ここではCADを中心に学ぶ職業訓練の紹介や、就職先情報、仕事内容等を紹介します。通信教育でも1、2位を争うくらい人気のコースです。
CADとは、Computer Aided Designの略です。設計士やデザイナーが描いた構造物や機械などの設計図を、専用のCADソフトを用いて正確な図面を仕上げるのがCADオペレーターの仕事です。
平面図を描く2次元CADの他に、立体的な図を作成する3次元CADがあります。CADは多種多様にあり、業界によって使われるCADも異なります。
住宅・構造・土木、工作機械、自動車、航空機、機械部品、電子部品、服飾デザイン等様々な用途があります。大きくは建築系か機械系に分かれ、モノづくりの業界では欠かすことができない仕事です。
■目次
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職業訓練でCADを学ぶのは意味ないのか
結論から言うと、職業訓練でCADを学ぶこと自体は意味がありますが、就職の難易度を理解した上で受講することが重要です。
職業訓練でCADを学ぶメリット
- 受講料無料でCADソフトの操作技術を習得できる
- 製図の基礎知識を体系的に学べる
- ポートフォリオ(作品集)を作成できる
- 資格取得のサポートを受けられる
- 就職支援を受けながら学習できる
なぜ「意味ない」と言われるのか
- CADオペレーターの求人は圧倒的に実務経験者が優遇される
- 未経験から正社員での就職は難しく、まずは派遣・契約社員からスタートすることが多い
- 訓練を受けただけではスキル不足で、実務レベルに達していないことがある
- 業界によって専門知識が必要で、訓練だけでは不十分
訓練を最大限活かすポイント
- 訓練期間中にできるだけ多くの図面を作成する
- AutoCADやJWCADを自宅でも練習する(無料ソフトや体験版がある)
- 資格(CAD利用技術者試験2級など)を取得する
- 派遣・契約社員からのスタートも視野に入れる
- 建築系か機械系か、自分の進みたい分野を明確にする
訓練を受けるだけでは不十分ですが、訓練をスタート地点として自主学習と実務経験を積み重ねることで、CADオペレーターとして活躍できます。
建築CAD
訓練内容
製図やCADに関する知識を学習し、製図作成技能及びCAD操作技能について2次元CAD、3次元CADを用いて習得することで、建築CADオペレーターとして製図作成等の作業ができるようになります。
例1. 建築CADオペレーター科の訓練内容(4ヶ月コース)
| 科目 | 科目の内容 | 時間 | |
|---|---|---|---|
| 学科 | パソコン基礎 | パソコンの仕組み、ハードウェアとソフトウェア、オペレーションシステムやアプリケーションソフトの概要 | 6 |
| ネットワーク知識 | ネットワークの種類や仕組み、インターネットの仕組みや接続方法 | 6 | |
| CAD基本知識 | CADの特徴、データ形式、著作権、CADシステムの知識 | 6 | |
| CAD作図知識 | 作図、編集等CADの作図機能 | 9 | |
| 図形知識 | 図形の基礎知識、立体形状の基本、図形の見方、表現方法 | 12 | |
| 製図知識 | 製図の基礎知識、表現方法 | 18 | |
| 安全衛生 | 安全衛生の必要性、VDT作業、5S、労働作業 | 3 | |
| 就職支援 | 職務経歴書・履歴書の作成指導、面接指導 | 18 | |
| 実技 | CAD基本実習① | AutoCAD基本コマンド(基本操作/応用操作/ファイル管理) | 72 |
| CAD作図実習 | 作図に必要な基本設定(文字スタイル/線の種類・色/寸法スタイル/印刷機能/図枠の作成) | 6 | |
| CAD一般図面実習 | 作図補助機能を利用した作図(複雑な図形/立体図/機械部品/平面図/立面図) | 66 | |
| CAD製図実習 | 建築製図(平面図/平面詳細図/立面図/断面図/展開図) | 96 | |
| CAD基本実習② | JWCAD基本コマンド(基本操作/基本設定/ファイル管理) | 48 | |
| CAD基本実習③ | AutoCAD 3D基本コマンド(基本操作/基本編集) | 48 | |
| 職業人講話 | 6 | ||
| 訓練総時間:420時間 | |||
主な取得可能資格
- 建築CAD検定試験(一般社団法人 全国建築CAD連盟)
- CAD利用技術者試験2級(一般社団法人コンピュータ教育振興協会)
※いずれも任意受験
主な就職先の業種、職種
建設会社・建築設計事務所・不動産会社などの企業、事務所でCADシステムを利用した設計補助業務及びCADオペレーター

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機械系CAD
訓練内容
現在、多くの工業製品はCADで設計し、そのCADデータや図面を元に工作機械で加工を行い製造されています。JIS規格に基づいた機械製図の読み方・描き方や製図に必要な加工の知識を学びます。そしてCADによる図面作成、モデルの作成の技能の習得を目指します。さらに3Dプリンタを用いた造形技術を学びます。
例1. CADオペレーション科の訓練内容(6ヶ月コース)
| 科目 | 科目の内容 | |
|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 設計製図基本作業 | ものづくりをする上で重要となる、JIS規格に基づく機械製図の読み方・描き方の各種技能と関連知識を習得します。 |
| 2ヶ月目 | CAD基本作業 | 2次元CADシステムを使用して、図面を作成する技術を習得します。※使用ソフトはAutoCADです。2次元CADの考え方をしっかり理解することで、他のCADソフトを使用する場合でもスムーズに対応することができます。 |
| 3ヶ月目 | 機械製図関連知識 | 機械設計概要や測定、機械工作法など機械製図関連の知識を習得します。 |
| 4ヶ月目 | 3次元CAD作業 | 3次元CADを使用して、部品の立体形状のモデリングや組立、2次元図面化を行う技術を習得します。※使用ソフトはSolidWorksです。3次元CADの考え方をしっかり理解することで、他の3次元CADソフトを使用する場合でもスムーズに対応することができます。 |
| 5ヶ月目 | 3次元CADデザイン作業 | 3次元CADによる自由曲面(サーフェスモデリング)に関する技能及び関連知識を習得します。※使用ソフトはSolidWorksです。「3次元CAD作業」の内容に加えサーフェスという機能を理解することで、複雑な曲面を持つモデルも作成することができます。 |
| 6ヶ月目 | プロダクトデザイン作業 | 3Dプリンタを使用した試作品の作成に関する技能及び関連知識を習得します。 |
主な取得可能資格
- 2次元CAD利用技術者試験(一般社団法人コンピュータ教育振興協会)
- 3次元CAD利用技術者試験(一般社団法人コンピュータ教育振興協会)
※いずれも任意受験
主な就職先の業種、職種
製造業、機械メーカー、自動車部品メーカー、電機メーカーなどの企業でCADシステムを利用した設計補助業務及びCADオペレーター
CADオペレーターに資格は必要か
結論から言うと、CADオペレーターになるために必須の資格はありません。実務では資格よりもスキルと実務経験が重視されます。
ただし、未経験者の場合は以下の資格があると有利です。
取得をオススメする資格
- CAD利用技術者試験2級(基本的なCAD知識とスキルの証明)
- 建築CAD検定3級・2級(建築系を目指す場合)
資格を取得するメリット
- 未経験でも最低限の知識とスキルを持っていることの証明になる
- 派遣会社への登録時にアピールポイントになる
- 書類選考で有利になる場合がある
資格よりも重要なこと
- 実際に作成した図面のポートフォリオ
- CADソフトの操作スピードと正確性
- 製図の基礎知識
- 業界の専門知識(建築用語、機械加工の知識など)
資格はあった方がアピールになりますが、必須ではありません。しかし、実務経験がない場合は取得していた方が無難です。
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CADオペレーターの働き方と給与
雇用形態
未経験からのキャリアパス
- 派遣・契約社員としてスタート(時給1,300〜1,800円程度)
- 実務経験を1〜3年積む
- 正社員として転職、または契約更新で正社員化
未経験から正社員での就職は厳しい場合が多く、まずは派遣や契約社員で経験を積み、その後正社員を目指す方が現実的です。
給与の目安
派遣・契約社員
- 未経験:時給1,300〜1,500円
- 経験1〜3年:時給1,500〜1,800円
- 経験3年以上:時給1,800〜2,200円
正社員
- 未経験〜3年:年収300〜380万円
- 経験3〜5年:年収350〜450万円
- 経験5年以上:年収400〜550万円
※地域や企業規模により異なります。2026年1月時点の目安です。
女性の働き方
CADオペレーターは女性に人気の職業です。特に以下の点で女性に適していると言われています。
- デスクワークで体力的な負担が少ない
- 派遣やパートでの求人が多く、ライフスタイルに合わせて働ける
- 在宅勤務・リモートワークが可能な企業も増えている
- 育児と両立しやすい(フルタイムでなくても働ける)
ただし、簡単なCAD作業は派遣やパートの求人が多い一方、設計に近い重要なポジションは男性が多いのが現状です。キャリアアップを目指すなら、単なるオペレーターから設計補助、さらには設計者へとステップアップする必要があります。
CADオペレーターのメリット・デメリット
メリット
- 自分のペースで仕事ができる(配分を考えて仕事のペース調整ができる)
- 残業が比較的少ない(もちろん納期前は忙しくなる可能性もあります)
- モノづくりの仕事でもあるため、図面を描くこと自体が楽しい
- パソコンに向かって黙々とする仕事のため、人に対するストレスは少ない
- デスクワークであるため、空調の効いた場所で作業できる。季節は関係ない
- 自らの作成した図面が現場で使われるため、責任感や、やりがいが感じられる
- 在宅勤務・リモートワークが可能な企業も増えている
デメリット
- 設計士やデザイナーより給料が安い
- 正社員求人が少ない(派遣等の非正規の求人が多い)
- 経験者を求めている求人が多く、未経験からの就職は難しい
- 自ら設計するわけではない。始めは単なる一オペレーターである
- 目・肩・腰に負担がかかる
- 業界によって専門知識を覚えなければならない
- 設計士や職人とのコミュニケーションが必要
- 景気に左右されやすい
- 突発的な急ぎの修正等の仕事が多い
- 海外の安いオペレーターに仕事を奪われることもある
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無料で使えるCADソフト
業界でよく使われるCADソフトとして、AutoCADとJWCADがあります。JWCADは無料で利用でき、AutoCADは体験版(無料トライアル)があります。訓練前や訓練中に自主学習することで、スキルアップにつながります。
まとめ
職業訓練でCADを学ぶことは、決して意味がないわけではありません。無料でCADソフトの操作技術と製図の基礎知識を習得でき、就職のスタート地点に立つことができます。
ただし、訓練を受けただけで簡単に就職できるわけではありません。求人の多くは実務経験者を優遇しており、未経験から正社員での就職は厳しいのが現実です。
職業訓練を最大限活かすためのポイント
- 訓練期間中にできるだけ多くの図面を作成する
- CAD利用技術者試験2級などの資格を取得する
- 無料ソフト(JWCAD)や体験版(AutoCAD)で自主学習する
- 派遣・契約社員からのスタートも視野に入れる
- 建築系か機械系か、自分の進みたい分野を明確にする
CADを勉強することで、CADソフトを操作する技術や、その他の基礎知識が身につくため、就職にはつながりやすい職業訓練です。ですが、簡単なCADの仕事は派遣やパートの求人が多い一方、重要なポジションのCAD設計については男性が多い職業です。
未経験からCADオペレーターを目指すなら、訓練をスタート地点として、実務経験を積み重ねながらスキルアップしていく覚悟が必要です。訓練だけで終わらせず、継続的な学習と実践が成功の鍵となります。
よくある質問
職業訓練でCADを学ぶのは意味ないのですか?
職業訓練でCADを学ぶこと自体は意味があります。無料でCADソフトの操作技術と製図の基礎知識を習得でき、就職のスタート地点に立つことができます。ただし、訓練を受けただけでは不十分で、求人の多くは実務経験者を優遇します。訓練期間中にできるだけ多くの図面を作成し、資格を取得し、派遣・契約社員からのスタートも視野に入れることで、CADオペレーターとして活躍できます。
CADオペレーターに資格は必要ですか?
CADオペレーターになるために必須の資格はありません。実務では資格よりもスキルと実務経験が重視されます。ただし、未経験者の場合はCAD利用技術者試験2級や建築CAD検定などの資格があると、最低限の知識とスキルを持っていることの証明になり、派遣会社への登録時や書類選考で有利になります。実務経験がない場合は取得していた方が無難です。
未経験からCADオペレーターになれますか?
未経験からCADオペレーターになることは可能ですが、正社員での就職は難しい場合が多いです。一般的なキャリアパスは、まず派遣・契約社員として時給1,300〜1,800円程度でスタートし、実務経験を1〜3年積んだ後、正社員として転職または正社員化する流れです。訓練を受けただけでは不十分で、ポートフォリオの充実、資格取得、自主学習が重要です。
CADオペレーターの給与はどのくらいですか?
CADオペレーターの給与は雇用形態と経験年数により異なります。派遣・契約社員の場合、未経験で時給1,300〜1,500円、経験1〜3年で時給1,500〜1,800円、経験3年以上で時給1,800〜2,200円が目安です。正社員の場合、未経験〜3年で年収300〜380万円、経験3〜5年で年収350〜450万円、経験5年以上で年収400〜550万円が目安です。地域や企業規模により異なります。
女性でもCADオペレーターになれますか?
CADオペレーターは女性に人気の職業です。デスクワークで体力的な負担が少なく、派遣やパートでの求人が多く、在宅勤務・リモートワークが可能な企業も増えているため、ライフスタイルに合わせて働けます。育児と両立しやすい点も魅力です。ただし、簡単なCAD作業は派遣やパートで女性の求人が多い一方、設計に近い重要なポジションは圧倒的に男性が多いのが現状です。
建築CADと機械CADの違いは何ですか?
建築CADは住宅・構造・土木関連の図面を作成し、建築設計事務所や建設会社などで働きます。主にAutoCADやJWCADを使用します。機械CADは工作機械、自動車、航空機、機械部品などの図面を作成し、製造業や機械メーカーなどで働きます。主にAutoCADやSolidWorksを使用し、3次元CADを扱うことが多いです。就職先や必要な専門知識が異なるため、自分の進みたい分野を明確にすることが重要です。
職業訓練でどのようなCADソフトを学べますか?
職業訓練では主にAutoCAD(2次元・3次元)、JWCAD(2次元、無料ソフト)、SolidWorks(3次元、機械系)を学ぶことができます。建築系の訓練ではAutoCADとJWCADを中心に学び、機械系の訓練ではAutoCADとSolidWorksを中心に学びます。これらのソフトは業界で広く使われているため、訓練で習得したスキルは実務でも活かせます。また、AutoCADには体験版があるため、訓練前や訓練中に自主学習することも可能です。