。
主な就職先の業種:
- インテリア業界
- デザイン事務所
- 設計事務所
- ハウスメーカー
- 家具メーカー
- リフォーム会社
- 住宅販売会社
主な職種:
- インテリアコーディネーター
- CADオペレーター
- 販売・接客スタッフ
- 営業職
インテリアコーディネーター職業訓練の就職の現実
ここまで訓練内容や取得可能な資格を説明してきましたが、最も重要なのは「実際に就職できるのか?」という点です。
資格取得だけでは就職は困難
インテリアコーディネーターの資格を取得しただけでは就職は困難です。これは業界の構造的な問題が背景にあります。
他の職種に比べて求人数が少ないことが最大の問題です。インテリアコーディネーターの専門職としての求人は限られており、多くの場合、他の業務と兼務する形での採用になります。
実際の仕事内容は幅広い業務が求められる
住宅販売会社での仕事であれば、お客様とクロスや設備等の仕様を決める打ち合わせを行うだけでなく、営業的な要素も含まれます。
リフォーム会社では、インテリアコーディネートに加えて営業活動も行う必要があります。
家具やカーテンの販売会社であれば、主に来店したお客様への接客対応が中心になります。
つまり、純粋な「インテリアコーディネーター」としてだけでなく、販売・営業・接客などの複合的なスキルが求められるのが実態です。
CADスキルがあれば選択肢は広がる
職業訓練ではインテリアと同時にCADも学ぶコースが多いため、CADオペレーターとしての就職の道も開けます。
インテリアコーディネーターの専門職にこだわりすぎると求人が見つからずに迷いやすいです。現実的には、まずCADオペレーターや設計補助として入り、業界経験を積みながらインテリア業務に広げていくルートも検討すると判断がしやすくなります。
建築士の資格やCADを高いレベルでマスターすれば、さらに仕事の幅が広がります。現場での施工ができれば、仕事の選択肢はより増えるでしょう。
社会人からの転職は可能か?
社会人からインテリアコーディネーターを目指す場合、以下の点を理解しておく必要があります。
まず、いろいろな現場をこなしてコーディネート術を身に付けることが重要です。最初から理想的な仕事につけるとは限りません。
実務経験を積むことで、頭の中に良質な知識と多くの引き出しを蓄積していく必要があります。奇抜なインテリアよりも、見た目の清潔感、居心地の良さ、使い勝手など、さまざまな観点から提案していく能力が求められます。
また、未経験からの転職では「最初の1社目」の選択が重要です。インテリア専任にこだわるより、関連業界(リフォーム、住宅販売、設計補助など)で経験を積める環境かどうかを優先すると、遠回りになりにくいです。
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インテリアコーディネーターに向いている人
インテリアコーディネーターとは、お客様からの要望を聞き出し、具体的な室内の内装や家具等の提案をする仕事です。そのため、ヒアリング力や提案力、建築材・商品などの様々な知識が必要になります。
日頃から「ここの使い勝手が悪い」「こうすれば使いやすくなりそうだ」「これがあれば便利だ」「ここの高さはもう少し低い方が良い」など、生活空間に対する細かい気づきがあるようでしたら、この仕事に向いているかもしれません。
また、お客様との長期的な関係構築が必要になるため、コミュニケーション能力も重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 未経験からでもインテリアコーディネーターになれますか?
A. 職業訓練で基礎知識とCADスキルを習得し、資格を取得することは可能です。ただし、実際の就職では実務経験や販売・営業スキルも求められます。まずは関連業界で経験を積むことをおすすめします。
Q2. インテリアコーディネーターの資格は必須ですか?
A. 必須ではありませんが、持っていると専門知識の証明になります。ただし、資格だけでは就職は困難で、CADスキルや実務経験との組み合わせが重要です。
Q3. 職業訓練の期間はどのくらいですか?
A. 一般的に3ヶ月~6ヶ月コースが多いです。失業保険を受給している方は公共職業訓練、受給していない方は求職者支援訓練を選ぶことになります。
Q4. CADスキルは必要ですか?
A. 必須ではありませんが、CADができると就職の選択肢が大きく広がります。インテリアコーディネーター専門職の求人は少ないため、CADオペレーターとしての就職も視野に入れることが現実的です。
Q5. 社会人から転職する場合、何歳まで可能ですか?
A. 年齢制限は法律上ありませんが、実務経験を積む必要があることを考えると、若い方が有利です。ただし、前職での営業経験やコミュニケーション能力が評価されるケースもあります。
Q6. インテリアコーディネーターの年収はどのくらいですか?
A. 勤務先や経験年数によって大きく異なりますが、未経験から始めた場合は一般的な事務職と同程度からスタートすることが多いです。実績を積むことで収入アップの可能性があります。
Q7. 男性でもインテリアコーディネーターになれますか?
A. もちろん可能です。ただし、資格取得者の約8割が女性という現状はあります。男性の場合、CADスキルや施工知識を強みにすることで活躍の場が広がります。
インテリアコーディネーターはAIに仕事を奪われるのか?
近年、ChatGPTやMidjourneyなどのAI技術が進化し、「インテリアコーディネーターの仕事はなくなるのではないか?」と不安に感じる方もいるでしょう。
結論から言うと、「単なる図面作成やパターン提案だけの仕事」はAIに代わられる可能性が高いです。しかし、コーディネーターという職業自体がなくなるわけではありません。仕事の「質」が変わるのです。
AIが得意なこと・苦手なこと
これからの時代、AIとどのように共存していくかを知っておく必要があります。
- AIが得意なこと(代替される業務):
- 膨大なカタログからの商品検索
- 過去のデータに基づいた配色の提案
- 3Dパースやイメージ画像の高速生成
- AIが苦手なこと(人間が生き残る領域):
- お客様の「言語化できない曖昧な要望」を汲み取るヒアリング
- 家族構成やライフスタイルの変化を見越した、感情に寄り添う提案
- 工事現場での職人さんとの擦り合わせやトラブル対応
- 「あなたにお願いしたい」という信頼関係の構築
「提案力」と「人間力」が武器になる
かつて、手書きの図面がCAD(パソコン設計)に変わったとき、「手書き職人の仕事がなくなる」と言われました。しかし実際は、CADを使うことで効率が上がり、よりクリエイティブな提案ができるようになりました。
AIもこれと同じです。
これからのインテリアコーディネーターには、AIが作った複数のプランから最適なものを選び出し、お客様の心に響く言葉で伝える「コンサルティング能力」が求められます。
職業訓練で学ぶ「基礎知識」や「建築の構造」は、AIが出した答えが正しいかどうかを判断するために不可欠な知識です。AIを恐れるのではなく、AIを道具として使いこなす側を目指しましょう。