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デュアルシステムとは?職業訓練で企業実習を受けるメリット・デメリット

職業訓練について調べていると、ときどき目にする「デュアルシステム」という言葉。「デュアルコース」と呼ばれることもあります。

通常の訓練に「企業実習」がプラスされた制度で、コンセプトは「働きながら学ぶ、学びながら働く」。学校で座学を受けながら、実際の職場でも経験を積める。聞くだけなら、最高の仕組みに思えるかもしれません。

しかし、ネット上では「やめとけ」「意味がない」という声も見かけます。実際のところ、デュアルシステムは受ける価値があるのか、それとも期待外れなのか。

この記事では、公的機関のサイトには書かれていないデュアルシステムの「リアルな実態」と、向いている人・向いていない人の特徴を解説します。「自分に合っているかどうか」を判断する材料にしてください。

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デュアルシステムとは何か(基本の仕組み)

デュアルシステムは、もともとドイツの職業教育制度を参考にして、平成16年度(2004年)から本格的に始まった「日本版デュアルシステム」です。

最大の特徴は、「座学(訓練校での授業)」と「企業実習(実際の職場での体験)」がセットになっていること。

デュアルシステムの仕組み図

通常の職業訓練は、基本的にずっと訓練校の教室で授業を受けるスタイルです。介護系コースなどで短期間の施設見学がある場合を除けば、教室の外に出る機会はほとんどありません。

しかしデュアルシステムでは、訓練期間の後半などに実際の企業に出向いて実習を行います。教室で学んだ知識を、現場で体験しながら定着させる。これがデュアルシステムの基本的な仕組みです。

デュアルシステムの基本構造

  • 訓練前半:訓練校で座学(知識・スキルの習得)
  • 訓練後半:企業に出向いて実習(現場体験)
  • 期間:コースにより異なるが、3〜6ヶ月程度が一般的

年齢制限のないコースも増えている

もともとデュアルシステムは、社会人経験が少ない若者向けの制度として年齢制限(35歳未満など)が設けられていることが多くありました。

しかし、現在は幅広い求職者を対象としたコースが増えています。コースによっては年齢制限が撤廃されており、40代・50代の方が受講するケースも珍しくありません。

「若い人向けの制度だから自分には関係ない」と思っていた方も、選択肢のひとつとしてハローワークで探してみる価値があります。

「やめとけ」と言われる2つの理由

デュアルシステムには良い面がある一方で、「やめとけ」「意味がない」と言われることがあるのも事実です。その声の裏にあるのは、主に以下の2つの現実です。

理由1:実習でメインの仕事は任されない

企業実習に行ったからといって、その職場の第一線でバリバリ働けるわけではありません。これは冷静に考えれば当然のことですが、「即戦力としての実務経験が積める」と期待しすぎると、ギャップに苦しむことになります。

実際に任されるのは、あくまでサブ的な業務や比較的簡単な作業が中心です。

  • 電話対応
  • 簡単な書類作成
  • 書類整理やファイリング
  • データ入力
  • 来客対応の補助

「これでは実務経験を積めたとは言えない」とガッカリする人がいるのも無理はありません。

ただし、ここで大事なのは視点の切り替えです。未経験の業界にいきなり飛び込んで、職場のリアルな雰囲気を肌で感じ、先輩たちの働き方を間近で見られること。これ自体が、独学や座学だけでは絶対に得られない貴重な経験です。

たとえば簿記を学んでいるなら会計事務所の空気感を知ること、人事総務を学んでいるなら社労士事務所の日常を見ること。「この業界で本当に働きたいか」を判断する材料として、実習の価値は大きいのです。

理由2:企業実習中に給料は出ない

「働きながら学ぶ」というフレーズから、実習先で給料やアルバイト代がもらえると思う方もいるかもしれません。しかし、企業実習の期間中に、実習先の企業から報酬が支払われることはありません

実習中の収入イメージ

あくまで「訓練(授業)の一環」として企業に行くため、受講生と企業との間に雇用関係は発生しないのです。

ここで「タダ働きじゃないか」と感じるかどうかが、デュアルシステムに向いているかどうかの分かれ目になります。

実習中も失業保険は受給できます

企業実習中も訓練期間中であるため、雇用保険の受給資格がある方は所定の失業保険(基本手当)や受講手当が支給されます。

求職者支援訓練の場合は、条件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)の対象です。「企業から給料は出ないが、公的な支援は受けられる」という点は押さえておきましょう。

さらに、職業訓練を受講する大きなメリットとして、自己都合退職による給付制限の解除があります。

通常、自己都合退職の場合は失業保険を受け取るまでに給付制限期間(※2025年4月より原則1ヶ月などに短縮・条件あり)がありますが、公共職業訓練を開始した時点でこの制限は解除され、すぐに受給が始まります。

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デュアルシステムで募集されている主なコース

デュアルシステムは、都道府県や開催時期によって実施状況が大きく異なります。すべてのハローワークで常に募集があるわけではないため、希望の職種でコースが見つかったら、それだけで運が良いと言えるかもしれません。

参考までに、過去に募集されたことのあるコースの例を挙げます。

分野 コース名の例
事務・経理 経理実務総合科、企業会計事務科
IT・Web オフィスソフトITマスター科、Webサイトデザイン科、Webクリエータ実践科
パソコン パソコンエキスパート科、パソコン実務実践科
医療 医療事務科
介護 介護職員初任者研修科
その他 不動産ビジネス総合科、トラベルビジネス科

※東京都の場合は「東京都委託訓練活用型デュアルシステム」という名称で実施されています。名称は地域によって異なりますが、基本的な仕組みは共通しています。

職業訓練デュアルシステム

コースの募集は不定期で、数も多くはありません。最新の募集状況は、ハローワークの窓口やインターネットサービスでこまめに確認することが大切です。

デュアルシステムに向いている人・向いていない人

ここまで読んで、「結局、自分は受けるべきなのか」と迷っている方もいるでしょう。判断の参考になるよう、向き不向きを整理します。

【デュアルシステムに向いている人】

  • 未経験の業界で、まずは職場のリアルな雰囲気を知りたい
  • 「この仕事が本当に自分に合うか」を確かめてから就職したい
  • 座学だけでなく、現場での体験も含めて学びたい
  • 企業実習中に給料が出ないことを理解し、納得できる
  • 実習先でそのまま就職につながる可能性にも期待しつつ、保証されないことも受け入れられる

【デュアルシステムに向いていない人】

  • 「即戦力としてバリバリ実務経験を積みたい」と考えている
  • 実習先でそのまま採用されることを完全に前提としている
  • 企業実習中に給料が出ないことに強い不満を感じる
  • 電話対応や書類整理などの雑務的な作業を「意味がない」と感じてしまう

デュアルシステムは「実務経験をガッツリ積む場」ではなく、「未知の業界の空気を知り、自分の適性を確かめる場」です。この目的に合致するなら、受ける価値は十分にあります。

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デュアルシステムと通常の職業訓練の違い

「通常の職業訓練とデュアルシステム、どちらを選ぶべきか」で悩む方も多いので、違いを整理しておきます。

通常の職業訓練 vs デュアルシステム 比較図

項目 通常の職業訓練 デュアルシステム
学び方 訓練校での座学が中心 座学+企業実習のセット
企業実習 なし(一部コースで短期見学あり) あり(訓練後半に実施)
実習中の報酬 - 企業からの報酬なし(無給)
失業保険等 受給可(給付制限の解除あり) 受給可(給付制限の解除あり)
募集の多さ 多い 少ない(不定期)
特に向いている人 資格取得やスキル習得が目的の人 未経験の業界を体験したい人

どちらが「良い・悪い」ではなく、自分の目的に合った方を選ぶのが正解です。

まとめ。期待値を正しく設定すれば、良い制度

デュアルシステムは、「座学で学んだことを、実際の職場で体験できる」という点で、通常の職業訓練にはない独自の価値を持っています。

ただし、「実務経験がガッツリ積める」「実習先にそのまま就職できる」と過度な期待を持つと、現実とのギャップに苦しむことになります。

大切なのは、最初から期待値を正しく設定しておくことです。

  • 企業実習では、メインの仕事ではなく雑務中心になることが多い
  • 企業から給料は出ない(ただし失業保険等は受給できる)
  • 実習先への就職が保証されるわけではない

これらを理解した上で、「それでも未経験の業界を体験できるのは貴重だ」と思える方には、デュアルシステムは非常に有益な制度です。

コースの募集は不定期で数も限られています。希望の分野でデュアルシステムの募集を見つけたら、まずは早めに管轄のハローワーク窓口で相談してみましょう。

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よくある質問(FAQ)

デュアルシステムとは何ですか?

訓練校での座学と、実際の企業での実習がセットになった職業訓練の制度です。ドイツの職業教育を参考に導入され、「学びながら働く、働きながら学ぶ」をコンセプトとしています。

企業実習中に給料はもらえますか?

実習先の企業から給料やアルバイト代が支払われることはありません。あくまで訓練の一環として企業に出向くため、雇用関係は発生しません。ただし、雇用保険の受給資格がある方は訓練期間中も失業保険が支給されます。

企業実習ではどんな仕事をしますか?

電話対応、書類作成、ファイリング、データ入力など、サブ的な業務や比較的簡単な作業が中心です。第一線の実務を任されることは少ないですが、職場の雰囲気や働き方を肌で感じられる貴重な機会になります。

年齢制限はありますか?

もともとは若年者向けの制度でしたが、現在は年齢制限のないコースも多く、40代・50代の方でも受講できる場合があります。地域やコースによって異なるため、ハローワークでの確認が必要です。

実習先にそのまま就職できますか?

可能性はゼロではありませんが、保証されるものではありません。実習先の企業が採用を希望し、お互いの条件が合えば就職につながるケースもありますが、あくまで結果論です。最初から就職を前提にせず、「業界を知る機会」として活用するのがおすすめです。

デュアルシステムと通常の職業訓練、どちらを選ぶべきですか?

目的によります。資格取得や専門スキルの習得が主な目的なら通常の職業訓練、未経験の業界の現場を実際に体験してみたいならデュアルシステムが向いています。ご自身の就職活動の軸に合わせて選んでください。

参考・出典

  • 厚生労働省「ハロートレーニング(公的職業訓練)について」
  • 厚生労働省「日本版デュアルシステム」
  • 東京労働局「TOKYOはたらくネット(東京都委託訓練活用型デュアルシステム)」

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